【イベント】『ファイナルファンタジー』を通して受けたあの感動をもう一度…”別れ”をテーマにした大規模展覧会「別れの物語展」をレポート

 
スクウェア・エニックスは、1月22日~2月28日までの期間、六本木ヒルズ森タワー52階 森アーツセンターギャラリーにて、全世界累計1億3,500万本以上の出荷・ダウンロード販売を誇るRPGシリーズ『ファイナルファンタジー』誕生30周年の集大成として、30年の歴史を”別れ”をテーマに振り返る大規模回顧展「FINAL FANTASY 30TH ANNIVERSARY EXHIBITION -別れの物語展-」を開催する。
 
今回は、一般オープンに先立ち、プレス向け発表会および内覧会が実施されたので、そちらの模様をレポートとしてお届けしていく。
 
 

■”別れ”があるからこそ新たな出会いがある

 
まず始めに、スクウェア・エニックスの松田洋祐社長が登壇し、主催者として挨拶を行った。
 

▲松田社長は、『ファイナルファンタジー』誕生30周年となった昨年からの1年を振り返って感謝を述べた。また、「この”別れの物語展”で『ファイナルファンタジー』の今までの歴史を振り返っていただくと共に、発展・進化に想いを馳せていただければと思います」とコメントした。
 
続いて、スクウェア・エニックス ファイナルファンタジー30周年統括プロデューサーである橋本真司氏が展覧会の見所を紹介。なお、展覧会の詳細については内覧会レポートとして後述する。
 

▲今回、巨大シアターにて来場者参加型で行われるオープニング、初公開となる設定資料、『FFXV』における”幻の結婚式”、さらにはリメイクで話題になっている『FFVII』からエアリスが残した最後の言葉など、音声や映像が来場者を感動の世界に誘ってくれるとのこと。橋本氏は「”別れの物語展”ということで暗い印象を持たれるかもしれませんが、皆さんが経験した仲間との別れがあってこそ新たな出会いがあると思います」と話した。
 
その後、ゲストとして『ファイナルファンタジー』の生みの親である坂口博信氏、シリーズ1作目からロゴイラストやイメージイラストを担当しアートの根底を支える天野喜孝氏が登壇。坂口氏は「新しいことにチャレンジし続けるのが『ファイナルファンタジー』だという精神は若い世代に引き継がれていて、まだまだ成長していることを実感しています。30年という時間を経ても、こうして輝き続けられていることは本当にありがたいです」と語った。
 
 
▲坂口博信氏(写真左)と天野喜孝氏(写真右)。
 
そして、ここからはいよいよ内覧会の模様をお届け。
 

▲待機列には、これまでの『ファイナルファンタジー』シリーズの年表がズラリと並んでいる。ナンバリングからスピンオフ、移植・リメイクまで、30年という時を経て、数々の名作が誕生した。

本展覧会最大の特徴は、何といっても「音声ARシステム」を導入していることだ。入場時、来場者には1台のスマートフォン端末とイヤホンが手渡される。会場内には約150個のBracomが設置されており、そこから発信される信号を端末がキャッチすることで展示物やブースに合わせた楽曲と詳細解説が流れるようになっている。
 
また、さらに驚くべきは、入場前に記入したアンケートから、来場者の属性に応じてパーソナライズされたナビゲーションが流れてくることだ。自身がプレイしていない作品でも、展示されている別れのシーンを詳細に解説してもらえるため、そこから興味が湧き「帰ったらプレイしてみたい!」と思えること請け合いだろう。
 

 
▲オープニングでは、入場時に手渡された端末を使い、巨大シアターに映る大迫力の幻獣バハムートとバトル! ここから『ファイナルファンタジー』の世界を回顧する旅が始まる。



▲こちらは『FFI』~『FFVI』の別れの名シーンを映像やパネルで展示したエリア。音声解説では、開発時のエピソードや作品・シーンに対するユーザーの反応、当時の世間の流れなども合わせて情報として発信されるので、自身の経験が色濃く想起できるのがポイントとなっている。
 

 
 

▲続いては『FFVII』~『FFXIII』の別れの名シーンをミニシアター形式で展示。『FFVII』の主人公・クラウドの武器"バスターソード"や、『FFXII』に登場する"ジャッジ・ガブラス"のスタチューも。
 


