インストール前のプレイ体験で課金率が44%アップした実例も GooglePlayで利用できるAppOnboardのサービスとは

今年の3月にGooglePlayに「Google Play Instant」(以下、GPI)というダウンロードすることなく体験できる機能が加わった。インストール前のゲームをお手軽に試せる非常に便利な機能だが、ファイルサイズの制限などもあり、このためだけに開発のリソースを費やすことになる。そのためせっかくの機能を利用できていない事業者も多いのではないだろうか。

そんな悩みを解決するのがAppOnboardのサービスとなる。同社では、今回のような体験アプリの開発からマーケティングのための効果測定まで行っており、ユーザーの獲得やその後のエンゲージメントに大きな成果をあげているという。また投資家からの注目も高く、つい先日にはシリーズBで1500万USドルを調達、これまでの累計調達額は3500万USドルに到達している。

そこで今回はアメリカの企業AppOnboardの小松崎未佳氏にインタビューを実施、同社の設立から、そのサービスと今後の展開について聞いた。
 

AppOnboard
カスタマーサクセスシニアマネジャー
小松崎 未佳 氏


■動画広告を見ない姪っ子から得たヒント、より有益なサービスの提供へ

ーー本日はよろしくお願いいたします。まずはAppOnboardについて教えてください。

AppOnboardは、2016年にCEOのJonathan Zweig(ジョナサン ツヴァイグ)が設立しました。過去を振り返るとジョナサンは、App Storeローンチ時の数少ないゲームアプリ開発でもあり、グローバル動画広告配信プラットフォームの開発を行うAdColonyで起業もしています。

そのAdColonyを2014年にOPERAに売却し、AppOnboardという流れになります。

ーーOPERAへの売却時のことは結構な金額だったので覚えています(笑) AppOnboardを設立した理由を教えてください。

*OPERAに3億5000万USドルで売却している。

AppOnboardの設立は、ジョナサンの姪が動画広告を全く見てないことから始まりました。動画広告が始まると別の遊びを初めてしまってショックを受けたそうです。せっかくの広告費が無駄になってしまうと。そこからジョナサンが広告のあり方を考えた際に、今後体験をすることが大きな成果を上げると考え、設立に至りました。
 

ーーそういう経緯だったんですね。初めてAppOnboardの技術を知ったのはGPIの機能に触れたからでした。ありそうでなかったサービスが出てきたなと。
 
 
GPIでは、端末にインストールすることなくゲームの体験ができます。ただこの機能は、ファイルサイズを10MB以下で作成する必要があるんです。GPIはとても良い機能なんですが、開発・運営のリソースをより必要としてしまいます。そのためデモ用の開発をAppOnBoardで行っています。またAppOnboardではデモファイルの作成に加えて、ヒートマップやA/Bテスト等ユーザー分析データの提供や、ユーザーテスト、マーケティング効果の測定をするサービスも行っています。デモから得られるデータをマーケティングに使用することもできますし、ユーザーテストといった感覚でプロダクト改善に役立てていただけると思います。
 


ーーデモファイルの開発も開発会社ではなくAppOnboardで行うんですね。

そうなんですよ。限りある開発のリソースを割くのは大変なので、14営業日ほどで開発元にお戻ししています。これまで効果の良かった素材でデモファイルに反映させたいものがあれば、それを取り入れることもできますが、素材は提供いただかなくてもデモファイルを完成させることができます。

こちらで製作したデモは、開発元様からの承認プロセスを経てAPKファイルをお渡し、開発元様のプレイストアアカウントからGoogle Play Instantへリリースという流れになります。体験時のシチュエーションに関しても、ゲームの事前登録中でチュートリアルだけ先に体験してもらいたいとか、バトルが肝なのでそのシーンをどんどん体験して欲しいとか、細かくご指定いただけます。
 


おかげさまで、FoxNextの『Marvel strike Force』やZyngaの『Wonka's World of Candy』を初め、『Guns of Boom』、 『Billionaire Casino Slots 777』、『Cookie Jam Blast』など、その他様々なタイトルで採用していただきました。

ーー実際に導入された企業やサービス利用後のKPIの変化などがあれば教えてください。

欧米で人気の『ハリーポッター:ホグワーツ ミステリー』を開発したJAMCITYにも導入してもらいました。同社の『Cookie Jam Blast Instant』では、AppOnboardのサービスを利用することで、自然流入に比べて継続率は初日で32%、7日目でも29%、課金率で言えば、初日44%で7日目には37%ほど多いという結果になりました。

ーーこの大きなKPIの向上の理由をどう分析をされていますか?

AppOnboardのエンジンは、ユーザーがインストール実行までに、実際のアプリを"程良い"ところまで体験してもらいます。アプリ全体を丸ごと体験してもらうより、もっとプレイしたいというポイントで止めることが重要なんです。このことで、アプリインストール後のユーザーの期待値とのギャップを抑え、その結果、継続率や課金率でのエンゲージメントが上がる傾向にあります。

また、GPIでのリリース後は、デベロッパに対してAppOnboardよりヒートマップ(ユーザーがでもプレイ中に、実際に画面のどこを押しているのか)や、デモ開始後からインストールまでにどこでどれくらいのユーザーが脱落しているかの分析レポートを提供など、アプリに対して継続的にデモの改善をしていくお手伝いもしています。これらの取り組みがKPIの向上につながっているのでは、と考えています。

ーーなるほど。そうなると競合他社の動向も気になりますが、AppOnboardの強みはどういったところにあるのでしょうか。

CEOのJonathan Zweigが元々アプリの開発者だったことは大きいと思います。アプリ開発者の気持ちがわかりますし、その後副社長のBryan Buskasとともに、AdColony時代、まだバナー広告が主流だった頃、スマートフォン上で高画質な動画の表示を瞬時に再生するなど独自の技術を用いるなど、最先端のサービスを行ってきた膨大な経験値もあります。

また競合のサービスはHTML5をベースにしており、対応できない領域が多いんです。私たちはその領域をカバーした上で、さらにVRやARといった最新のテクノロジーへの対応も進めています。

ーーなるほど、今後に関しても安心できますね。ちなみにアメリカの会社ということで英語対応のコストを懸念する日本の開発会社も多いかと思います。

会社はアメリカにありますが、私が窓口になるので、日本語でお気軽にお問い合わせいただければと思います。

ーーありがとうございました。
 

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