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【CEDEC 2017】『グリムノーツ』のキャラに”暖かみ”がある理由…イラスト・モーション・エフェクトなど多方面の制作から見る驚きの手法

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一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)は、8月30日~9月1日の期間、パシフィコ横浜にて、国内最大のゲーム開発者向けカンファレンス「コンピュータ・エンターテインメント・デベロッパーズ・カンファレンス 2017」(CEDEC 2017)を開催している。
 
本稿では、9月1日に実施された講演「グリムノーツ ~絵本のキャラクターの作り方~」についてのレポートをお届けしていく。
 
本セッションには、元気 ゲーム事業部 プログラマーの井上寛之氏が登壇。『グリムノーツ』のキャラクターデータの製作において、「絵本の雰囲気をもった、かわいらしいバトルキャラクターを実現する」「同時表示10体強のキャラクターを60fpsで動かす」「クオリティと工数のバランスを取りながら、月当たり10体のキャラクターを追加する」といった要件をクリアするための解決策などを紹介した。
 

▲元気 ゲーム事業部 プログラマーの井上寛之氏。『グリムノーツ』では、デザインデータのワークフロー構築全般や、プログラマーサポート、マルチバトルのサーバーを担当している。
 
■『グリムノーツ』とは
童話をモチーフにしたキャラが登場し、ストーリーを展開するRPG。バトルは、プレイヤーのパーティと敵パーティが集団戦を繰り広げる2Dアクションゲームとなっており、キャラのアクションは背後を狙う戦い方や連撃によるコンボ攻撃、3ラインにまたがる幅広いステージを活かした必殺技が特徴となっている。
 
 
▲2016年1月にリリースされ、現在までに累計ダウンロード数1500万を達成している。世界観・ストーリー・キャラクター・サウンドはスクウェア・エニックスが担当し、元気がゲームシステム・バトル・イベントといった形で実装してユーザーにアプリとして提供することを担っている。
 
まず井上氏は、ゲーム内でも主にバトル画面で使用しているデフォルメされたキャラについて紹介を行った。『グリムノーツ』は運営開始から1年を経て、進化要素などを含め実装されたモデル数は既に500体を越えており、今もなお隔週ペースで追加を繰り返している。
 
 
▲これらのキャラはポリゴンやボーンを利用した3Dモデルとして作成されている。そこに、モーションやエフェクト、ゲームにおけるパラメータなど、各種要素を足してプレイヤーが遊べるキャラが仕上がると井上氏は説明した。
 
続いて、バトルステージの構成についても解説。キャラモデルが2Dに見えるように完全に平面化された形状で存在しており、モーション・エフェクトはこのステージのモデルに最適化された作り方となっている。
 
 
 
その際に発生する開発課題と解決策は以下の通りだと井上氏は続ける。速度・表現・物量の条件が明確に決められている。
 
【開発課題】
・速度
同時表示10体強のキャラクターを60fpsで動かす
 
・表現
絵本の雰囲気を持った、かわいらしいキャラクターの実現
 
・物量
・10体/月(ヒーロー8体、ボス2体)
希望製作期間
-ヒーロー1体=6日(モデル3日、モーション3日)
-ユニークボス1体=6日(モデル3日、モーション3日)
 
【解決策】
・速度
描画最適化構造でのデータ作成
 
・表現
デザイナーの手描きを生かす
 
・物量
モデリングの自動化
モーションの共有化、製作フローの最適化

 
◆キャラクター仕様◆
 
ここからは、これらの解決策について具体的な話を展開。
 
最初に、速度に関して大きな要因を持つキャラデータの仕様を公開した。なお、ここで言うキャラとはバトルを実現するために必要なモデル・モーション・エフェクト・制御データなどを含めた幅広い範囲の仕様解説になるとのこと。
 
【プラットフォーム】
本タイトルでは2016年のリリースに合わせて、2015年末での市場カバー率75%を目標として対象端末が決められている。スペック面などからも軽くなることを大前提としている。
 

 
【ステージ】
バトル中のカメラは画角のあるパースペクティブカメラを使用しており、ステージ空間の左右でも問題が発生しないよう、また、奥行き方向にキャラが移動しても見た目が破綻しないよう、ステージ・モデル・エフェクトを含めたトータルでの描画コントロールが必要となるという。なお、キャラの傾きはカメラに合わせて設定されており、パースペクティブカメラによって発生する、デザイナーが描いたパースとのズレを解消するためのものとなる。
 

