【インタビュー】<七つの大罪>コラボも好評の『セブンズストーリー』が異色のCMを展開…細井Pが自ら出演してユーザーとの距離を近づける運営を実現


2019年1月15日より、Cygamesの子会社WithEntertainmentが提供するアプリ『セブンズストーリー』にて、週刊少年マガジンで連載中の漫画を原作とするアニメ<七つの大罪>とのコラボイベントが開始された(関連記事)。
 
今回のコラボイベント開催にあたり、WithEntertainment代表取締役で『セブンズストーリー』プロデューサーでもある細井敦氏が出演するTVCMが、ファンの間でも話題になっている。開発者自身がCMに出演するという、ゲーム業界においては非常に珍しいケースだ。
 
【セブンズストーリー】実写CM

 
また、『セブンズストーリー』では生放送番組「セブストチャンネル」を定期的に実施しているほか、クラウドファンディングでオリジナルグッズを制作するなど、数々の斬新な施策を行ってきている。今回は細井氏にインタビューを敢行し、これらの施策が実施されることとなった経緯や、その反響について語っていただいた。
 

■社長自ら<七つの大罪>コラボCMに出演した訳とは

 
──:始めに、改めて細井さんが『セブンズストーリー』(以下、『セブスト』)の開発および運営において、どういった業務を担当しているのか教えてください。
 
細井敦氏(以下、細井):プロデューサーとして、ゲームバランスの調整も含めた全体的な監修をしています。サーバーの管理からプロモーション関係まで、細かいところまで自分で見ていますので、とにかく多岐に渡ります。僕自身がプログラマーなので、自らプログラムを書くこともあります。
 
──:今回、<七つの大罪>とコラボをするにあたり、細井さんが出演するCMが放送されていますが、ご自身が出演することになった経緯をお聞かせください。
 
細井:もともと『セブスト』では、「セブストチャンネル」という公式生放送を定期的に実施しているのですが、そちらでも僕自身が出演してユーザーと話す機会を作っています。今回のCMに関しても、他タイトルではやっていないことをやりたいという意図や、僕自身が皆さんに直接ゲームの面白さを伝えたいという想いから出演を決めました。
 
──:細井さん自身が前面に立ってプロモーションをすることで、どういった効果が得られていますか?
 
細井:まずは、ご視聴いただいた皆さんに「なんだこれは!」という驚きを与えられるという点が大きいです。ゲーム業界のプロモーションでは、タレントさんを起用することはありますが、制作者が自ら出ることはあまりありません。我々は、ユーザーとの距離が近いサービス提供を目指しているという意味でも、制作者が全面に立つことで、これからゲームを始める人にも安心してプレイしていただくきっかけになれば良いなと思っています。
 

細井:また、ユーザーの顔が見えるサービスを重要視しているのは、僕が前職でそうした商売をしていたからでもあります(関連記事)。基本的に、ゲーム業界は顔の見えるサービスをしにくい業界だと思っていますが、僕はどちらかというと顔の見えるサービスの方が好きです。なので、大変であってもユーザーとの距離が近いサービスを今後も重視していきます。
 
──:CMを通じて、ユーザーに一番伝えたいポイントを教えてください。
 
細井:今回のCMに関しては、コラボのお知らせが一番になりますが、『セブスト』はキャラクターが非常にかわいく、内容も比較的簡単なので、ゲームに慣れていない人も遊びやすいという特徴があります。CMを通して、どなたでも楽しんでいただける、魅力的なキャラクターがたくさん登場する作品であることを伝えたいと思っています。
 
──:CMへの反響はいかがですか?
 
細井:Twitterなど、SNS上で「細井社長何してるの!?」というツイートを目にしました(笑)。こうして話題にして喜んでいただけているのであれば、別バージョンの制作も続けていきたいですね。
 

■親和性重視のコラボはユーザーからも大好評

 
──:そもそも、今回<七つの大罪>とのコラボすることになった経緯をお聞かせください。
 
細井:僕自身も<七つの大罪>のファンであるということが大きいです。また、講談社さんとは以前からお付き合いがあるなど、コラボを実施しやすい環境が整っていたこともひとつの決め手になりました。
 
──:コラボ先を決める際に大切にされているポイントはありますか?
 
細井:基本的には、『セブスト』の世界観との親和性を重視しながらコラボ先を検討しています。ただ、今後はもっと独特な世界観を持った作品とのコラボもあるかもしれません(笑)。
 

──:<七つの大罪>とのコラボイベントは1月15~29日まで行われていましたが、ゲーム内の反響はいかがでしたか?
 
