すべてのゲームクリエイターが理想の仕事を見つけるために―キャリスブレイン・岩本真吾氏がゲーム専用転職サイト「GJOB」に込めた思いを聞く

ゲーム業界のHR事業・ゲーム運営・開発受託事業を行うリンクトブレインの子会社・キャリスブレインは、ゲーム専用の転職サイト「GJOB」を立ち上げた。転職サイトはよくあるものの、ゲーム専用となると珍しく、「GJOB」は画期的なサービスといえるだろう。その反面、立ち上がったばかりのサイトだけにどんなサービスを受けられるのか、知らない人も多いはずだ。
 
今回はキャリスブレインの代表取締役社長・岩本真吾氏にインタビューを実施し、立ち上げることになった経緯やサービスの特徴を聞いてきた。優秀なスタッフを獲得したい企業、理想の企業に入社したい転職者の双方にぜひ注目してもらいたい。
 

◼︎ゲーム業界で働く/働きたい人がより良い仕事と

 

株式会社キャリスブレイン
代表取締役社長
岩本真吾  氏
 

――本日はよろしくお願いします。まずはキャリスブレインと、その親会社であるリンクトブレインについてあらためて教えてもらえますか。
 
よろしくお願いします。昨今のゲーム業界はスタッフの移り変わりが非常に激しく、中には会社を辞めて起業したり、フリーランスになったりといった選択肢を持つ人も大勢います。大きな会社にいると仕事を選べず、自分のキャリアを失ってしまう可能性もあるので、当然のことだと思います。しかしフリーランスになったからといって、良い仕事に巡り会えるとも限りません。

そんな人達をサポートするために生まれたのが、リンクトブレインなのです。フリーランスのマッチングから始まり、現在は受託のチームも持つことで、リンクトブレインのメンバーは様々な案件に携わることができるようになりました。

 

――なるほど、では子会社であるキャリスブレインはどのような経緯で誕生したのでしょう。
 
ソーシャルゲームが隆盛を極め、新たなタイトルが次々に立ち上がる時代がやってきました。リンクトブレインを立ち上げた2011年当時とは環境が大きく変化しています。業界のプレイヤーが増え、業界内の人の移動も非常に多いのが現状です。各社人材不足に悩む一方で、求職者とのアンマッチも課題と感じています。そのような中で、キャリスブレインという新しい会社で対応していこうと考えたのです。すでに80社と契約を結び、求人案件は600を超えます。7月にはそれぞれ100社、1000件を超えるペースで成長しています。
 

――人材紹介自体は決して珍しいサービスではありませんが、どのような特徴があるのでしょう?
 
先ほど申し上げました課題に対して、”ダイレクトリクルーティング“”HR Tech”をキーワードにサービスを設計しています。弊社は代行企業を挟まずに応募者と直接コンタクト取れることが特徴で、その分人件費がかからず、費用に還元することが可能になっています。次にゲーム業界特化型であることも特徴と言えるでしょう。そしてアルバイト採用にもフォーカスを当て、その方が正規雇用になった場合にも追加費用などいただかないという特徴を持っています。
 


――雇用形態の変更も問題ないと。では雇用形態ごとの料金はどうなっているのですか?
 
弊社が運営している求人サービス「GJOB」で、求職者と企業間でやり取りをしてもらいます。そして雇用契約が発生した場合には、年収に関係なく45万円をいただきます。初期費用も必要ないため、ほかのサービスと比較してもかなり安い金額です。アルバイト契約の場合はいくつかのバリエーションがあり、1ヶ月以上、2週間以上1ヶ月未満、4日以上2週間未満、3日以内で金額が変わります。1ヶ月以上の場合は15万円、3日以内では1.5万円ですね。まずは1ヶ月働いてもらい、その後成長を見込んで長期雇用に移りたいとなった場合でも、追加費用はいただきません。
 

――アルバイトの場合は未経験者の方もいますし、柔軟な対応ができるのは嬉しいところですね。
 
そういった人材に対して、手数料を払いながら雇うのはリスクがありますからね。弊社でも以前から未経験者や経験の薄い方が利用されていたのですが、なかなかマッチングしないのが現実的な問題でした。ただ、登録してくれる方はモチベーションが高く、ゲーム業界に入ってくれれば大きな価値が生まれると考えています。我々としては、各企業の採用コスト、しいては採用リスクを軽減することが目的なのです。
 

――アルバイトの中には非常に短期間のプランもありますが、これはどのようなケースで利用されていますか?
 
例えば緊急のデバックなど、人海戦術で作業を進めたいときにおすすめのプランです。2週間以上の場合は3万円をいただきますが、見込みがあるため長期契約に切り替えたいとなった場合もあると思います。そんなときは15万円から3万円を引いた12万円だけいただくことになります。
 

――次に「GJOB」の特徴についても教えてください。

「GJOB」の大きな特徴はサービスコンシェルジュの存在です。コンシェルジュは各企業のサポート要員という位置づけで、例えば求人票に応募が合った場合、バックヤードにいるコンシェルジュから「面談設定はどうしますか?」とメッセージが送られてきます。サイトにはチャット欄も設けていますが、それを利用しなくてもスムーズに管理してくれるのです
 

求職者に対しても、ある企業に応募した際、似たような求人票を探して「こちらはどうですか」と誘導してくれます。求人票についてもコンシェルジュが作成し、検索用のキーワードもこちらで提案します。さらに数値データを見ながら、求人票の改善提案も行います。
 

――利用している方の層としては、どのような特徴がありますか?
 
