新年のご挨拶(株式会社ビジプル 長谷部潤)



明けましておめでとうございます。ソーシャルゲームインフォの長谷部です。いつも当メディアサービスをご覧いただきありがとうございます。


 
ソーシャルインフォ社は、社名変更し業務拡大へ

さて、2018年1月1日より当メディアサービスの運営会社である株式会社ソーシャルインフォは、社名を株式会社ビジプルへと変更し、事業領域もこれまでのメディア事業のみならず、拡大・多角化の方向へと向かうこととなりました。

すなわち、新会社たるビジプル社は、①メディア事業(従来からの事業:ソーシャルゲームインフォの運営)、②グッズ・イベント事業(親会社たるコロプラ社からの事業分割)、③プラットフォーム受託事業(親会社からの受託)、の三つの領域に跨ることとなり、以て各事業を有機的に連携させ、事業の拡大を目指すこととなります。


 
日の目を見ていないゲームIPの掘り起こしを目指す

狙いは、IP活用・育成支援分野への本格展開です。多くのゲーム企業は、それぞれかなりの数の自社IPを保有しています。しかしながら、それらの多くは日の目を見ているとは言いがたい状況にあります。換言すれば、一部の大手ゲーム企業のみが映像化やコミック化など大規模でマルチプルなIP展開を実現出来ているだけで、良質ながら埋もれてしまっている独自の自社IP群が、数多くゲーム業界には存していると考えています。

ビジプル社は、そうした各社の自社IP群を、グッズ化によりゲーム以外での「形あるモノ」にし、リアルイベントで現実の場でのユーザ接点を持たせ、さらにはソーシャルゲームインフォにてゲームのみならずそれらグッズやイベントの紹介をすることで、各社の良質な自社IP群を掘り起こしてゆくことを目指しています。


 
スマホゲーム業界は人気IPモノ一辺倒へ

昨今のスマートフォンゲーム市場における「(人気のある)IPモノ一辺倒」の風潮は、イノベータ理論におけるレイトマジョリティ層――流行には関心は低く、見知ったもの以外にはとても警戒心を抱く人たち――が、ゲーム利用者のメインストリームへとのし上がったため、という理由だけでは説明がつかないほどの勢いを見せています。

そもそもIPの強みとは何でしょう。認知度が高く親しみがあるため広告宣伝効果が高いこと、いわゆるキャラ立ちしているため上手にそれを生かせばより面白いゲーム設計が可能となること、など様々な強みが挙げられます。その中で私は最近、IPの大いなる強みの一つとして、「長寿であること」に注目するようになりました。

例えば、スマホゲーム売上での上位アプリで良く目にする人気IPで言うと――「機動戦士ガンダム」の初回放送は1979年(39年前)、「ドラゴンボール」の初回発表は1984年(34年前)、「ドラゴンクエスト」の第一作発売は1986年(32年前)となっています。最近といえば最近かなぁ、と思える「ONEPIECE」でさえ、初回発表は1997年と21年前となっています。

人気IPだから長寿なのか、長寿だから人気IPになれたのか、おそらくともに必要なことなのだと思われます。ただ興味深いのは、人気IPを用いて一定以上の成功を収めたゲームの多くが、当該IP同様に長い人気を保っている、ということです。IPの持つ長寿力がそのIPを採用したゲームに対しても同じような影響力(=長寿)を及ぼしているのです。


 
商品を通じて思い出を作れたときその商品はロングセラーとなる

ゲームに限らず長寿=ロングセラーと評されている商品の多くは、長期にわたって消費者・ユーザと関りを持つようになります。そして、そうした商品と長く関わる中で、消費者やユーザの心のうちに何らかの「物語性」が、それら商品を通じ形成されるようになってくると私は考えています。ロングセラーと呼べる商品やサービスに接し、ちょっとした思い出を瞼に浮かべる人も多いことでしょう。

あるお菓子を食べて学生時代を思い出し、久しぶりにディズニーランドに行って自分の子供が小さかった頃を思い出し、マリオを見て自分自身が子供だった頃を思い出す。商品が人々の人生にそれぞれの小さな物語を作り出し、それが記憶としてかけがえのないものとなったとき、その商品はロングセラー=長寿、と呼ばれるレベルにまで達したと言えるのではないでしょうか。