 
【モデル】
・メッシュ

▲デモ用として図で展開構造が公開された。ステージの欄で紹介した通り、Z方向の厚みはなく、完全に奥行きのない状態で形成されている。
 
モデルはMayaでポリゴンを使用して作成しており、武器を含めて1メッシュでスキニング済みとなっている。井上氏は「アウトラインの組み合わせによるオーソドックスな構造になっていること」、「キャラ部分のポリゴン形状はキャラの見た目に準じて作成されていること」、「絵のタッチは予めデザイナーによって描かれており、シェーダーによる特別な処理は入っていないこと」などを紹介した。
 
また、キャラの表示数やエフェクト描画に余裕を作るためにも、キャラを1ドローで描画するのは優先度の高い条件だったと述べる。これを実現するため、1メッシュでスキニング変形を利用しているが、武器の持ち替え仕様のため単純な1メッシュではなく、マルチUV・マルチテクスチャに加え、武器によって異なる大きさや、武器の持ち手の位置を調整するためのジョイントが設定されているとのこと。
 

 
・テクスチャ
 
▲テクスチャには、絵とアウトラインのデータが格納されている。
 
1ドローを実現するため、メッシュ・マテリアルも統合し、テクスチャも体の各部をまとめてアトラス化したものを使用している。体部分の描画はタッチを活かしてそのまま表示しているが、アウトライン部分はシェーダーによる切り替え処理が入っている。Gチャンネルにグローの入ったアウトライン、Aチャンネルに標準のアウトラインを格納しており、キャラの種類やステージ環境に応じて切り替えて使用されている。
 
なお、解像度はキャラ・ボス・武器などで異なるが、よほどのことがない限りキャラごとの違いはない。
 

▲テクスチャフォーマットはRGBAの4444で、ハードウェアに合わせた固有のフォーマットを使用していない。これは、圧縮フォーマットによって絵のタッチがなくなることの回避、機種依存フォーマットで管理が煩雑化することを避けるのを優先したためだと井上氏は説明した。
 
・UV

 
モデルのUV座標は、キャラ本体と武器用で2種類のUV座標がある。本体部分はポリゴンが絵に準じた形状となっており、武器部分は武器替えが可能になるように大きな区系で形成している。
 
・進化・衣装
 
 
進化形態によって小物の数が異なったり、衣装によりそもそものデザインが大きく異なるケースもあり得るため、実機用のデータは完全に別モデルとして扱っている。これにより、キャラバリエーション追加の際には既存データへの影響を排除できる、複数のキャラ絵を詰め込んだデータに対してメモリ上に展開されるテクスチャ容量が削減できるという利点を挙げた。
 
【モーション】

 
モーションは、Mayaでキーフレームアニメーションを使用して作成している。テクスチャと同じく、構成やパーツ数の違いから、衣装や進化形態ごとに異なるデータとなっている。また、実行時における体系制御、モーションブレンドは操作やリアクションとして違和感が強いため、即時切り替えを選択して速度優先のデータにしている。
 


▲こちらはモーションの種類。モーションブレンドを行わないため、自然な動きになるようになるようにモーションを作成する必要があったという。
 
職種によって差異はあるものの、1キャラたりおおよそ25パターンのモーションが搭載されていることも明かされた。
 

▲モーション間の繋がりをなくすため、攻撃モーションにはアクション後、アイドルに戻る動きがデザイナーによって付けられるといった工夫が成されている。
 

▲バトル中は止まっているか、走っているかのため歩きモーションは存在しない。
 

▲敵の攻撃属性に応じてキャラのリアクションが変化するため、相応の種類のモーションが用意されている。
 

▲「シフトフレーム」はコンボで次のモーションが繋がるタイミング、「ヒットフレーム」は攻撃中に敵に対するヒットが発生するタイミングとなる。ヒットフレームやシフトフレームの目安の設定はモーション作成と同時に行われる。
 

▲攻撃中にタップするとシフトフレームで次のモーションが続けて再生されコンボとなる。4コンボ目は振り返っての攻撃となっており、この際、振り返った側の敵にも攻撃が当たるようになっている。
 
