【KLab決算説明会】上期の好調は主力の既存タイトルがけん引 下期は1~4タイトルをリリース 「新作好調で通期業績はレンジ上限に」(真田社長)


KLab<3656>は、8月8日、2017年12月期の第2四半期累計(1~6月)の連結決算を発表するとともに、東京都内で決算説明会を開催した。同日発表した第2四半期累計決算は、売上高109億2400万円(前年同期比23.0%増)、営業利益19億6800万円(同38倍)、経常利益21億8500万円(前年同期7億4600万円の赤字)、最終利益14億5400万円(同13億4200万円の赤字)となり、経常利益と最終利益で黒字転換を達成した。

決算説明会では、第2四半期業績について一通り説明が行われた後、質疑応答が実施された。その内容も踏まえつつ、会見の様子をまとめてみた。
 

■既存タイトルの貢献で上半期は好調 『キャプテン翼』は半月分寄与


まずは業績を四半期推移(QonQ)で見ると、第2四半期期間(4~6月)は、売上高56億7500万円(前四半期比8.1%増)、営業利益10億3200万円(同10.4%増)、経常利益11億2900万円(同7.0%増)、最終利益7億6500万円(同11.2%増)とQonQでも増収増益となった。なお、同社の第2四半期業績は例年は第1四半期対比で減収減益となる傾向があるのだが、主力タイトルを含め既存タイトル全体で見ても好調な推移になったという。

なお、新作『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』(以下『キャプテン翼』)は、6月13日のリリースということで、半月分のみが寄与した格好だ。同社の真田哲弥社長(写真)は、「上半期好調だった最大の要因は既存の主力タイトルが良かったこと」としていた。
 

続いて海外売上高の推移を見てみると、こちらはほぼ前四半期比でほぼ横ばいの推移となった。前四半期に『BLEACH Brave Souls』の配信国数拡大で伸長した勢いを維持した格好となっている。なお、今後は『キャプテン翼』の海外配信を予定しているほか、今夏配信予定の『うたの☆プリンスさまっ♪Shining Live』(以下『うたプリ』)もグローバル展開する予定だという。
 
 

■フィリピンのオフショア開発拠点の撤退完了 国内人員削減は一巡


第2四半期期間の費用に目を移すと、広告宣伝費が前四半期比で81.3%増の4億6700万円と膨らんでいる。これは、『キャプテン翼』のリリースに向けたプロモーション費用のほか、主力タイトルである『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』のプロモーション実施、その他既存タイトルの周年施策実施によるものとなっている。そのため販管費全体でも前四半期比28.0%の増加となった。
 

グループの従業員数は、フィリピンのオフショア開発拠点KLab Cyscorpionsの撤退完了により減少したが、国内の従業員数は4四半期ぶりに増加した。これは新卒採用のシーズンであった影響と言えるが、「今まで3年かけてコスト削減を行ってきたが、ここで完了したと考えている」(同)とのことで、今後は、「アートディレクターなどディレクションしたり、プロデュースできる人員を増やす」(同)ともしていた。
 
 

■東京ゲームショウで新情報を発表


新作の開発パイプラインは9本で、内製タイトルが3本、外製タイトルが6本となっている。このうち、内製タイトルの『うたプリ』が今夏リリースの予定であり、外製タイトル3本が今期中に出る可能性があるタイトルという位置付けになっている。

なお、現在4タイトルの情報が明らかになっていないが、「新情報は東京ゲームショウをお待ちいただきたい」(同)としていた。
 


また、直近のトピックスとして、7月3日にモバイルオンラインゲームのリサーチ・海外コンサルティング事業を行うスパイスマートの株式を取得し、完全子会社化することを発表した。KLabは、子会社KLab Chinaを通じ中国展開に継続して取り組んできた実績があり、スパイスマートとのシナジーを発揮することで、中国ビジネスのさらなる拡大を進めていくことになる。
 


■新作好調なら業績はレンジ上限へ


なお、2017年12月期の連結業績予想は、8月7日に従来予想の上方修正が実施されており、売上高225億~255億円(前期比14.8%~30.1%増)、営業利益22億~40億円(同72.6%~213.8%増)、経常利益は24億~42億円(同189.0%~405.7%増)、最終利益16億~28億円(黒字転換)を見込んでいる。

幅を持たせたレンジ予想となっているが、これは今後リリースする新作タイトルの売上具合を不確定要素としているため。今夏リリースとなる新作「特に『うたプリ』好調でレンジの上限となる。下限の数字になることはあまり想定していない」(同)としていた。また、既存タイトルについては下期は減衰する前提となっている。

また、売上高の伸びに対し、利益の伸びが小さくなっているが、これは「上半期に比べて下半期の費用が増える」(同)ため。新作プロモーション費用に加え、東京ゲームショウにかなり大規模なブース出展を行うことや新作リリースとともに減価償却や運用コストが増加することも影響するという。
 
 
(編集部:柴田正之)
KLab株式会社
http://www.klab.com/jp/

会社情報

会社名
KLab株式会社
設立
2000年8月
代表者
代表取締役社長CEO 森田 英克/代表取締役副会長 五十嵐 洋介
決算期
12月
直近業績
売上高107億1700万円、営業損益11億2700万円の赤字、経常損益7億6100万円の赤字、最終損益17億2800万円の赤字(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3656
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