【エイチーム決算説明会】今期は中長期の成長に向けた“種まき”の期に…ライフ事業で8つの新事業立ち上げ エンタメ事業は協業タイトル『スタリラ』に注力


エイチーム<3662>は、9月7日、東京都内で2018年7月期の決算説明会を開催した。同日に発表した2018年7月期の連結決算は、売上高376億7400万円(前々期比8.9%増)、営業利益47億100万円(同15.3%増)、経常利益47億3000万円(同14.9%増)、最終利益33億600万円(同28.2%増)となった。

説明会では、同社の林高生社長が決算概要やセグメント別の事業状況、足元の第1四半期の進捗などの説明を行った後、質疑応答が行われた。今回はその会見の様子をまとめてみた。
 

■QonQでは減収減益 ライフ事業は繁忙期の反動減 エンタメ事業は新作振るわず


まずは第4四半期期間(5~7月)の業績を四半期推移(QonQ)で見てみると、売上高は前四半期8.1%減の93億3500万円、営業利益は同49.1%減の8億9200万円、経常利益は同50.6%減の8億7800万円、最終利益は同46.2%減の6億5500万円となった。ライフスタイルサポート事業(以下、ライフ事業)が第3四半期に繁忙期を迎えていた反動減となったことに加え、エンターテインメント事業(以下、エンタメ事業)も新作『三国BASSA!!』が既存ゲームアプリの売上減少分を十分には補うことができず、減収減益にとどまった。
 

続いてセグメント別の広告宣伝費の推移を見ると、全体では1億円強の減少となっているものの、エンタメ事業の広告宣伝費が増加している。これは、『三国BASSA!!』のリリースに伴う広告宣伝費のほか、『ヴァルキリーコネクト』の周年イベント、そして6月23日に発表された新作『少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE-』(『スタリラ』)についても先行した宣伝費が発生したためだという。

これは第3四半期決算の発表時に担当の中内之公エンターテインメント事業本部長が「4Q(の広告宣伝費)は3Qプラスアルファくらいで」としていた通りの規定方針どおりのものと言えそうだ。
 

人員数の四半期推移に目を移してみると、ライフ事業の人員数が前四半期比で57名増と大きく増加している。これは中長期的な成長に向けて積極採用を続けているためで、同社は採用について、「グループで毎月20名くらいを採用している。新卒については今年は80名くらいを考えている」(林社長)とするなど、引き続き積極採用を進めていくもようだ。
 
 

■『ヴァルコネ』『ユニゾンリーグ』など国内の既存タイトルが緩やかに減少


続いてセグメント別の状況を見てみたい。まずは2018年7月期通期で売上高の50%以上を占める形となったライフ事業については、前述のとおり、QonQで減収減益となったものの、YonYでは売上高が前年同期比36.3%増となるなど順調な成長を続けている。ちなみにYonYでは4つの主要サブセグメントすべてが増収となっている。
 

次にエンタメ事業だが、『ヴァルキリーコネクト』や『ユニゾンリーグ』など既存タイトルの緩やかな減少が続いている。これを新作の立ち上げで補うのが当初の計画だったわけだが、『三国BASSA!!』がスロースタートとなったことでカバーすることができていない状況だ。

なお、海外売上については、横ばいでの推移となっており、結果として海外売上比率は前四半期の28%から30%に上昇する形となっている。
 


EC事業については、こちらも第3四半期が繁忙期に当たることもあり、QonQで減収となった。また、YonYでも減収となっているが、これは商品構成の見直しを行い、廉価商品の取り扱いを中止したことによるものとのこと。
 
 

■ライフ事業は8つの新規サービスを立ち上げ エンタメ事業は新作『スタリラ』に注力


2019年7月期については、中長期の成長に向けた“種まき”として先行投資に取り組んでいく。前述の通り、人材採用も積極的に行っていくほか、ライフ事業では8つの新規サービスの立ち上げを進めていく。
 

一方、エンタメ事業については、既存の主力タイトルの収益最大化を図りつつ、ブシロードとTBSテレビとの協業タイトルとなる新作『少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE-』の開発に注力していく。なお、本作については、「リリース時期は明言できない」(同)としていたが、足元はプロモーションのための先行投資を行っているとしていた。

さらに今後の新作の考え方についても「良いパートナーがあれば、協力しながら新作をつくっていきたい」(同)と協業スキームでの開発も視野に入れているもようだ。

また、『三国BASSA!!』については、大型改修後の集客に向けた広告投資を予定しているという。
 

なお、2019年7月期通期の連結業績予想は、売上高400億円(前期比6.2%増)、営業利益40億円(同14.9%減)、経常利益40億円(同15.4%減)、最終利益26億円(同21.4%減)の見込み。

利益が2ケタ超の減益見通しとなっているが、これは主にライフ事業において前述の新規サービスの立ち上げで費用が大きく先行するためとしている。
 
 
(編集部:柴田正之)

 
株式会社エイチーム
https://www.a-tm.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社エイチーム
設立
2000年2月
代表者
代表取締役社長 林 高生
決算期
7月
直近業績
売上高275億5200万円、営業利益5億4300万円、経常利益7億1100万円、最終利益1億4300万円(2023年7月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3662
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