井上氏は、攻撃モーションの作成時には個々の攻撃モーションとコンボが繋がったときの両方を意識する必要があるとまとめた。
 
【エフェクト】
エフェクトは、ステージ構成に合わせるため、Maya上で構築した専用エディタを使用して作成している。仕様については以下の通り。
 

 
近接攻撃、ライン攻撃、範囲攻撃など、水平方向のほか奥行き方向にもエフェクトが展開されるため、描画順・描画シーンなどの設定など絵作りをステージに適応されるための手作業が数多く存在しているとのこと。また、過剰な階層構造を避けるためパターンアニメが多用されており、テクスチャ作成には手描き作業が多く含まれていると手法を紹介した。
 

▲エフェクト用のテクスチャの事例。パターンアニメで、1スプライト1ドローとなっている。パーティクルによる表現でも同様のことが可能だが、制御に伴うCPUコストや調整のしやすさを優先するために手描きのパターンアニメが多用されている。
 

▲先にあげたテクスチャ事例を複数のポリゴンスプライトとトランスフォームを組み合わせて必殺技の花火にした例。
 
上記の例では、1スプライト1ドローが基本となっているが、そのままだと際限なくドローコールが増えるため同一ラインのスプライトの描画をバッチ化してまとめている。手前のラインの4枚を1ドロー、中央ラインは5枚を1ドローにまとめており、3ライン範囲の必殺技だが演出範囲は2ライン分、ドローコールは通常・加算などを合わせて5回で描き切っている。また、ライン単位のエフェクトの間には他のキャラが入り込む可能性があるため、アニメーションや階層構造とは独立したバッチコントロールを築いている。
 
【制御データ】

 
キャラの行動遷移はゲーム本体のロジックによって管理されている。このロジックをコントロールする固有の制御データは、各操作におけるアクションとリアクションに特化して構成されている。
 
これらのパラメータは全てエクセルで管理されたレコード形式になっており、クライアントアプリアプリの挙動だけでなく、サーバー側での検証にも利用可能な構造となっている。
 

▲モーションに関するパラメータと、敵からの攻撃を受けたときの自身のリアクションが設定された実際のデータ例。
 

▲こちらは攻撃に関するパラメータの事例。モーションに基づいた効果の発生タイミングや敵のリアクション、ダメージ量など様々な情報が設定されている。これらのデータはモーションデータとは別に管理され、仕上がる段階で付与される。コンボが上手く繋がるようにするには敵側のリアクションお影響も大きいため攻撃側がパラメータを持っている。
 
キャラ仕様のまとめとして井上氏は、様々な要素を取捨選択した結果として下記のようになったと話す。
 

▲幅広い端末で60fpsでのバトルを実現するために、データ設計が重要になる。後から描画処理を速くすることは難しいため、課題に対して他の方法で対応できる場合、速度が出せる手法を優先して選択したとのこと。
 
続いて、残る「表現」「物量」への課題に対するアプローチとして、キャラクターメイキングについて話を展開した。
 

◆キャラクターメイキング◆
 
まずはキャラ制作の全体工程や工程ごとの担当チームを紹介。
 

 
イラストを作成する「キャラクターデザイン」に始まり、バトル班が中心となり、キャラがどのような通常攻撃や必殺技を繰り出すのか、キャラの特徴に応じて事前に検討・決定する「アクション設計」、インゲームキャラのデザインとモーション設定可能なモデルを作成する「SDデザイン」「モデリング」、モデリングされたキャラにアクション設計で決められたイメージをモーションデータとして形にする「モーション」、作成されたモーションと共に必殺技に必要な演出を作成する「エフェクト」、最後に「制御データ」の入力をもってバトルに投入できるキャラとして完成する。
 
なお、制御データの入力はエフェクトと並行して作業を進行することが多いことや、担当ごとの分業となっているが、バランス調整の際にはその場で担当のところに行き指示を出すなど、比較的近い範囲で作業を行っていることなど開発環境についても言及した。
 
【キャラクターデザイン】
 
 
イラストレーターへの発注のほか、ゲームのメインキャラのデザインはスクウェア・エニックスで行われている。シナリオをベースに考えられたキャラ設定を基に可愛らしいキャラが描かれる。そして、イラストがラフの段階からアクション設計が始まる。
 
