【インタビュー】1周年を迎える『セブンス・リバース』と15周年の『ファイナルファンタジーXI』が奇跡の遭遇! 田中弘道氏、廣瀬髙志氏が語った実現までの経緯やコラボ内容とは



ガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>のスマホ向けMMORPG『セブンス・リバース』が、2017年11月17日で配信1周年を迎える。先日、その『セブンス・リバース』にて、スクウェア・エニックスの『ファイナルファンタジーXI』コラボが開催されることが発表された。
ガンホー、『セブンス・リバース』×『ファイナルファンタジーXI』奇跡のコラボの開催日を発表! 豪華賞品が当たるTwitterキャンペーンも

『FFXI』と言えば、『ファイナルファンタジー』シリーズ11作品目にして、初のオンラインゲームとして長年サービスが続いている、家庭用ゲームにおけるMMORPGの金字塔と言える作品だ。その『FFXI』、今年15周年を迎えており、サービス開始当時本作をプロデュースしていたのが、現在、『セブンス・リバース』のプロデューサーを務めている田中弘道氏だった。

今回、田中氏が手掛ける新旧RPGによるコラボ開催決定を受け、田中氏、そして『セブンス・リバース』のディレクターである廣瀬髙志氏へのインタビューを実施。廣瀬氏は、『FFXI』と双璧をなすMMORPG『ラグナロクオンライン』で約10年間ディレクターを担当した経歴を持っている。

田中氏と廣瀬氏、MMORPGの二大巨頭に『セブンス・リバース』で開催される『FFXI』コラボについて話を聞いた。


ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
『セブンス・リバース』プロデューサー
田中弘道氏(写真右)
 
ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
『セブンス・リバース』ディレクター
廣瀬髙志氏(写真左)
 
 

■『セブンス・リバース』のこの1年、そして当時の『FFXI』を振り返る



――:『セブンス・リバース』が配信から1周年を迎えることに対するお気持ちからお聞かせください。
 
廣瀬髙志氏(以下、廣瀬):もう1年経つのか、という気持ちです。毎月アップデートを行ってきましたので、ずっと突っ走り続けてきた1年間という感覚がありますし、1年前には想像していなかったゲームに変わったのではないかと思います。ずっとプレイしてくださっている方は、『セブンス・リバース』の歴史をご存知かと思いますが、お休みしていた方も「あれ、こんなゲームだった?」という驚きがあると思うので、そういう意味では1周年を機に、ぜひログインして遊んでみてください。
 
田中弘道氏(以下、田中):『セブンス・リバース』は出るまでが長かったタイトルでした。かれこれ5年間くらい作っていますので、そういう意味では、配信を開始してからのこの1年は、僕らにとっては4年目~5年目の期間にあたるので、正直なところ1周年という実感があまりないんです(笑)。

ずっと作り続けているので、そういう意味ではリリース前の1年間でも大幅にゲームは変わりましたし、リリース後の1年間もその勢いでずっと変わり続けています。ここまで変えていいのかなと思いながらも、やりたいことをどんどんやって、自分たちが一番良いと思える方向に持っていければと考えています。当然、ユーザーさんの声もあるので、皆さんと一緒にゲームを育てていくという気持ちで、2周年に向けて今後も変わっていくんだろうなと思っています。




 

――:その『セブンス・リバース』で、『FFXI』コラボの開催が決定しました。田中さんにとってはかなり思い入れの強い作品だと思いますが。

田中:そうですね。『FFXI』は2000年から、家庭用ゲーム機とPCの両方で遊べるクロスプラットフォームのコンセプトで作り始めました。ただ、家庭用ゲーム機には寿命があって、だいたい5年ぐらいの周期で新しいハードに移り変わるので、当時はプレイステーション2から3への世代交代とともに幕を閉じるのかなと考えていたのですが、PC版があったこともあり長く続いてくれていますね。

僕自身は、10年目か11年目で『FFXI』の現場を退いてガンホーに移りましたが、その後も『FFXI』を引き継いで作り続けてくれた開発現場の皆さんには頭が下がる思いです。彼らに会う度に「もうそろそろ新しいゲームを作ってもいいんじゃない?」と言っているんですが、「まだまだ頑張る!」と言ってくれています(笑)。

