【17年上期総括】ゲーム関連株の上昇率1位はサイバーステップ 業績急回復受けて半年で15倍 ドリコム、アカツキ、KLab、アエリア、enishも2倍以上に

2017年の株式市場が上半期を終えたが、ゲーム関連企業の株価については概ね活況であった。日経平均株価は大発会の1万9594円から2.2%上回る2万0033円だったが、ピックアップした55銘柄中、43銘柄がこれを上回った。サイバーステップ<3810>は年初比で1487%上昇、enish<3667>が411%上昇、アエリア<3758>が349%上昇となるなど、年初に比べて大きく上昇した銘柄が目立った。

最大の上昇率となったサイバーステップは業績急回復を受けて買われた。4月14日に発表した2017年5月期の第3四半期累計(6~2月期)の連結決算で、売上高20億3800万円(前年同期比63.9%増)、営業利益2億2400万円(前年同期2億7400万円の赤字)と大幅増収、黒字転換を達成した。クレーンゲームアプリ「トレバ」が売上、利益に貢献したとのことだった。事前登録が始まった『Q&Qアンサーズ』への期待も集まっている。

アエリアも同様だ。5月9日に発表した第1四半期(1~3月)の連結決算は、売上高22億6900万円(前年同期比58.1%増)、営業利益4億3600万円(前年同期3400万円の赤字)と大幅増収・黒字転換となった。子会社リベル・エンタテインメントの新作『A3!(エースリー)』が業績に貢献したことが主な要因だ。業績回復に合わせて株価も大きく上昇することになった。

このほか、ドリコム<3793>が181%上昇、KLab<3656>が161%上昇、アカツキ<3932>が132%上昇、gumi<3903>が66%上昇となった。いずれもスマートフォンゲームの運営成績の好調ぶりに加え、今後リリースされるタイトルへの期待で買われたようだ。「先行者利益」が強調されることの多いモバイルゲーム業界だが、これらの会社の躍進を見る限り、後発でも挽回は十分可能であることを示唆しているようにみえる。

enishに関しては、足元の業績面では苦戦しているものの、今後の回復を期待した買いが集まったようだ。ファッションレンタルサービス「EDIST. CLOSET」の会員増加や婚活アプリ「metune」など非ゲーム系アプリに加え、同社が開発する欅坂46初の公式ゲームアプリ『欅のキセキ』が今後、収益に貢献するものと期待を集めている。

また、任天堂<7974>の株価パフォーマンスも良好だ。2017年3月期の業績は、売上高4890億円(前の期比3.0%減)、営業利益293億円(同10.7%減)と減収減益だったが、新型ハード「Nintendo Switch」と専用ゲームソフトの販売が好調に推移しており、回復への期待が高まっている。

このほか、直近の業績は振るわないが、オルトプラス<3672>やガーラ<4777>、ベクター<2656>などの上昇も目立った。新作アプリの事前登録やリリースなどを手がかりに買われたもので、業績回復ではなく、いわば"材料"で買われたものだ。ランキング推移などから業績回復への道筋が見えてくれば、他のスマートフォンゲームの会社と同様、ステージが変わってくる可能性がある。

一方、ネイティブゲームで先行していたコロプラ<3668>やガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>などは、日経平均を上回っているものの、ゲーム株と比較すると出遅れている。両社は業績の伸び悩みもさることながら、今後の「成長」を期待させる材料が不足している。VR分野への展開を強化する方針を明らかにしているが、マーケットの状況を見ると業績への寄与するか様子を見たい、といったところだろう。

大きく株価を上昇した銘柄を見ていくと、

(1) 業績急回復(実績)
(2) 成長持続への期待
(3) 業績急回復への期待

のいずれかで買われていることが多いが、下半期においても、これまで後発とみられていた会社のキャッチアップが行われていくだろう。そして、キャッチアップしてきた会社をみてみると、何度失敗しても諦めずに作り続けてきた会社ばかりだが、その次の候補はどこになるのか。別に投資を推奨するものではないが、投資する場合には一つの見方になりうる。



■ゲーム関連株 2017年上期 株価上昇率ランキング
 
(編集部 木村英彦)