【アクション設計】
キャラの演技・演出を決める重要な工程となる。キャラ設定やイラストを基にバトルにおけるキャラクター像を定める。
 

▲ここで最後まで決めきるのではなく、実際の演技や表現はコンセプトやイメージを基にしたうえでモーションやエフェクトデザイナーに委ねられている。その際、チーム間、メンバー間でイメージを共有するため、様々な絵や動画など参考資料を集めて提示している。
 
【SDデザイン】
イラストのキャラからインゲームのキャラを作成していく。
 

▲セッションの冒頭に絵本のキャラとして提示したモデル作成の実作業となる。
 
SDデザイン作業は元気社内で行われており、イラストはイラストレーターによってタッチやイメージが異なるが、インゲーム画面での表示モデルは絵本の世界をイメージした統一したコンセプト「絵本の世界に馴染むキャラクター」で作成されている。井上氏は、これを実現するためのキーワードが「かわいらしさ+絵本のタッチ」という要素になると述べた。
 

▲コンセプト実現のために選択された表現と技法。かわいらしさを出すため、一般的なSDよりやや高めな等身バランスを選択。これにより、慎重の違いでカッコ良さと可愛さの対比を出せるようになっていると説明した。
 
また、絵本のタッチや雰囲気を優先してデザイナーの手描きを活用しているが、そのままでは担当者による違いや、特定のキャラが突出してしまう危険性があるため、使う道具や素材を揃えることで画面に統一感が出るように配慮している。線画に使うブラシのディティール、濃さの目安、塗りに使うブラシの選定を始めパレットは全キャラ共通、素材ごとの質感が極端に異なることがないようにコントロールしている。
 
影部分にタッチの表現として使用しているパターンテクスチャも手描きによるものだが、全て同一のものを使用している。
 

▲彩度は低めに設定して原色的な色彩にならないよう注意している。キャラ固有の色を設定する際にも、それらに準じた色味を選択・決定したうえで着色を行う。
 

▲サマーシンデレラを例にSDデザイン作成の工程を紹介。
 
・ラフ&線画

▲基イラストからパーツ単位で作画をしていく。どのように形状化するかはSDデザイン担当のデザイナーが考えているという。
 
ラフとはいえ、進化差分や衣装ではイラストがなくデザインを含めた作業になる場合もあるとのこと。その場合、キャラ設定やイラストのテイストに合わせてキャラが引き立つようにデザインを行っていく。また、この時点で回転用のピボットを目安に変形状態の確認もしている。そして、問題がなければラフの下絵として線画用ブラシを使ってペン入れを行う。基イラストを踏まえて構造やパーツを決める
 
・ラフ作成と監修

 
完成したラフに対して、監修者からデータに対して直接赤ペンや青ペンを入れたり、修正ポイントをテキストベースで指示してブラッシュアップが図られる。上記の例では、衣装の跳ね上がり具合やパースで違和感のある場所がペン入れでフィードバックされている。
 
・塗り


絵本のタッチとして柔らかい塗りを実現するため、水彩ブラシで陰影を付けていく。
 
ラフ、線画、塗りの作業に関してはSDデザイン監督者の希望もあり、CLIP STUDIO PAINTが使用されているという。自由に向きを変えながら速いペースで作画するのはPhotoshopでは難しいため、psdファイルをベースに双方のツールを行き来しながらSDデザイン作業は進行している。
 

▲SDデザイン監修のポイントとして、様々な指示体型があるとブレ幅が大きくなってしまうため、監修者は1~2人で統括していることを挙げた。井上氏は、『グリムノーツ』に特化した項目も多いが、ポイントを定めることで月10体のキャラに随時フィードバックしながら量産を行っていると解説した。
 
冒頭で挙がっていた「かわいらしいキャラクターの実現」という課題には、このようにデザイナーの技・工夫で対応している。
 
【モデリング】


▲一般的には上記の流れでモデリングを進めていくが、「絵からポリゴンが作りたい」「書く作業を自動化したい」といったデザイナーからの要望に応えるため、Maya上でのモデリングは全て自動化され、必要な情報は全てPhotoshopで作成している。
 
