家庭用ゲーム大手の19年3月期、6社中4社が営業増益 家庭用好調のカプコンとコーテクが最高益、スマホゲーム苦戦のセガサミー、スクエニが減益と明暗

家庭用ゲームソフト大手6社の2019年3月期の決算が5月13日に出揃った。本業の儲けを示す営業利益が前年同期に比べてプラスとなったのは、6社中4社だった。カプコン<9697>やコーエーテクモホールディングス<3635>、バンダイナムコホールディングス<7832>、コナミホールディングス<9766>が増益、セガサミーホールディングス<6460>、スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>が減益と明暗が分かれる結果となった(以下、ホールディングスは「HD」と表記する)。

 


増益組をみていくと、カプコンとコーエーテクモHDは、いずれも家庭用ゲームソフトの販売が好調に推移したことによる。バンダイナムコHDは、玩具を手掛けるトイホビー事業のセメント利益が50%増と大きく伸びたほか、アーケードゲーム関連が好調だった。ただ、ゲーム部門の営業利益は前年同期比で5.2%減となった。

他方、減益組では、セガサミーHDは、柱である遊技機事業が2ケタ増益を達成したものの、リゾート事業の先行投資が続くうえ、ゲーム事業が減益だったことが響いた。ゲームは、パッケージが堅調だったが、スマホゲームなどデジタル分野が赤字となるなど苦戦した。スクウェア・エニックスHDも主力のゲーム事業が減益となった。

各社の状況は以下の記事を確認してほしい。


【カプコン】


売上高1000億3100万円(前の期比5.8%増)、営業利益181億4400万円(同13.1%増)だった。『モンスターハンター:ワールド』の出荷本数が1,200万本を突破し、同社の単一タイトルとしては過去最高記録を更新したほか、『バイオハザード RE:2』が400万本を超える大ヒットを記録。同じく『デビル メイ クライ 5』も海外で定着した人気により200万本を出荷した。

カプコン、19年3月期は売上高5%増、営業益13%増と増収増益に 『バイオハザードRE:2』が出荷本数400万本、『デビル メイ クライ 5』が同200万本のヒットに


【コナミHD】


売上高2625億円(前の期比9.6%増)、営業利益505億円(同11.8%増)だった。デジタルエンタテインメント事業におけるサッカーおよび野球コンテンツの各シリーズタイトルが堅調に推移した。『プロ野球スピリッツA』が第3四半期に続いて好調を維持しているほか、『遊戯王 デュエルリンクス』や、第3四半期に大型アップデートを実施した『ウイニングイレブン2019』(『PRO EVOLUTION SOCCER 2019』)などがけん引した。

コナミHD、19年3月期は売上高9%増、営業益11%増に 『プロスピ』や『ウイイレ』などスポーツゲームがけん引 今期は移転関連費用で減益に
コナミHDの決算説明資料より…今期以降にリリース予定のスマホゲームは中国版『遊戯王DL』と『ダンキラ!!!』『ラブプラス』『悪魔城ドラキュラ」


【コーエーテクモHD】


売上高389億6800万円(前の期比0.1%増)、営業利益120億9200万円(同3.3%増)で、売上高、各利益項目とも経営統合以来最高の業績だった。『ファイアーエムブレム 風花雪月』の開発に参画していることが発表されたほか、3月にはシリーズ7年ぶりのナンバリングタイトル『DEAD OR ALIVE 6』を全世界同時に発売し、35万本の販売となった。スマートフォンゲームでは、同社がIPを許諾した『新三國志』『真・三國無双 斬』が好調に推移した。

コーエーテクモHD、19年3月期売上高0.1%増、営業益3.3%増…売上高、利益とも統合以来最高の業績に スマホゲームはIP許諾タイトルが寄与


【スクウェア・エニックスHD】


売上高2710億円(前の期比8.2%増)、営業利益245億円(同35.7%減)だった。電子書籍が好調だったことを受けて出版事業が大きく伸びたものの、主力のゲーム事業が減収減益となった。家庭用ゲームソフトやスマートフォンゲーム、MMOゲームはいずれも減益となった。

スクエニHD、19年3月期は売上高8%増ながら営業益35%減に 家庭用ゲームの新作寄与も費用が増加 スマホ・PC向けコンテンツは想定下回る
スクエニHD、スマホゲームの売上高は10%減の838億円、営業利益も大幅減 新作下振れ、ライセンス収入も減少 家庭用ゲームとMMOも減益に