 
――:いまも『FFXI』の開発チームとお付き合いがあるんですね。『FFXI』に関わっていた当時、特に印象に残っている思い出はありますか。

田中:あり過ぎて選ぶのが難しいです(笑)。でも、やはり手探り状態でやっていた最初のリリース時でしょうか。『セブンス・リバース』も、スマホのゲームでこの手のタイプはなかったので、同じようにリリース時は手探り状態でした。いままでの家庭用ゲームは発売されたら終わりでしたが、オンラインゲームはある意味そこからがスタートで、ユーザーさんとキャッチボールしながらゲームを作っていくという体制に入ります。

いまでこそソーシャルゲームでは当たり前の作り方ですが、『FFXI』をリリースした15年前はそういう開発スタイルがあまりない時代で、常時接続のネット環境すらない中で、同時接続型のオンラインゲームが果たして受け入れられるのか、という不安もありました。ただ、僕らは自分たちがプレイして一番おもしろいと感じるゲームジャンルだったので、「これから絶対主流になる!」という気持ちを持った中で立ち上げたことが強烈な印象として残っています。




 

――:廣瀬さんは長い間『ラグナロクオンライン』に携わってこられましたが、MMORPGというジャンルで15年運営し続けるというのはやはり難しいものですか。

廣瀬:そうですね。10年以上の年数になると、人々の生活環境が大きく変わってくると思うんです。例えば5歳くらいのお子さんが成人する歳になったり、中高生であれば立派な社会人になっているほどの年月なので、その中でプレイスタイルがずっと変わらず一定ということはないと思うし、ゲームに費やす時間も限られてきます。

いまはスマホが当たり前のツールになって、いつでもどこでもコミュニケーションが取れる時代になりました。昔はゲーム内のチャットでほかの人と時間を共有することがオンラインゲームプレイヤーにとってのメインでしたが、いまは別のツールでそういったことが簡単にできてしまうので、長い時間をゲームに割けないというところで、ゲームの遊び方も変わってきます。

ゲーム本来の仕様が大きく変わるわけではない中で、その時代の遊び方に順応するような仕組みを考えたり、プレイスタイルに合わせたイベントを開催するなど、ユーザーさんのプレイスタイルを意識しながら考えていかないと、10年以上続けることはなかなか難しいですし、いろいろな苦労もありますね。

田中:『ラグナロクオンライン』は、リリース時から関わっていたの?

廣瀬:元々はβテストをプレイしていたユーザーだったんですが、当社がゲームマスターをオープニングスタッフとして募集していたので応募しました。自分が入ったらこうしていきたいという思いや、不満などをたくさんノートに書いて面接に持って行った記憶があります(笑)。

田中:それ、何か嫌だな(笑)。

廣瀬:でも、いざ入ってみると、ユーザーとして思っていた以上に悩みも多いですし、本当はやりたい事、解決したい事があるけれど、いろいろな理由で実現できなかったことがあって、運営の難しさも学びました。でも、遊んでくださっているユーザーさんには関係のないことなので、どれだけ皆さんの思いに応えられるかというところで、『ラグナロクオンライン』の時は日々戦っていました。

田中:「なんで運営は気が付かないんだ」という意見もあると思うけど、それって僕らが5年前、10年前に議論して、議論し尽くした上で敢えて「これは無理だね」と外したものもあるけど、そうは言ってもユーザーさんの声が大きくなってきた場合、システムから見直してがんばって作るということは、『ラグナロクオンライン』にしても『FFXI』にしてもやってきたと思います。




――:廣瀬さんは『ラグナロクオンライン』に関わっていた当時、『FFXI』がMMORPGという同じジャンルで展開していたことについてどう思っていましたか。

廣瀬:昔から遊んで育ってきた世代なので、『ファイナルファンタジー』シリーズは好きです。同じMMORPGということで、一方的にかもしれませんが当然ライバル視はしましたし、『FFXI』も『ラグナロクオンライン』と同じような、運営型ゲームならではの悩みにぶち当たっているなと思って見ていました。

いま『FFXI』でこういう事が起きているけど、我々ならどう対応しただろうか、などと考えさせられることもありました。あと、スクウェア・エニックスさんは自社で開発・運営されているので、やりたいと思ったことはすぐに実現できそうな気がしてうらやましかったです(笑)。

田中:『ラグナロクオンライン』は韓国のグラビティ社が開発して、日本で運営するスタイル。そこの障壁はないにしても、規模が大きすぎてそう簡単にできないですよね。例えば『ラグナロクオンライン』の場合、日本のユーザーからの声を運営が受けて開発に投げるんでしょうけど、僕らの場合は運営のステップが開発と同じでした。ただ、それでもできる事とできない事があって、そこは僕らもジレンマでしたね。