SDの作画担当者でも実際にゲームモデルを作成でき、3Dモデラーを介さずにモーション動作のチェックが可能となっている。
 

▲Photoshopでモデリングするイメージ。グループ化したパーツに起点を設定することで狙い通りに回転できるようになる。起点の位置を順番に繋いでいくことで全身のジョイント構造を設定できるという。
 

▲こちらの例では、モデリング生成と同時にモーションを適応して動くデータに仕上げている。ポリゴン生成が終わるとジョイントが組み上げられ、UV、ウェイト調整を経て完成となる。
 
そのほか、モーションは作業ファイル内で複数のデータが管理されており、すぐに切り替えての確認が可能となっている。
 

 
自動化を可能にするため、SDデザインの時点でパーツを分けながら作成している。そのため、前工程であるSDデザインこそがモデリングの実態となっていると井上氏は説明した。パーツ単位で大きなグループが設定され、各グループの中は共通構成になっているとのことだ。
 
デザイン担当者によっては線画、塗りの部分などさらに細分化されることもあり、データ作成の面から統合が可能になっていればどのような構造になっていても構わないという扱いにしてデザイン作業に縛りが出ないように配慮している。このように、調整可能な余地を持たせつつ、自動作成で作業負担が減らせるようにしていると手法を紹介した。
 

▲レイヤー構造を図にしたもの。頭部を分解すると、パーツの起点、塗りの絵、アウトラインの絵など、グループ内部の構造が決められており、他のパーツも同様の構造になっている。
 

▲ポリゴン形成に関する詳細。基絵から範囲選択を拡張して作った赤く塗られた部分を基にポリゴンを作っていく。井上氏によると、Maya上で画像解析するよりPhotoshopで作成したパスをもとにポリゴン生成する方が品質面で優位なうえ密度の調整なども可能になっているとの話だった。
 

▲Photoshop上での1パーツは1つのジョイントと単一のウェイトが割り振られているが、複数のジョイントや他のウェイトを埋め込むことも可能。
 
さらにウェイト設定について、Maya側でウェイト設定をしていないのは、作画が変わったときにモデリング工程だけで更新可能にするためのほか、同一の出力データから広報用に使用するレンダリングシーンも生成しており、実機用のデータのみでウェイト調整をすると他の場所で問題が発生することになるためだと説明した。
 

▲絵以外にモデリングに必要な情報はレイヤー名の任意の文字列や特定名称のレイヤーに埋まっている画像から抽出する。身長情報は、作画サイズとMaya上でのサイズを補正するために使用しているという。
 
続いて構造出力についても紹介。アクションを実行すると、データ出力に最適化した構造に変換し、全体の構造、パーツ単位の絵を順番に出力していく。関節パーツごとにテクスチャ生成に必要な絵に加工されたレイヤーが自動生成され、別画像ファイルとして順番に保存される。そして、全身の見た目が変わると完了となる。
 

 
以下はUV編集とテクスチャ生成画面。
 
 
 
パーツが分解された後、別のアクションを実行し、UV編集用のデータを作成する。配置ガイドが付いたパーツがレイヤーで分けられて形勢されるとのこと。その後、自由変形ツールを使い、ポリゴン範囲の目安となる赤い枠が重ならないようにサイズを調整しながら並べ替える。UV編集は、全体的な詰め込み具合やパーツに対する重要度で調整するため、完全に自動化するよりデザイナーに任せた方が良い結果が得られるので手作業となっている。
 
モデルはいつでも再構築可能なため、仕様変更があった場合の対応もモデリング済みデータからの加工に比べ格段に短時間での対応が可能となっている。ただし、Photoshopでのスクリプト実行には時間がかかるためSDデザイン担当者の消費時間が増えている点が問題となっているとのこと。
 

▲スクリプトからモデルを作成できるようにした結果、Mayaでの手作業のモデリング時間がほぼ0となっており、Mayaで同様のモデルを形成する場合に比べて1体あたり1日~2日の工数削減に繋がっているという。
 