▲『FFX』エリアには、主人公・ティーダとヒロイン・ユウナの出会いから、徐々にそれぞれの哀しい運命が明らかになり、別れのラストシーンに向かっていく様子が、二人の会話と映像で再現されたインスタレーション空間も。モニターとミラーが複雑に配置された部屋の中でティーダとユウナの旅の軌跡や言霊が重なり、そこはまさに作中に登場する異界のように幻想的な空間となっていた。
 
 
▲キャラクターデザイナー・野村哲也氏が本展示会のために描き起こしたイラストや、『MOBIUS FINAL FANTASY』にて描かれた、ティーダとユウナのその後の物語「DREAM WITHIN A DREAM 永遠の夢」の上映も。
 

 
 
▲『FFXV』エリアには、物語の記録だけでなくフィギュアや設定資料も数多く展示されていた。


▲さらに、ゲーム本編のラストシーンで一瞬だけ映し出された、幸せそうな主人公・ノクティスとヒロイン・ルナフレーナを中心に"幻の結婚式"として再現。父レギスや親友たちが祝辞を述べる姿は本展覧会のために用意された特別なシナリオとなっている。


 
 
▲『FFXIV』からは、イシュガルドの地に散った戦友、オルシュファンとイゼルに捧げる追憶の部屋として、クルザス中央高原にたたずむ墓標や、精巧なシヴァの造形が飾られている。本エリアで流れる楽曲「Dragonsong」「Oblivion(弦楽四重奏版)」の曲調が、より物悲しさを引き立てる。



▲『FFXI』エリアでは、シリーズ初のオンラインゲームとして15年以上続く歴史を、追加ディスクごとに紹介。各シナリオの名シーンをダイジェストにした動画のほか、天野氏によるイラストも展示されている。


▲最後の展示エリアでは、『FFVII』のクラウドとヒロイン・エアリスが初めて出会う「スラムの協会」を再現。協会の中を自由に歩き回りながら、今回のために特別に収録されたエアリスの言葉に耳を傾けることができる。

 
▲設定資料に加えて、今回は掲載できないが本エリアには「FFVII REMAKE」から初公開となるイメージボードも複数点展示されていたので、気になる方は是非、ご自身の目で確かめに行ってみてほしい。


▲エンディングエリアでは、坂口氏や天野氏、植松氏を始めとした『FF』シリーズに馴染み深いクリエイターたちから30周年に対してのメッセージがつづられている。


▲さらに、エンディングエリアにある専用デバイスに音声ガイド機をかざすことで、自身の名前が"別れの物語"の歴史に刻まれる。端末の返却時には、展覧会内で自身の音声ガイド機から流れた楽曲をプレイリストとして印字/配布している。プレイリストは自身の流したものに加えニックネームまで記載されているので、各々"自分だけの別れの物語の思い出"を持ち帰ることができる。


 
▲フォトスポットには、天野氏が『FFXV』のために描いた「BIG BANG」を別アプローチで描き直した大型作品「BIG BANG -誕生-」や、田中達也氏が制作するミニチュア作品などを展示。

そのほか、同フロアにあるカフェ「THE SUN」では、ファイナルファンタジー30周年を記念して、オリジナルコラボメニューを販売している。また、50Fでは本展覧会のパンフレットなどFINAL FANTASY 30周年関連グッズを販売しているので、是非、覗いてみてはいかがだろうか。



と、ここまで「FINAL FANTASY 30TH ANNIVERSARY EXHIBITION -別れの物語展-」の様子をレポートさせていただいたわけだが、筆者が本展覧会に訪れて強く伝えたいと感じたのは、映像と音声から想像を掻き立てられることにより体験として感動が色濃く残っているということである。もちろん、今回のレポートで写真やテキストからも迫力や充実度を感じていただけたと思うが、現地での感動はさらに段違い。そこには、決して展示物を見て終わりなだけではない体験が待っているので、現地へ足を運べる方は、是非とも自分の身で確かめていただきたい。

 
(取材・文 編集部:山岡広樹)


 
■「FINAL FANTASY 30TH ANNIVERSARY EXHIBITION -別れの物語展-」​
 

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設立
2008年10月
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代表取締役社長 桐生 隆司
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3月
直近業績
売上高2428億2400万円、営業利益275億4800万円、経常利益389億4300万円、最終利益280億9600万円(2023年3月期)
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