【イベント】「"面白い"の流れが伝えられる企画書を」…ファリアー主催、学生向け勉強会「駿馬 〜ゲームクリエイター育成講座〜」をレポート


ファリアーは、6月17日、宝塚大学梅田キャンパスで、関西圏の学生に向けた勉強会「駿馬 〜ゲームクリエイター育成講座〜」を開催した。「駿馬(しゅんめ)」とは、関東近郊以外の地域からゲーム業界を目指す学生に向けたイベントの総称になる。

関東圏に比べて、関西圏でイベントが開催されることはまだまだ少なく、ゲーム業界を「ただの夢」ではなく「目指す先」として具体的にイメージし、何をすればたどり着けるのか?「夢から目標に」転化する機会となってほしいという、当媒体の連載記事「ゲーム業界活人研」でもお馴染みの株式会社ファリアー代表馬場氏の願いのもと開催された。

「駿馬」は3回目の開催となり、今回は体系的に学ぶ機会が少ない「企画書のつくりかたをより具体的に!」がテーマとして講演された。本稿ではその模様をレポートしていく。

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■「ゲーム開発を足元から支える」…実践的な企画立案の座学とワーク



▲宝塚大学協力のもと大阪での開催。講師の馬場氏はおなじみのユニフォームで登場。


イベントは前回と同様2部構成となっており、第1部は座学、第2部はチームに分かれてのワークショップにて進められた。

学生時代に、コンテストや就職活動などで企画書が必要となることは多々ある。しかし、そもそも企画書とは何なのか?なぜ必要なのか?何のためにつくるのか?について学ぶ機会は、学生にとっても少ないのが実状だ。
 
第1部の座学では、企画書とはなにか?なぜ企画書が必要なのか?について、順を追って説明がなされた。「企画書=自分の考えを相手に伝える手段」として、他では聞くことのできない「伝える順番」の話や「フォントが与える印象」などをはじめ、企画書について多岐にわたる要素が解説された。
 
作り手は、自分が考えるものを作るわけなので、細部まで理解できている。しかし、ゲームは1人では作れないもの。世に出ている作品は、複数の職種、たくさんのクリエイターが集まって開発を進めるのが通常だ。

一緒にものづくりを行う仲間にイメージを共有するだけならば、アートやプロトタイプでも可能だが、イメージはそれぞれに感じ方が変わる可能性があるため、お互いに同じ認識を持つには、明確に言語化をしておく必要がある。

企画書は、クリエイター全員の認識を合わせて、一緒に面白いものをつくるためにとても重要なもの、「開発チームにおける不文律、バイブル」であると馬場氏は説く。
 


▲第1部での座学の模様。参加した学生は真剣な表情で馬場氏の講義に耳を傾ける。

現場での事例などを挟みながら、職種問わず「自分の考えを相手に伝える」ことがどれだけ大変であり、だからこそ大切であることが語られる。

参加者には、プランナーを目指す学生はもちろん、プログラマーやデザイナーを目指す学生もおり、当たり前のようでありながら、新鮮な言葉、定義に首肯しながら聞く姿が多く見受けられた。
 
そして本題の企画書の書き方に講義は進む。
おおまかではありながら、段階を分けて、企画書を作り上げていく過程を具体的に示された。本講義では9つの大切なポイントを挙げられ、その項目の大切さもさることながら、相手に受け入れてもらうためには、
 
正しい順番で提示すること
 
が、馬場氏からも繰りかえし強調された。初見の相手に受け入れてもらうためには、一連の流れがわかりやすく、相手に優しく伝える必要があり、自分が分かればいいのではなく、企画書の段階で「面白い」の全体像を自他共に理解できる必要がある、という。

企画書も「ゲームをつくり、頭から遊んでもらう」ことと、なんら変わりはない、と馬場氏は力説する。
 
 
1ページめくるたびに「なるほど」と新たな印象を与えることの重要さ。できるだけ、直感的に、読まずに、視覚的にわかることができることが望ましい。ここまでで企画書の要点が解説されたのちに、第2部のワークショップに移った。

