ソニーCSL、仮想通貨ハードウェアウォレット技術を開発 オンラインネットワークの不正アクセスを回避へ


ソニーコンピュータサイエンス研究所(以下、ソニーCSL)は、10月22日、ソニーのICカード技術を応用した非接触ICカード型の仮想通貨ハードウェアウォレット技術の開発を発表した。

多くの仮想通貨ユーザーは、最初に仮想通貨を購入した取引所などのオンラインウォレットを利用して仮想通貨の取引を行っている。ユーザーが仮想通貨を所有している時に、実際に所有しているものは仮想通貨そのものではなく、その仮想通貨を自由に取引することが出来る秘密鍵となる。秘密鍵を所有していれば、その秘密鍵に関連づけられた仮想通貨を自由に使用することができる。というのが、その仕組みとなる。

そのため仮に秘密鍵を他人に知られた場合は、他人にその秘密鍵に関連付けられた仮想通貨を使用されてしまうリスクが発生する。しかもこの秘密鍵は取引所などのオンラインウォレットで、運営者が管理しており、ユーザーは秘密鍵を管理しているウォレットにアクセスしているにすぎない。

そのためこのオンラインサーバーが不正アクセスを受けて秘密鍵が流出した場合にも、ユーザーが保有する仮想通貨を他人に使われてしまうリスクが存在する。

このオンラインサーバーへの不正アクセスによる秘密鍵の流出リスクを避けるために、オンラインネットワークに接続されたPCやスマートフォンとは独立したデバイスで、ユーザー自身が秘密鍵を管理するものがハードウェアウォレットとなる。ハードウェアウォレットでは、オンラインネットワークを介した不正アクセスを回避し、仮想通貨を安全に管理することが可能となる。

ソニーCSLでは、ソニーで長年培った非接触型のICカード技術を応用して、ICカードハードウェア関連技術と相互認証・暗号通信技術を含む「仮想通貨ハードウェアウォレット技術」を開発した。 USBでPCと接続する既存の代表的なハードウェアウォレットと異なり、ICカード型のハードウェアウォレットは小型で持ち運びやすく、利便性が高いことなども特徴という。また、信頼度の高い耐タンパー性のあるICカード内モジュールで安全に秘密鍵を生成・保存することができる。

今回開発した「仮想通貨ハードウェアウォレット技術」は、仮想通貨の取引に使用する秘密鍵の管理だけでなく、例えば、ブロックチェーン技術を応用した個人情報管理システムにおいて、ユーザーが個人情報の利用許諾をするために使用する秘密鍵の管理など、様々なアプリケーションへの応用が可能なインフラ技術となる。

ソニーCSLは、ブロックチェーン技術のさらなる普及を目指して、仮想通貨をはじめとしたデジタルアセットを安全に取引できる「仮想通貨ハードウェアウォレット技術」の事業化に向けた取り組みを進めていくとのこと。