【セガサミーHD】


売上高3316億円(前の期比2.5%増)、営業利益130億円(同26.2%減)と増収減益だった。パチンコ・パチスロなどの遊技機事業が2ケタ増益を達成したものの、リゾート事業の先行投資が続くうえ、ゲーム事業がいずれも減益だった。ゲームは、パッケージが堅調だったが、スマホゲームやPCオンラインゲームを展開するなどデジタル分野が赤字となるなど苦戦した。

セガサミーHD、19年3月期は売上高2.5%増、営業益26.2%減に デジタルゲーム分野で新作タイトルが苦戦、当初想定を大幅に下回る結果に
セガサミーHD、デジタルゲーム19年3月期は19億円の営業赤字に 既存タイトルの減衰を新作で補えず 第4四半期は黒字転換と足元回復


【バンダイナムコHD】


売上高7323億円(前の期比8.0%増)、営業利益840億円(同12.0%増)だった。「機動戦士ガンダム」やフィギュア「ドラゴンボール」シリーズ、「仮面ライダー」シリーズ、「ウルトラマン」シリーズの商品を展開するトイホビー(玩具)のセグメント利益が5割増えるなど好調だったものの、ゲーム事業を展開するネットワークコンテンツは増収減益となった。

バンナムHD、19年3月期の営業益は12%増の840億円 ドラゴンボールやガンダム、プリキュアの玩具好調 ラブライブやアイマス、アイナナの映像パッケージも寄与
バンナムHDのネットワークコンテンツ、売上高は5.7%増の2111億円 「ドラゴンボール」「ワンピース」「アイドルマスター」シリーズ好調
バンナムHDの2019年3月期のIP別売上高、『ドラゴンボール』が1290億円突破 四半期でも過去最高更新 『ドッカンバトル』や『レジェンズ』、玩具好調

 
(編集部・木村英彦)
株式会社カプコン
http://www.capcom.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社カプコン
設立
1983年6月
代表者
代表取締役社長 最高執行責任者 (COO) 辻本 春弘
決算期
3月
直近業績
売上高1259億3000万円、営業利益508億1200万円、経常利益513億6900万円、最終利益367億3700万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9697
企業データを見る
株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
https://www.hd.square-enix.com/jpn/

会社情報

会社名
株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
設立
1975年9月
代表者
代表取締役社長 桐生 隆司
決算期
3月
直近業績
売上高3432億6700万円、営業利益443億3100万円、経常利益547億0900万円、最終利益492億6400万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9684
企業データを見る
コナミグループ株式会社
http://www.konami.com/

会社情報

会社名
コナミグループ株式会社
設立
1973年3月
代表者
代表取締役会長 上月 景正/代表取締役社長 東尾 公彦
決算期
3月
直近業績
売上高3143億2100万円、営業利益461億8500万円、最終利益348億9500万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム(ロンドン証券取引所にも上場)
証券コード
9766
企業データを見る
コーエーテクモホールディングス株式会社
http://www.koeitecmo.co.jp/

会社情報

会社名
コーエーテクモホールディングス株式会社
設立
2009年4月
代表者
代表取締役会長 襟川 恵子/代表取締役社長 襟川 陽一
決算期
3月
直近業績
売上高784億1700万円、・営業利益391億3300万円、経常利益398億9900万円、最終利益309億3500万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3635
企業データを見る
株式会社バンダイナムコホールディングス
http://www.bandainamco.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社バンダイナムコホールディングス
設立
2005年9月
代表者
代表取締役社長 川口 勝
決算期
3月
直近業績
売上高9900億8900万円、営業利益1164億7200万円、経常利益1280億0600万円、最終利益903億4500万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
7832
企業データを見る
セガサミーホールディングス株式会社
http://www.segasammy.co.jp

会社情報

会社名
セガサミーホールディングス株式会社
設立
2004年10月
代表者
代表取締役会長 里見 治/代表取締役社長 グループCEO 里見 治紀
決算期
3月
直近業績
売上高3896億3500万円、営業利益467億8900万円、経常利益494億7300万円、最終利益459億3800万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
6460
企業データを見る