先ほど話したように、散々議論した上で敢えてやらなかったことは山のようにあるわけです。何か1つを外すと全て崩れることも結構あるので、じゃあそれをやる代わりにこの要素を諦めないといけないね、という取捨選択の判断が必要です。

『FFXI』も当時は月一でアップデートしようという目標はありましたが、なんだかんだリリース直後の色々な改修や、ユーザーからの意見を汲み上げた改修方法に変えていこうとすると、アップデートのスパンが伸びていって、最終的には3か月に一回とか、半年近くアップデートできなかったときもありましたね。

そういう意味では、『セブンス・リバース』は月一のアップデートを実現できているので、当時を考えると夢のようです(笑)。これも開発メンバーががんばってくれているおかげです。

 
――:お二人は長年MMORPGに関わっていますが、今と昔とでは同ジャンルを取り巻く環境はやはり変化しているのでしょうか。

田中:当時はガラケーやスマホのゲームがなかった時代で、ゲームと言えば家庭用ゲーム機かPCで、モニターの前に座っていわゆる長時間プレイするのが当たり前でした。『FFXI』は当時、仲間が揃わないなどパーティー編成だけで2~3時間かかるようなこともあったようですが、スマホがゲームのメインプラットフォームになり、パッとプレイしてサッと止められるゲームじゃないといけなくなってきており、時間拘束が一番難しい状況になっていると思います。

元々『セブンス・リバース』を作るキッカケは、相手の時間に制限されず自分の好きな時間にプレイできるスタイルで当時のようなMMORPGを作りたい、というところからスタートしました。相手と別々の時間にログインしても、いつものメンバーでパーティが組めるようにしたのが『セブンス・リバース』なんです。

やっぱりスマホの環境の激変によって、プレイヤーさんのプレイスタイルも変わってきていると思います。かと言って、それがイコール、ライトなゲームなら良いというものでもなく、いつでもどこでも遊べるものでも、やり応えのあるガッツリしたゲームは求められていると思います。『セブンス・リバース』は、ちょっとやり過ぎなくらい、スマホゲームではかなり硬派になっていますが、それをおもしろいと思ってくれるユーザーさんが付いて来てくれています。

廣瀬:MMORPGは、先ほど田中が言った通り、同じくらいの強さで、同じ目的を持った人同士が集まって時間を共有するための準備時間を用意しづらい時代になってきたと思います。僕の世代ですと、まだゆっくりとご飯食べたりテレビ見ながら待っていられましたが、パーティーが揃ったころには1~2時間経っていて、いざダンジョンに行くと現地で寝ちゃう人がたまにいるくらい疲弊するんですよ(笑)。装備も、このパーティー、このクエストに参加していい装備なのかという、これまた面接みたいなことが始まったり、パーティーを集めるほうも参加するほうも、楽しいと思う反面、わずらわしい部分もあって。

それがだんだんとルーム制だったり、マッチングのアルゴリズムが発達してきたところを見ると、時代としてそうなっていないと、ほかのプレイヤーと純粋に同じ時間をゲームに集中して楽しむことがなかなか難しくなってきたんだろうなと感じています。



 

■『セブンス・リバース』を通じて田中プロデューサーと『FFXI』が再会



――:『セブンス・リバース』と『FFXI』のコラボが実現するに至った経緯についてお聞かせください。
 
田中:いまから5年前、僕が体調を崩しまして、MMORPGのように常に張り付かなければいけないゲーム開発に携わるのが健康面から難しくなり、『FFXI』の開発から退きました。その後、いろいろありまして完全復活はしましたが、今も毎月病院に通っているんです。その病院が、たまたまスクウェア・エニックスさんのオフィスが入っているビルの近くにあるんです。だから病院の帰り掛けにオフィスに寄って、昔の仲間と一緒に昼ご飯を食べたりしています(笑)。

去年の暮れくらいに、『FFXI』が15周年を迎えるという話を聞いて、「何か一緒にやれるといいね」というところから、毎月会っている内に話が膨らんでいったのがひとつのキッカケでした。

