【シリコンスタジオ決算説明会②】赤字決算も「悪材料出尽くしでこれから反転」(寺田社長)への手応え 「Enlighten」と自社ミドルウェアでシナジー発揮へ


シリコンスタジオ<3907>は、7月20日、東京都内で2017年11月期の第2四半期(12~5月)の決算説明会を開催した。説明会に先立ち、先日7月7日に発表された同社の第2四半期連結決算は、売上高32億5100万円(前年同期比7.4%減)、営業損益4億3300万円の赤字(前年同期1億7400万円の赤字)、経常損益3億6500万円の赤字(同1億9300万円の赤字)、四半期純損益1億1000万円の赤字(同1億2500万円の赤字)となった。

決算説明会では、同社の寺田健彦社長がまずは説明を一通り行い、その後に質疑応答が行われた。そうした内容も踏まえつつ、会見の様子をまとめてみた。
 

■QonQで増収・赤字幅縮小 「悪材料出尽くし」(寺田社長)に


まずは業績の四半期推移(QonQ)を見てみると、第2四半期期間(3~5月)の売上高は17億8100万円(前四半期比21.2%増)、営業損益1億3500万円の赤字(前四半期2億9800万円の赤字)、経常損益1億500万円の赤字(同2億6000万円の赤字)、四半期純利益6000万円(同1億7000万円の赤字)となった。QonQでは営業、経常赤字ながら増収・赤字幅縮小という結果になっている。なお、四半期純利益が黒字化しているのは、『刻のイシュタリア』と『逆襲のファンタジカ』のタイトル譲渡に伴う特別利益として事業譲渡益1億8900万円を計上したため。この結果について、寺田社長は「感触としては悪材料出尽くし。これから反転できる」としていた。
 

続けて各セグメントごとの状況を見てみたい。セグメント別売上高推移は以下の通りで、開発推進・支援事業は前年同期比で9.0%の増収となった。一方、セグメント利益は赤字幅が拡大しているが、これは「一時的要因によるもの」(寺田社長)とのこと。大型開発案件が寄与したことが増収の要因で、ミドルウェアは前年同期比で微増となっている。
 


次にコンテンツ事業は期中に『刻のイシュタリア』と『逆襲のファンタジカ』をマイネット<3928>グループの新設子会社S&Mゲームスに譲渡することを発表したが、この2タイトルは「5月末まで売上を計上」(同)する形になっている。それを踏まえても大幅な減収となっているが、これは既存タイトルの落ち込みによるものとのこと。なお、QonQでは前四半期比2000万円の増収となっており、これは3月23日にリリースした『ブレイブリーデフォルト フェアリーズエフェクト』(配信はスクウェア・エニックス)が「好調な滑り出し」(同)となったことが寄与しているようだ。
 

人材事業は売上高、セグメント利益とも順調な成長が続いている。同事業については今後も右肩上がりの成長トレンドが続いていくことになりそうだ。
 


■「Enlighten」と既存ミドルウェアのシナジー発揮へ コンテンツは下期2本の新作リリース


第3四半期以降の展開については、開発推進・支援事業は英Geomerics社からソフトウェアライセンスを取得した「Enlighten」の販売、サポートに取り組むとともに「Enlighten」と同社のそのほかのミドルウェアとのシナジーを生かしたワールドワイドでの展開を推進していく。こうしたミドルウェアの伸長で、第3四半期以降の開発推進・支援事業は伸びていく見通しであるとのこと。
 

コンテンツ事業は、下期に『テラバトル2』(ミストウォーカーとの協業)と現在詳細は非開示の協業タイトルの2タイトルをリリースする予定となっている。さらに来期にリリース予定の自社オリジナルタイトル『パレットパレード』を先日発表しているが、こちらは同社初の女性向けタイトルとして、「キャラクターを押し出している」(同)ため、先行して情報を出してキャラクターの人気をつけていく戦略に取り組むとしていた。
 
 

■タイトル譲渡の影響あるも通期予想は据え置き


なお、2017年11月期通期の予想は、従来予想を据え置き、売上高80億9700万円(前期比15.7%増)、営業利益5600万円、経常利益6600万円、当期純利益4300万円の見込み。前述のタイトル(『刻のイシュタリア』と『逆襲のファンタジカ』)の譲渡が影響するものの、「Enlighten」の売上寄与などの踏まえ、予想は据え置いたとのこと。
 

ちなみにコンテンツ事業については、今後も新作の開発を「年3~4タイトルくらいのパイプラインで考えている」(同)としていた。

(編集部:柴田正之)


 
シリコンスタジオ株式会社
http://www.siliconstudio.co.jp

会社情報

会社名
シリコンスタジオ株式会社
設立
2000年1月
代表者
代表取締役社長 梶谷 眞一郎
決算期
11月
直近業績
売上高45億5400万円、営業利益2億3800万円、経常利益2億4600万円、最終利益2億円(2023年11月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
3907
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