【モーション】

▲モーション作業は全てMaya上で行っている。
 
キャラのモーションはひとつの作業用ファイルにまとめられており、複数のモーションを瞬時に切り替え可能となっている。全てのモーションはJSON形式でエクスポート・インポートが可能となっており、容易に他キャラに流し込めるように管理されている。この結果、モデルの絵が差し替えられた場合も自動モデリングと併用することで作業モデルを短時間で更新できるようになっている。
 

▲サマーシンデレラのモーションを同一職種のアリスに適用している。JSON内部には基キャラの身長や階層情報が含まれており、多少の体系の違いは流し込みに吸収している。
 

▲こちらは職種違いの流しこみ。槍盾アリスのモーションを片手剣アリスに適用している。このように、武器構成が似ている場合もそのまま流し込みが可能となっている。
 
そのほか、「通常攻撃1」のみといったように特定のモーションや、「腕だけ「揺れものだけ」といった指定での流し込みにも対応している。これは、SDデザイン時点で専用モーションが作成される前のチェックにも利用されているとのこと。
 

▲実際の作業画面のイメージ。管理ツールでモーションを選択するだけで即切り替えが可能となっているため、気軽にモーションを複製してテンポやパターンの違いを作り良いものを選んだり、調整前後のデータを残すことで改善点の見比べが容易になっている。バラバラに作成した攻撃モーションをMaya上でフレームを制御して再生することで、完成モーションをその場で確認できる仕組みも導入している。
 
モーションでは、作業期間のバランスを重視しているため、1体あたり基本3日、調整を入れても5日程度となっている。また、リリース以前は、モーションや必殺技を共有することを想定していたが、リリース後の反響からユニークアクションの比率が高くなっていると明かした。ポイントは、そのキャラにどういった動きをさせるかというアクション設計になるということだ。モーションの強さがキャラの強さに影響するゲームの特性上、事前の打ち合わせが重要で、そのうえで作業が行われる形になっている。
 

 
完全平面のモデルのため、回転斬りや右ストレートのパンチが打てないとできることは限られてしまうが、それでもプレイヤーが気持ちの良い体験ができるようデザイナーの腕が試されるポイントとのこと。井上氏によると、良くできたモーションはエフェクトがなくても何をしているかが伝わってくるという。
 


▲モーション技法の事例では、モデルの差し替えのほか、スケールを合わせて使うことで何かを回しているような表現に見せることも可能。一部パーツは、同じパーツを複数の奥行きに応じてスケールで切り替えることにより、疑似的に描画位置を差し替えるようなことも試みている。
 
ここで、物量の課題となっていた「10体/月」には、「モデル作成の自動化」「モーションの共有化」「2Dに特化した編集作業の効率向上」で対応した。
 
【エフェクト】

 
Mayaをメインツールとしてデータを作成するが、キャラモーションと連動して表示する必要があるため、専用のビュアーや実機アプリを使ってテスト・組み込みを行う。作成可能期間を考慮しながら、できる限り高いクオリティになるよう調整が繰り返される。
 
エフェクト編集画面では、Mayaをベースにしたポリゴンスプライトを数値で加工できるようにした専用エディタを使用している。データ出力時にゲームの描画に合わせ、個別のスプライトからのテクスチャ結合やマテリアル変換によるバッチ描画に対応しており、ドローコールを効率的に削減している。
 

 
『グリムノーツ』のバトルは複数のキャラが入り乱れて戦う画面となるため、個々のキャラのエフェクトが過剰になりすぎてはいけないという。しかし、キャラの必殺技として十分な性能を表現し切らなければならないため、バランスに配慮して作成している。エフェクトを作成する際は、そのエフェクトが行動の何を表現しているのか、効果や威力を表現できているかという点がポイントとなる。
 

 
エフェクトの表現例も発表。
 

 
左の表現例では、工程を意識して詠唱の表示から効果が発生することを知らせる発動、実際の効果と順番に表現が入れ替わっていく。作成の際は、これらのシンボルがごちゃごちゃになってしまわないようメリハリに注意している。
 
一方、右の表現例では徐々に威力が高く、範囲が広い攻撃が発生したことを示すために大胆にエフェクトが表示されている。これらの表示はユーザー体験にも大きな影響を与えるため、必殺技の使用コストやキャラの属性にも注意しながら組み立てが行われているようだ。
 