今もそうだと思いますが、『ファイナルファンタジー』というIPは、いわゆるコラボという形では、ほかのタイトルを『ファイナルファンタジー』の世界に入れるということをしていないと思うんです。だから相互コラボというやりかたが非常に難しいのですが、いまのソーシャルゲーム、スマホゲームってコラボありきのゲーム文化があると思うので。スクウェア・エニックスさんとコラボについて話し始めて1年半くらい経って、『FFXI』なら組めるかもという話になり、ちょうど『FFXI』も15周年だったので一緒にやりましょうということになりました。

ただ、『FFXI』はかなりこだわって世界観がガッチリ作られている。ほかのゲームの世界観を入れるのは難しいので、ウェルカムバックキャンペーンという形でのコラボだったらできるんじゃないかという話になりました。



――:作品の世界観を崩さずに融合させるのはかなり大変そうですね。

田中:世界観については、『セブンス・リバース』もしっかり作っているので、3~5年前の開発段階では、僕らもコラボは全然考えていませんでした。でも、いまのスマホの文化もありますし、実際にやった『七つの大罪』や『進撃の巨人』とのコラボは、世界観がうまく収まって、お互いの世界観を崩さずにコラボすることができていたので、そういうやり方ならできるという、ちょうといい落としどころを見つけることができました。

決して他作品を批判しているわけではないですが、ただカードを出すだけのコラボではなく、僕らはあくまでもコラボする以上お互いの世界観を大事にしながらしっかり作ろうというスタンスです。それが今回の『FFXI』コラボでもうまくハマったかなと思っています。

廣瀬:以前、『セブンス・リバース』のユーザーさんに「どういった作品とコラボしてみたいか」というアンケートを取ったんですが、RPGのジャンルでは『FFXI』がかなりの大差で1位でした。開発チームの中にも、『FFXI』のユーザー……というかヘビーユーザーがいまして(笑)、「ぜひやろうよ!」という熱い思いを持ったスタッフがおり、こだわりをもって作っています。
 
田中:そういう意味では、『FFXI』チームにも、『セブンス・リバース』のヘビーユーザーがいて、かなりやり込んでいるようです。松井プロデューサー自身も、超ハマっているようで(笑)。そういうこともあって、コラボをやろうと決まってからはとんとん拍子で話が進んでいきました。あまりゲームについて細かい説明をしなくても、お互いが「あれ」と言えば「はいはい」とわかってくれて。

廣瀬:そこは非常に助かりましたね。ゲームの説明をしなくても、やりたいことだけお話したらだいたい理解してくださいまして。

 

■『セブンス・リバース』で行われる『FFXI』コラボの気になる内容は?



――:今回のコラボはどのような内容になのでしょうか。
 
廣瀬:一番の目玉は、『FFXI』ユーザーにはお馴染みの装備品があると思うのですが、武器に関してレリックウェポンから10種類が登場します。また、竜騎士、忍者、白魔道士という3ジョブ分のアーティファクト防具も登場します。これらはガチャからも手に入りますが、ゲーム内のイベントダンジョンに参加することでも見た目が同じものが入手可能です。


▲竜騎士セット(ドラケンアーマー)


▲忍者セット(乱波装束)


▲白魔道士セット(ヒーラーアタイア)


田中:そういう意味では、竜騎士は新ジョブなので目玉ですね。『セブンス・リバース』には竜騎士というジョブの設定はあったのですが、それがたまたま『FFXI』とのコラボのタイミングとマッチしました。

廣瀬:そうですね。竜騎士の実装時期はそこまで固めていなかったのですが、『FFXI』コラボの実施が決まった瞬間、これは竜騎士を出すしかないと考え、コラボと同時に竜騎士を実装します。

それから、『FFXI』でおなじみのゴブリンやマンドラゴラ、闇の王が特設のダンジョンに登場します。ゴブリンとマンドラゴラに関しては、『セブンス・リバース』でトレジャーハントというイベントを毎月行っているのですが、いわばその『FFXI』版ダンジョンに登場します。


▲ゴブリン


▲マンドラゴラ


このダンジョンにはストーリーも付いていまして、元々『セブンス・リバース』のトレハンダンジョンにゴブリンは登場していますが、『FFXI』にもゴブリンがいますので、ゴブリン同士の絡みも楽しんでいただければなと思っています。闇の王は、月一開催のアサルトバトルというギルド協力型イベントのボスとして登場します。闇の王は『FFXI』のユーザーさんだったら知らない方は……。