 

■「感情の流れをいかにイメージするか」…ゲーム構成要素のピックアップとプロット化



▲ワークショップでは、隣の学生と会話をしながら進めていく。

第2部では、実際に手を動かすワークショップとなる。今回は、自分たちでアイデアや企画を考えた後で第1部でのプロセスを踏むには、時間が足りないということで、既存のゲームをプレイして、その要素を分解という内容にて行わられた。まず最初に、「ゲームの流れ」をプロットし、ゲームを構成する要素をピックアップしていく作業が行わられた。

ここでは、ただ単に流れをプロットしても、その切り出した「コマ」をつないでいるのは「独自の解釈」であったり、自身の企画であれば「作成者だから知っていることへの甘えからくる感情を無視した流れ」をとってしまい、機能だけで流れを無理矢理つなごうとしてしまいがちになると、馬場氏は警鐘をうながす。
 

そして、次にその「感情を無視した流れ」をつくってしまわないように、感情の流れ自体をイメージ化するワークも行わられた。参加者は、ゲーム画面を真剣に見つめながら各々シートを埋めていく。



▲チームを組んでのワークショップの模様。真剣な議論が重ねられていた。
 
ワークはチームで行われ、最後には挙手制による発表が行われた。発表に対しての意見交換も行われ、チームごとの着眼点から多数の案が出される。チームは、この日初めて会った者同士で組まれているにも関わらず、各チームの観点から活発な意見交換が行われ、議論が進んでいった。
 
「駿馬」(しゅんめ)では、毎回「座学」と「ワークショップ」のセットでイベントを開催しており、ただ話を聞いて終わりではなく、聞いた内容を活かしてワークショップで手を動かし、家に「持って帰って」もらい、後に反復できることを大切にしているのが特徴だ。
 
ゲームクリエイターを目指すのであれば、プレイヤーとしてゲームを楽しむだけでなく、その楽しさを構成する要素、そして感情の動きを考える訓練を積むことで、自らゲームを作るときに活かして欲しい、そんな「クリエイターの心構え」が伝えられた4時間であった。


最後に、主催者であるファリアー馬場氏から今後の駿馬の方針が語られる。ゲーム開発を「足元から支える技術」を伝える勉強会、就職活動の情報交換や対策勉強会の場として今後も定期的に行われていくこと。

そして、2017年中にゲーム開発のコンテストを実施することが発表された。詳細は追って公開される予定であり、学生さんたちには是非準備しておいてほしいと激励の言葉がおくられ、本イベントは終了した。
 
これから業界を目指す若者に、ゲームを作る楽しさ、奥深さを伝えるゲームクリエイター育成講座「駿馬」。次回の具体的な開催日時や場所まだ未定だが、ゲームクリエイターを目指す学生は参加してみてはいかがだろうか。

 
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第3回「駿馬 〜ゲームクリエイター育成講座〜」

『ゲーム開発を「足元から支える」企画立案講座』
 
講師:
 馬場保仁氏 株式会社ファリアー 代表取締役
 
プロフィール:
 1997年 セガ・エンタープライゼス(現セガゲームス)入社
  『プロ野球チームをつくろう!』シリーズ
  『Jリーグプロサッカークラブをつくろう!』シリーズ
  『龍が如く OF THE END』
  『スーパーモンキーボール』シリーズのプロデューサー / ディレクターに従事
 2012年 ディー・エヌ・エー入社
  スマートフォンアプリのエグゼクティヴプロデューサーに従事
 2016年 ファリアー 創業 現在に至る 
 
会場:
 宝塚大学 梅田キャンパス
 〒530-0012 大阪府大阪市北区芝田1丁目13番16号
 
参加費
 無料
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株式会社ファリアー
http://farrier.jp/

会社情報

会社名
株式会社ファリアー
設立
2016年7月
代表者
代表取締役社長 馬場 保仁
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