▲こちらは実際に用いられている技法の一例。左の例は、波や水の動きはスプライトを増やしても狙い通りの印象になりにくいため、スプライト枚数を抑えて効果を表現するために作画に注力。真ん中の例では、密集した生き物が多様に動く表現のため、逆にパターンを抑えて数を使って変化を表現している。右の例では、単純な玉のエフェクトでもひとつのパターンだけではなくループサイクルの異なるスプライトやトランスフォームアニメーションを組み合わせ、絵の変化を生み出す方法を利用している。
 
エフェクトにおいて様々な技法を用いる理由として井上氏は、バトルは60fpsで構築しているが、パターンだけでは間延びしてぎこちなく見えるケースもあるため、様々な手法で高いクオリティを実現するための挑戦を行っているとまとめた。
 
【データ入力】
データ入力では、データ仕様で説明した制御データの入力のほか、ヒット範囲、エフェクト設定、効果音、ボイスを開発用アプリで設定していく。キャラのアクションが見応えのあるものになると、デバックや品質チェックに移行し、要件に応じた調整が行われた後、リリースされる。
 

▲攻撃設定中の様子。
 
 
▲こうしてプレイヤーが操作できるキャラとして完成を迎える。
 

◆トラブル事例◆
さらに、ここからはいくつかのトラブル事例についての紹介を行った。
 

▲必殺技を使うと処理落ちが発生したため調整した事例。ドローコールはどちらも2のままだが、尾の部分のノード構成がリダクション前で100、リダクション後は56まで落としている。また、闇属性をより強く反映するため色味が紫に調整されている。
 
なお、基本設計で最小コストが保証されているモデル単体で問題が発生することは中々ないという。事例のほとんどは複合条件で発生しており、エフェクトが関連していることが多くあるとのこと。下記では、処理落ちが発生しがちなパターンを紹介した。
 

 

◆ディレクション◆
最後にキャラの絵作りにおける統括について。
 
先の話にもあった通り、キャラのアクション表現はバトル班を中心にディレクションされている。アクション設計でキャラがどのような技を持つかを決めているが、この設計時に決めている「ゴール」が重要になるという。『グリムノーツ』では、隔週で新規キャラの追加や、2ヶ月に1回新しいボスが登場するゲームサイクルがある。
 
ぼんやりとした作り方では出来上がるキャラの印象も悪くスケジュールが破綻することになるため、”キャラが何をするのか”、”何をウリするキャラなのか”を決め、必要なパーツを作る方針をとっている。そのうえで、リリーススケジュールと各要素をチェックしながら最終的なクオリティコントロールを図り、最終的な表現の調整のほか、キャラ作り全体を統括するのがディレクションとなる。
 
 
▲左が制作段階、右がリリースされたものとなる。満足がいくものが完成しなかった際は、「カッコ良いか」「気持ちが良いか」を実現できるようにコンセプトに沿った調整が行われる。
 

▲調整の際はデザイナーにモーションや絵を作ってもらう場合もあれば、詳細な指示で調整することも多く「3フレーム発動部分の表示を早くする」「発動の繋がりを良くするため効果エフェクトの位置を3グリッドずらす」というような調整依頼を出す場合もあるという。
 

◆まとめ◆
講演の最後に井上氏は、難しい技法や表現を駆使しているわけではないが、要所において専用ツールを開発したり、プロセスの最適化を図ってユーザーに見せたい絵を開発メンバーが効率的に作れるようにしていると述べる。つまり、「汎用技法をタイトルに合わせてしっかりと最適化」していくことが重要だとしてセッションの締めとした。
 





 
(文・撮影 編集部:山岡広樹)


 
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企業情報(元気株式会社)

会社名 元気株式会社
URL http://www.genki.co.jp/
設立 1990年10月
代表者 星野孝
決算期 3月
直近業績 未開示
上場区分 非上場
証券コード

企業情報(株式会社スクウェア・エニックス)

会社名 株式会社スクウェア・エニックス
URL http://www.square-enix.com/
設立 2008年10月
代表者 松田 洋祐
決算期 3月
直近業績 売上高2,141億円、営業利益260億円、経常利益253億円、当期純損益198億円(2016年3月期、スクウェア・エニックス・ホールディングス連結)
上場区分 東証1部(スクウェア・エニックス・ホールディングス)
証券コード 9684

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