田中:いないと思います(笑)。


▲闇の王

廣瀬:ぜひ、バトルだけではなくストーリーも楽しんでもらいたいです。それから今回はBGMも、スクウェア・エニックスさんからお借りしています。それと、マンドラゴラとゴブリン、モーグリのキャップ(頭装備)も入る予定でして、非常に可愛らしいデザインになっていますので、是非イベントに参加してゲットしてください。

――:コラボに登場する装備は、田中さんと廣瀬さんがチョイスされたんですか。

田中:いえ、そこは『セブンス・リバース』開発チームで一番『FFXI』にハマっていたメンバーが決めました(笑)。『セブンス・リバース』では、重装、軽装、法衣という3つのタイプがあるんですが、今回の竜騎士、忍者、白魔道士についても、そのメンバーがチョイスしました。

廣瀬:単純な人気で言えば、赤魔道士やナイトも出したかったのですが、それはまたの機会に実現できればと。

田中:今回、スクウェア・エニックスさんからは「このジョブじゃないほうがいい」という意見もありましたね。『FFXI』のスタッフが『セブンス・リバース』で自分のやっているジョブの衣装を出してほしいと(笑)。

廣瀬:確かモンクでしたっけ? 「忍者じゃなくて、私はモンクがいい」という某お方のご要望もありましたが、残念ならが今回は忍者にさせていただきました(笑)。



 

――:『FFXI』好きのメンバーのチョイスで、スムーズにコラボ内容も決まっていったと。

廣瀬:ジャンルが同じMMORPGということで、武器種的には『セブンス・リバース』に採用しやすかったです。ただ苦労したというわけではないのですが、ブラビューラという戦士の長剣が出てくるのですが、本来は斧なんですよね。

田中:そうそう。武器種に関しては、『FFXI』にはあるけど『セブンス・リバース』側になかったりということもあるので、そこを置き換えながら当てはめていく必要はありました。

廣瀬:狩人の与一の弓も、『セブンス・リバース』の弓はボウガンタイプなので、その辺はアレンジが必要でしたが、スクウェア・エニックスさんにはお許しをいただき助かりました。

――:今回のコラボに関して、ゲームの仕様や遊び方の部分でこだわられたことはありますか。

廣瀬:今回のコラボで大きく仕様が変わったということはないのですが、『FFXI』は言わずもがなRPGジャンルで非常に親和性が高いタイトルですので、ある意味ごまかしづらいと言いますか、全く異なる他ジャンルの作品の場合は、ある程度「ゲームにしたらこうだよね」とごまかせる部分があると思うのですが。

今回は元々がゲームなので、その辺はなるべく『FFXI』のイメージを壊さずに作るという部分はこだわったというか苦労しました。例えば、竜騎士のジャンプの仕様も、プログラマーとプランナーとで相当揉んでいましたね。

田中:なぜ竜騎士がジャンプなのか、というところですが、僕的には黒歴史なので封印したいんです(笑)。

廣瀬:ちょっと! 僕らの世代は竜騎士と言えばジャンプで育ってきたんですよ!(笑)。

田中:『ファイナルファンタジー』シリーズで最初に竜騎士が出てきたときに、疲労で頭の中がぶっ飛んでいた状態だったので、竜騎士と言えばジャンプでしょと言い張っていたんです。だから当時は、竜騎士はジャンプするものと信じて疑わなかったけど、後になって冷静に考えると「なんでジャンプなんだろう?」って。頭の中のイメージでは、ワイバーンに飛び乗って上空から落ちてくるというイメージでしたが、ファミコンのグラフィックでそれどうやって再現するんだという話で(笑)。

廣瀬:でも、逆に『ファイナルファンタジー』でジャンプしない竜騎士って言われると「?」となってしまいますよ。そういう意味では、『ファイナルファンタジー』シリーズを知っている多くのファンのイメージを壊さないようにするという部分が、仕様面でこだわったところです。

田中:『セブンス・リバース』の1周年に向けて毎月アップデートしていこうというロードマップの中で、今回はかなり大幅に変えていて、それと並行して1周年の企画や『FFXI』コラボもやっているので、開発現場は相当大変だと思います。

――:1周年ということでかなりお祭り感がありますね。

田中:『FFXI』自体の15周年は、今年の5月でしたが、毎年11月11日は『FFXI』の日と言い張っているので(笑)、そこに合わせて『セブンス・リバース』も11月17日に1周年ということで、11月にコラボすることになりました。