全体でもスマートフォンの応募の割合が非常に高いというところがポイントです。応募や初期のチェックはスマートフォンなどで行われていて、その後のやりとりをPCで行うなどの生活スタイルにも求職者の方の変化がでてきていると思います。そこでスマートフォンなどのデバイスでも登録しやすい形にしています。
 

――それはやはり、時代の移り変わりということなのでしょうか。
 
流行りのフリマアプリも、スマートフォンに特化していますしね。これはユーザーの時間軸が変わったからだと考えています。じっくりと吟味するのではなく、良いものがあれば即決したい、あるいは短時間で見たい人が多くなってきているのです。「GJOB」も画面を見ると、真っ先に求人票が目に飛び込んできます。求職者の方は最初に会社名と職種をチェックするのは当然のことで、詳細を見る時間を短縮しています。
 

――ですがスマートフォンだと経歴書が添付できなかったり、不便な面もあると思います。
 
そこでコンシェルジュが活躍するのです。スマートフォンでの応募を促したり、コンシェルジュから履歴書の添付を促したりなど求職者に対してのサポートを行なっております。これで応募者は忘れませんし、企業側は手間を省くことが可能になります。
 

   ▲ゲーム業界経験のあるコンシェルジュが介在することで
スムーズなマッチングを実現している。

――コンシェルジュは利用者にとっても役立っていると。
 
そもそも転職前の段階だと会社のPCで堂々と求人票を見るわけにはいきませんし、帰宅したときには疲れていますからね。短時間でチェックできるのは「GJOB」の利点だと思います。
 

――自分に合った会社を探すにはかなり役立ちそうですね。
 
もうひとつ、「GJOB」は会社間のマッチングにも対応しています。ゲーム企業はパブリッシャとデベロッパの2つに分かれており、デベロッパは人脈を通してパブリッシャから仕事を請け負うことが多いと思います。しかしパブリッシャから見ると、世の中にどんなデベロッパが存在するのか知らないことも多いのです。せっかく良い実績を持っているデベロッパでも理想の仕事となかなか巡り会えず、デベロッパ自身も積極的に営業を回れるとは限りません。
 
そこでデベロッパには「GJOB」のシステムで登録していただき、それをパブリッシャ側に見てもらいます。気に入った会社があれば顔を合わせていただきます。これに関してはオープンネットワークとなっており、発注が発生しても私たちは費用をいただきません。その代わり、登録する企業には最低1件、求人票を出すことを条件にしています。仕事が増えるなら当然人も必要ですし、理にかなっていますよね。
 

◼︎ゲーム業界専用の転職のサポート

 
――求人票の変更提案というのは、どのような手法で行っているのでしょうか。
 
弊社独自のチェックリストで「企業の概要」、「募集職種のわかりやすさ」、「求職者にとって魅力的な募集となっているか」などをリストとして可視化し、企業としての理念や募集に対しての細部を確認させていただくといった具合です。


コンシェルジュから求人票の変更の打ち合わせをさせていただき、企業に本当に必要な人材の獲得となる求人票の作成を一緒にさせていただく形となっております。求人票の内容はもちろん、アクセス数も見ながら提案させていただいています。
 

――多くの人に見られるコツというのはありますか?
 
「GJOB」では求人票の枚数に制限がなく、1社が何枚でも出すことができます。なので、求人票はできるだけ細かく、多くの人にヒットするよう心がけてほしいです。特に年収は大きなファクターになるので、多くの選択肢を用意することでミスマッチを起こしにくくできます。
 

――求職者側としては、ミスマッチを防ぐ施策はあるのですか?
 
既存の求人サイトでは登録した時点でスカウトのメールが多数届くと思いますが、「GJOB」ではそれを絞っています。求職者に話を聞くと「スカウトメールを見て面接を申し込んだ」という方がかなり多いんです。しかしそれだと、理想の会社はなかなか見つかりませんよね。これは企業側にとっても面接をする手間を作ってしまっているわけですし、どちらにとってもメリットはありません。
 

――「GJOB」を各企業に見せたときの反響はいかがでしたか?
 
好印象を持たれるとともに「どうやって経営するの」と驚かれる方も多いですね。これに関してはゲーム業界に詳しいスタッフが揃っているのが大きいです。ゲーム会社や求職者とのやり取りがスムーズに行くため工数が減り、それに加えてエージェントもいないため人件費がかかりません。しっかりと利益を得られる体制になっているのです。
 

――今後のサービス展開について、考えていることはありますか?
 
まずはゲーム業界特化型として運営を進め、将来的には細分化した職種でのサイト展開や、その他のエンタメ領域への展開も行いたいと考えています。「GJOB」のシステムは様々な形への展開が可能なプラットフォームとしての作りをしていますし、ここでのノウハウを新しい事業領域などで活かしていければと思っております。
 

――では「GJOB」、あるいはリンクトブレインを成長させるためのビジョンがあれば教えてください。
 
リンクトブレインの中には正社員・契約社員・業務委託など様々なスタッフがおります。その方達の成長を促す施策を行なっておりますし、本人たちの希望を叶えられるような形として行きたいと思っております。
 

例えばそれがクリエイターとしての道を極めたいでも、起業したいでも弊社としてはそれを応援していきます。

実際、私共とお仕事をしていたスタッフが各ゲーム会社さんで新しい道を切り開いているケースもありますし、独立されてパートナーを組んでいるケースもあります。
我々はスタッフにとっての成長の場となりたいのです。

 

――最後に、利用を考えている人へのメッセージがあればお願いします。
 
昔からゲームが好きで、まったく関係ない業界からゲーム業界へ転職される方も多くいます。一方で、他業種からの門戸を開けられなかったのも事実です。「GJOB」ではそういった方へのきっかけを与えていければと考えています。ゲーム業界がもっと活性化するように、またいろいろな人がゲーム業界に興味を持てるようにお手伝いをしていきたいです。

 

キャリスブレイン企業サイト

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