細井:<七つの大罪>のキャラクターのうち、エリザベスをイベントで配布し、メリオダス、キング、ディアンヌの3人をいずれも最高レアリティの☆5でガチャに登場させたのですが、どのキャラクターもユーザーの皆さんには大変お喜びいただけました。
 
デザインを『セブスト』のテイストに合わせてあるということもあり、ユーザーさんからも「とても可愛い」という評価をいただけています。内容としてはストーリーが楽しめるイベントに加えて、<七つの大罪>に登場した巨大な敵「赤き魔神」と戦うレイドバトルもありましたので、新規ユーザーも既存ユーザーも関係なく、皆で協力しながら楽しんでいただけたようです。

──:イベント開催にあたってこだわったポイントを教えてください。
 
細井:一番力を入れたのは、先ほども述べたイラストとモデルです。3Dモデルもかなり作り込んでおり、モーションも含めて細かいところまで見ていただけると嬉しいです。あと、ストーリーも<七つの大罪>のキャラクターの特徴を活かしながら、『セブスト』のキャラと一緒に旅をしていく内容になっていますので、そこも楽しんでいただけるのではないかと思います。
 

──:ちなみに、今回のイベントではバンやマーリンなど、主要キャラクター全てが手に入るわけではないのですが、この辺りは次の展開にも期待して良いのでしょうか?
 
細井:是非、やりたいと考えています。ストーリーパートでは、彼らも登場しているので、いずれは入手できる形になると良いですね。
 

■2種類の生放送は住み分けを意識した情報提供方法

 
──:冒頭にもお話があった通り、『セブスト』では”ユーザーとの距離”をかなり意識されているように感じます。その一環でもある公式生放送ですが、こちらを始めたきっかけは何だったのでしょうか。
 
細井:最初は、直接ユーザーの声を聴ける場として、ゲームの改修やアップデートに取り入るために生放送を始めました。これはゲーム全般に言えることですが、誰が作り、誰が運営しているのか、ユーザーは分からない状態ですので、僕が放送で顔を出すことで制作者の顔が見えれば安心していただけるかなと思いました。
 
また生放送は毎月2回、全ユーザー向けの通常回と、放送回数に「.5」を付けたファン向けのディープな内容をお届けするおまけ回の2回実施しています。通常回では、今後のアップデート内容や、直近のイベント告知などの情報提供が主です。おまけ回では、キャラクターの設定内容や、そのキャラクターが作られた経緯など、開発の裏話などを公開しています。

 

▲2018年12月22日には公開生放送も実施(関連記事)。

──:何故、そのように番組方針を分けられているのでしょうか?
 
細井:理由は非常にシンプルです。まず、新情報はゲームを始めたばかりの人も含め気になるユーザーも多いと思います。対して、キャラクターの設定など、コアな内容に関しては『セブスト』を凄く好きな人でないと興味の薄い部分になってしまいます。そのため、放送を2回に分けて視聴者の住み分けをすることで、どの層にも楽しんでいただけるようにと考えています。
 

■真摯な対応こそがユーザーの心をつかむ

 
──:そうした想いが伝わっていることもあり、『セブスト』運営に対するユーザーの評価はかなり高いとお聞きしています。
 
細井:ありがたいことに、SNSではポジティブなご意見も数多く目にしています。
 
──:ちなみに、スマホ版リリース前のWeb版でも運営に対する評価は高かったのでしょうか?
 
細井:運営方針に関してはWeb版の頃から一貫していますので、以前から評価は高かったと思います。ただ、スマホ版とはプレイしているユーザーの数が異なります。規模は大きくなりつつも、当時の成功体験を踏襲できているのは、非常に良いことだと受け止めています。
 
──:やはり、ポジティブなご意見というのはアップデートの機会などで目にすることが多いのでしょうか?
 
細井:そうですね。Twitterでは「#セブチャン」というハッシュタグでご意見を募っているのですが、そこに挙がった要望をゲームに反映しています。ユーザーにとってストレスとなる点を察知して、できるだけ早く改修するようにしていますので、日々の努力が高評価に繋がっているのだと思います。もちろん、ゲーム内からアクセスできるお問い合わせへの対応もしっかりと行っていますので、ありがたいお言葉をいただけることが多いです。
 

──:問い合わせ対応に関して、何か工夫されている点はありますか?
 
