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​【CEDEC2017】固定観念を覆す『モンスターハンター エクスプロア』のデータ分析…開発者の感性を最大限引き出すデータサイエンスに

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カプコン<9697>は、8月31日に「CEDEC2017」において「データ分析の固定観念を覆す -ユーザー体験を向上し続けるモンスターハンター エクスプロアのデータサイエンス-」のセッションを行い、MO開発統括 オンライン運営編成部の松崎悠紀氏(写真)が登壇した。

本セッションでは、『モンスターハンター エクスプロア』のリリース後、ユーザー体験を向上し続けるために行っているデータサイエンス、またその背景にあるゲーム開発者の感性を最大限引き出して多様で柔軟なスマホゲーム制作を可能にした「データ分析の3つの固定観念を覆す解決法」について具体的な取り組みとともに聞くことができた。

セッションは「データ分析がなぜ必要か?」という問いかけから始まった。例として、松崎氏が制作したモンスターの折り紙に値段をつけたところ、松崎氏は1800円、事前にヒアリングしたカプコン社員の平均200円の値段をつけたことを挙げた。これは折り紙を探して街を歩き折り紙を折るために長時間を費やした制作者の経験や労力などを踏まえた主観的な判断基準により、ユーザーとの評価に差がでたためという。このように主観的な判断だけでなく、集めたデータを活用して客観的に判断するためにデータ分析は必要となる。
 


①精度が高いデータ分析は良いという固定観念
データ分析において、「実施するには精度が低い」、「分析しなくてもわかっていた」と言われたことはあるだろうか。実はこれがゲーム制作でデータ分析が活用されない原因となっていて、松崎氏のアンケートによると70%の人が言ったことがあるという。
 


しかし、精度が高いデータ分析の弱点として、精度を高めるのは時間がかかりすぎるという点がある。時間がかかると情報の鮮度が落ち、ゲームの場合は結果が出るころには分析が不要になっていることもある。これに対して、モンハンエクスプロアでは、分析の精度を70%にすることで時間がかかりすぎる課題を解決した。また分析の結果で間違えた方向に進まないように、異常値をある程度まで減らすことで、ユーザーに今何が必要で何が無駄かの判断をデータで効率的に行えること重視していると述べた。
 


またゲーム開発においては、ユーザーの体験を最大化するために、開発者の経験や勘を活かすという課題もある。しかし、開発者の経験は新人やベテランによっても異なり、インスピレーションは思い浮かばないこともあると常に不安定な状態になっている。そこでモンハンエクスプロアでは、この不安定な経験や勘に精度70%の担保を与える、リスクヘッジ機能としてデータ分析をゲーム制作の中に組み込んだという。
データ分析の役割は「個の能力に左右されない70%のアウトプット」「残り30%の課題抽出」、開発者の役割は「課題の30%に直感やインスピレーションを集中させることでユーザー体験を最大化」と役割を分けたことが、リスクを減らし質の高いアイデアを生む仕組みだという。
 


②分析結果を集計やグラフを駆使して報告するのも固定観念
分析結果を報告する際には、集計結果や数字や表を使い論理的に説明をする「システム派」、グラフを使い視覚的に理解しやすい説明をする「グラフィック派」に分かれると思うが、これがすでに固定観念になっているという。モンハンエクスプロアでは、以前は開発者に分析結果がなかなか理解されなかったが、難しい分析内容を起承転結に分解し、ひとつの物語にして説明する「シナリオ派」が効果的だったという。起承転結は、「その分析を始めた理由(仮説)」、「仮説を裏付けるデータ(数字やグラフ)」、「発見された課題」、「解決策の提案」となる。松崎氏も以前は「仮説を裏付けるデータ」のみ伝えていたため理解されなかったと自らの経験を語った。
 


また分析をシナリオで伝えたほうが数字だけの分析と比べて2倍の効果があったという海外の統計調査の結果もあるという。仮説、裏付、課題、解決をひとつのシナリオにすることでプロジェクトに関わる全員の理解を深めることも重要だと語った。
 


③事例にみるアプリ開発で機械学習を使うコツとワナ
モンハンエクスプロアでは、機械学習を用いたデータ分析を行っており、機械学習を使う際のコツとワナを、ユーザーのプレイ傾向からイベント参加に意欲的なユーザーを探しだすという課題を例に説明した。
最初に蓄積されたビッグデータから必要なデータを抽出しクレンジングを行う。このデータを分析する過程で機械学習を使うが、開発に説明するには難しいという。なぜなら機械学習はインプットされたデータがアプトプットされるまでの分析過程がわからず、まさにブラックボックスの状態になるからだ。
 


では、どうすればブラックボックスの過程を理解するかたちに変えることができるのか?従来の分析手法を組み合わせることで理解しやすくなる。一部の上位ユーザーが全体を牽引するアプリゲームの場合、デシル分析とRFM分析を組み合わせる手法により、把握は可能だという。
 


モンハンエクスプロアでは、現場に伝わるシンプルな指標にするため、セグメントとクラスターの指標を組み合わせたクロス集計で関係性を把握できるようにしたという。機械学習のクラスターでは、デシルやRMF分析の人の理解の範囲では見つからなかった傾向も見つけることができた。実際のゲームの運営においては、さらに具体的なユーザー像を掘り下げて具体的に効果があったことを明らかにして、ユーザー体験の向上を図っていると語った。
 


現在は機械学習やディープラーニングなどの効率よくデータを扱う技術が先行していて、データを活用するリテラシーの壁をどう超えるかは課題となっている。紹介した機械学習のコツも参考にしてほしいとした。


④データ分析は新発見ばかりと固定観念
データ分析=新発見というイメージが非常に強いが新発見は稀で、データ分析の真骨頂は再現性だという。ここでは、熟練の杜氏による経験や勘ではなくデータ分析に基づいて日本酒の味を再現したである獺祭の事例が挙げられた。モンスターエクスプロアでは、データ分析によって、アップデートやイベントを毎回振り返り、データに基づいて良かった点を具体的に明らかにして、今後のアップデートやイベントで再現するようにしているとのこと。
 


最後に、松崎氏は、従来のデータ分析は理論的な説明をするだけであり、クリエイティブな発想とは別のものとなっていた。ユーザー体験を向上し、ゲームを面白くするのは、データ分析者次第かもしれないと語りセッションを終了した。

 
(撮影・記事執筆 森山晃義)
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企業情報(株式会社カプコン)

会社名 株式会社カプコン
URL http://www.capcom.co.jp/
設立 1983年6月
代表者 辻本春弘
決算期 3月
直近業績 売上高642億円、営業利益105億円、経常利益108億円、当期純利益66億円(2015年3月期)
上場区分 東証一部
証券コード 9697

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