Illustration: Yusuke Naora
▲こちらは、直良有祐氏による描き下ろし1周年記念イラスト。
 

――:改めて今回『FFXI』とのコラボ企画を進める中で、何か感じたことはありますか。

田中:『FFXI』のデータをスクウェア・エニックスさんから提供してもらっているんですが、数世代前のツールで作られたデータばかりで読み込めず、どうやって読み取ったらいいかをお互いやりとりしたのは大変でしたね。実は何度か『FFXI』を作っているとき、ガンホーグループのゲームアーツに「一緒にやってもらえませんか?」というヘルプを出したことがあったんですが、その当時ですらゲームアーツは次世代のツールを使っていたので、「うちではもう使っていないツールなので無理です」と言われたことを思い出しました(笑)。

廣瀬:大変だった話で言うと、正確には僕自身ではないのですが、『FFXI』好きのプランナーがいまして、ファンの皆さんにどういうシナリオを提供したら楽しんでいただけるのかというプロットをいろいろ書いていたのですが、『FFXI』ユーザーの中でもかなりコアな方にしか伝わらないプロットばかりになってしまい、田中と松井プロデューサーに見てもらったときも二人に「やり過ぎ」と言われて我に返っていたプランナーがいました(笑)。

やはり同じ目線というか、『FFXI』をずっと愛して遊んできたプレイヤーの目線でいろいろな思いでがよぎったんでしょうね。『セブンス・リバース』のファンの方にも、ネタの全てがわからなくとも世界観を楽しめる要素はないといけないと思っています。両タイトル要素のバランスが難しかったですね。



そういう意味で言うと、『セブンス・リバース』のシナリオを書いていただいている、井上信行さんも元々スクウェア出身の方で、『セブンス・リバース』も『FFXI』もかなりやっているということで、今回のコラボのシナリオはどちらの良さも活かしたおもしろいドラマシーンになっていると思います。是非ご期待いただければと思います。

――:今回のコラボがかなり魅力的な内容であることがわかりましたが、改めてお二人がこのコラボで一番ユーザーにアピールしたいポイントは。

廣瀬:個人的には装備品です。かっこよく作るのは当たり前ですが、『FFXI』の頭身って8頭身と大きく、『セブンス・リバース』は4.5頭身くらいなんですが、うまくマッチしました。おしゃれとしても映えると思います。『FFXI』の装備でアバターを着せ替えて楽しめるというところは、非常に魅力的だと思いますので上下セットで揃えていただきたいです。

田中:僕はやはりBGMですね。スクウェア・エニックスさんからBGMをお借りすることができましたので、それを『セブンス・リバース』の世界で聴けるというところを楽しみにしていただければと思います。

――:それでは最後に『セブンス・リバース』ファン、『FFXI』ファンにメッセージをお願いします。

田中:『FFXI』のプレイヤーにとっても、『セブンス・リバース』は十分歯ごたえのあるスマホゲームだと思います。また、『セブンス・リバース』のプレイヤーで『FFXI』未プレイの方には、このコラボを通じて『FFXI』はこういうゲーム性があるんだと知ってもらいたいと思います。お互いのファンが、このコラボをキッカケとして、両作品をプレイしてもらえたらうれしいです。

廣瀬:『セブンス・リバース』開発チームの中に熱意を持った『FFXI』のファンがいますので、こだわりを持って制作したコラボ企画を『FFXI』のファンの皆さんに楽しんでいただきたいです。また、『セブンス・リバース』を遊んだことのない方がいらっしゃれば、田中の次のMMORPG作品はどんなものだと興味を持っていただて、一度遊んでいただけるとうれしいです。

そして『セブンス・リバース』のユーザーの皆さんには、『FFXI』所縁のアイテムが登場するなど『FFXI』ネタ一色でやっていきますが、随所に『セブンス・リバース』らしさ、おもしろさの掛け合わせが見られると思いますので、そういう部分も楽しんでください。そして、装備品もすごくかっこよくて、かわいい帽子も登場するので、おしゃれには持ってこいだと思います。ぜひ、コラボ装備で着飾って、『セブンス・リバース』をこれからも楽しんでいただけたらうれしいです。




■『セブンス・リバース』

 

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ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
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会社情報

会社名
ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
設立
1998年7月
代表者
代表取締役社長CEO 森下 一喜
決算期
12月
直近業績
売上高1253億1500万円、営業利益278億8000万円、経常利益293億800万円、最終利益164億3300万円(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3765
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