 
ゲーム発で人気IPを生み出すには「時間」と「頻度」の掛け算が必要

ゲームから生まれたマリオやドラクエ、FFといった人気IPの多くも、ユーザに多くの思い出を与え続けてきました。こうしたユーザの思い出となるほどのIPになるには、相応の「時間」と「頻度」の二つが必要になってきます。

特に後者はハードルが高く、例えば、任天堂社の「マリオ」ですと、初登場が1983年(35年前)とこれもスゴいのですが、頻度に至っては家庭用ゲーム機向け、携帯型ゲーム機向けに絞ったとしても、257タイトル(83年のマリオブラザーズ、ドンキーコングなどから昨年のスーパーマリオオデッセイまで)に登場しているのです。


 
スマホ向けゲームはその性質上IPを育てにくい…

家庭用ゲーム機向けゲームですと、販売モデルの多くが売切り制です。タイトルの継続的更新が容易であり(ナンバリングタイトルなど)、IPは一定度の鮮度維持・向上が可能です。一方、スマホ向けゲームですと、販売モデルの多くはフリートゥプレイ(=アイテム課金型)モデルです。多少のアプリ本体のブラッシュアップはあれども基本は継続運用であり、ゲーム内イベントによるIPの鮮度維持・向上に勤しむ他ありません。

スマホゲームのゲーム内イベントは濃淡あれど多くは毎月のように実施され、同様に頻度高く新作キャラクターが投入されています。結果、次々と多くのキャラクターが乱立し、IPとしての魅力の希薄化がどうしても避けられません。またゲーム設計上、一定のインフレが起きるため、なおさらキャラクターへの思い入れは低下してしまいます。

このようにスマホゲームは、時間をかけてかつ頻度高くIPとユーザとを結びつけて、ユーザの思い出へとつなげていく、ということがその性質上とても不得手であることが分かるかと思います。「スマホゲーム発によるロングセラーIP」は「スマホゲームサービスのみでの展開ではなかなかに難しい」ということなのです。


 
業界トップはIPの「寿命」と「リアル」を強く意識し始めている

数年前、ある大手ゲーム事業者トップとの会話の中で、とても印象深いコメントがありました――「家庭用ゲーム機向けだと、どうしてもリリースサイクルが3年前後になってしまう。そのリリースの谷間の時間がすごく怖い。ユーザから忘れられてしまうのではないか、と思ってしまう。そのためそのリリースの谷間に、映画やコミック、モバイル向けのライトなゲームなどを提供し、『記憶をつなぎとめる』ようにしている」と。

また、こちらも別の大手ゲーム事業者トップによる言ですが、「コンテンツについて言うと、時代は一巡してデジタルからリアルへとまた戻ってきたのではないか。少なくともゲームに関して言うと『延命』という目線からもリアルへの参加は必須であろう」と。

奇しくもともにゲームIPの寿命(=IPに対するユーザの記憶)に対しとても気を配り、同時にそのためにもゲーム以外の領域でのIP展開が必須であるとおっしゃられています。


 
ゲームIPとユーザとの「接点」を増やすことがビジプル社のミッション

ビジプル社が、メディアサービスのみならず、グッズ、リアルイベントにまでその事業領域を広げようと決めたのは、ゲームIPとユーザとの「接点」をゲームのみに置くのではなく、他の手段・シーンにも広げることが出来ないか、と考えたことが起点です。そして、複数のユーザ接点を持ったゲームIPが、ユーザの人生のどこかに登場し、ユーザの思い出となり、結果としてロングセラーIPになることへの一助になれれば、と願ったからです。

新生株式会社ビジプルは、ソーシャルゲームインフォを中核に、IPのグッズ化やリアルイベント支援を通じ、良質なコンテンツを皆様にご提供してゆきたいと考えています。引き続いてのご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます(なお、わたくし長谷部は、今回の業容拡大を機に代表取締役社長を退任することとなりました。今後は、取締役主筆として経営全般と筆政の任を果たしてゆく所存です)。


 
株式会社ビジプル
取締役主筆 長谷部 潤