細井:テンプレートを使わず、1件1件に対して個別で返信することを徹底しています。問い合わせ内容は僕も全件チェックしていますし、対応で間違いが起きないようにすることを最も重視しています。
 
──:プロデューサーという立場でチーム全体を見ながら、そうした細かなところまでチェックするというのはかなり大変そうですね。
 
細井:かなり大変です(笑)。しかし、問い合わせをお送りいただけること自体、運営としてはありがたいことです。要望でも苦情でも、その中には重要なメッセージが込められています。自分自身の目で確かめないと、本当に変えるべきところが見えて来ないので、必ず確認するようにしています。『セブスト』が目指す、ユーザーに寄り添う運営のためには、必要なことだと感じています。
 

■需要と供給が均衡する新たなグッズ提供の形

 
──:そのほか、2018年12月には、クラウドファンディングでオリジナルグッズの制作も発表されています。これも、ソーシャルゲーム業界では珍しいケースかと思います。
 
細井:12月22日に秋葉原で開催した公開生放送(関連記事)の中で発表したものですね。内容としてはキャラクターグッズを受注生産で販売するというものですが、クラウドファンディングを使った展開は他ではあまり見られないと思います。
 
商品としては、キーホルダーとアクリルスタンドを複数のメニューで出しました。キーホルダーのデザインは弊社で決めたキャラクターのみとなっておりますが、アクリルスタンドはキャラクターを指定できる受注生産も募集しています。キャラクター指定の商品は、大量生産できないことからどうしても値段が高くなってしまいますが、自分の好きなキャラクターのグッズが作れます。

 
──:クラウドファンディングでの販売にしたのはなぜですか?
 
細井:これも、生放送で「グッズを作って欲しい」という意見がたくさん寄せられたことがきっかけになります。ただ、実際にどの程度の人が求めているのかが不明瞭なまま制作に踏み切るのが難しい状況でした。そのとき、たまたまサイバーエージェントグループのクラウドファンディングサービス「Makuake」の紹介を受けたこともあり、これならしっかりとグッズが欲しい人たちの手元に商品が行き届く展開ができると思ったので実施しました。
 

▲こちらは生放送での発表時の様子。写真は声優の今井麻夏さん。

──:クラウドファンディングに対するユーザーの反応はいかがですか?
 
細井:ファンの方からはポジティブなご意見をいただいています。喜びの声しかありませんので、クラウドファンディングを採用して良かったと感じています。発表してすぐに申し込んでくれた方も多かったです。
 
──:クラウドファンディングを実施して大変だったことはありますか?
 
細井:募集をしている現時点では大変なことはありません。募集を締め切った後も、結果を集計して生産を依頼するだけなので全体的に見ても大変な作業は少ないです。
 
──:工数も少なく、ユーザーからの反響も良かったということであれば、第2回も期待して良さそうですね。先ほど話にあった”ユーザーと距離が近い運営”という点も併せて、ユーザーとしては自身の要望が実現するチャンスもありそうですね。
 
細井:既に「違うパターンも作って欲しい」という声があることは把握しています。今回はキャラクターのみのグッズ展開だったので、ニーズがあるのであれば次回はモンスターや幻晶獣のグッズ化も考えていきたいと思っています。また、キーホルダーに関してもキャラクター指定の受注生産を望む声がありますので、そちらも検討してみたいです。
 
──:「Makuake」のページには、A4ステッカー・A4クリアファイル・不織布バッグの3点セットも公開されていましたね。
 
細井:こちらは公開生放送の来場者向けに制作したものになります。地方にお住まいの方など、イベントに来られない方にも、何かしらの形でグッズを提供できるよう多めに作っておりましたので、それを今回のクラウドファンディングに付属させることにしました。少しでも多くのユーザーさんの元に届けば良いなと思っています。
 

Makuake

 

■今後もユーザーファーストが最優先の施策を展開

 
──:本日は様々な施策についてお聞きしてきましたが、『セブスト』の運営において最も大切にされていることを教えてください。
 
細井:やはり、ユーザーの意見を大事にして、その意見を基にした改修を重ねることでゲームを育てていくことです。
 
──:その信念のもと、これまで他のタイトルにはない取り組みをされていますが、今後の展開についてはどのようにお考えですか?
 
細井:基本的なコンセプトや方針は今までと変わらず、ユーザーにとの距離が近いサービスを、さらに向上させていきたいです。あとは、ゲーム内の展開に関してはコンテンツをより充実させていきたいです。例えば、複数人のユーザー同士で遊べるようなコンテンツを作っていきたいですし、メインストーリーについても新しい展開を用意しています。
 
──:オフラインイベントについてはいかがでしょうか?
 
細井:ユーザーの方々からオフラインイベントを望む声も多く届いていますので、また別途実施していきたいと思っています。リアルイベントはご満足いただくものを開催するのも大変ですが、やるなら良いイベントを作っていきたいです。
 
──:それでは、最後に『セブスト』ユーザーの皆様へのメッセージをお願いします。
 
細井:これからも、より良いサービスを目指しながら、新しいコンテンツを皆さんと一緒に作っていきたいと思っております。ユーザーの皆さんと一緒に進化していくタイトルでありたいので、これからも『セブンズストーリー』をよろしくお願いします。
 
――:本日はありがとうございました。

 
(取材・文 編集部:山岡広樹) 


 
■『セブンズストーリー』
 

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株式会社WithEntertainment
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株式会社WithEntertainment
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細井敦
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