朝日新聞、9月中間は営業損失92億円と赤字転落 販売部数42万部減の504万部、広告収入落ち込む ホテル事業も収益急減

朝日新聞の2021年3月期の9月中間決算は、売上高1390億9000万円(前年同期比22.5%減)、営業損失92億9100万円(前年同期は6億5300万円の利益)、経常損失81億8600万円(同29億6900万円の利益)、最終損失は419億0800万円(同14億2800万円の利益)と赤字転落となった。

メディア・コンテンツ事業の販売部数減や広告関連収入の減少、甲子園やオリンピック中止に伴いイベント関連の収益も落ち込んだ。また不動産事業でもホテル事業の新型コロナの影響で苦戦した。新型コロナウイルスの影響などを踏まえ、将来の利益計画を見直し、繰延税金資産を取り崩したことも響いた。

セグメントの経営成績は以下のとおり。


[メディア・コンテンツ事業]
売上高は1242億2500万円(同21.3%減)、セグメント損失116億1300万円(同30億3000万円の損失)だった。

朝日新聞は、「公正な姿勢で事実に向き合う」「多様な言論を尊重する」「課題の解決策をともに探る」という三つの理念のもと、「ともに考え、ともにつくるメディア」をめざしている。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による未曾有の困難の中、感染防止に努めながら国内外の感染状況や感染対策について多角的に報じた。未知のウイルスに関する記事をまとめた朝刊折り込みのタブロイド別刷り「知る新型コロナ」を3、5、6月の3回発行し、読者の高い評価を得た。また、熊本県を中心に各地に甚大な被害をもたらした7月の豪雨災害や、安倍首相の突然の辞任表明に伴う政局取材でも読者の高い期待に応えられる報道姿勢に徹してきた。

しかしながら、朝日新聞朝刊部数は504万8000部で、前年同期比42万8000部の減少となった。また新聞広告など広告関連収入も、前年同期実績を大きく下回った。

東京五輪・パラリンピックに続き、夏の甲子園大会が中止となり、バーチャル高校野球や各種速報提供料による収入が減少したため、デジタル事業は振るわなかった。企画事業もコロナ禍で、「和食展]、「法隆寺金堂壁画展」などが相次いで中止または規模を縮小しての開催となったため、損益が悪化した。一方、出版事業では、「ゲッターズ飯田の五星三心占い2021」など書籍が好調で、前年同期実績を上回った。

 
主力商品 部数
(千部)
前年同期比
(%)
発行回数
(回)
朝日新聞朝刊 5,048 △ 7.8  177
朝日新聞夕刊 1,511 △10.3 148
週刊朝日 101 △13.2 24
(注)  部数は発行回数1回当たりの部数。朝日新聞名古屋本社版夕刊のみ発行回数は122回である。

 
[不動産事業]
売上高140億5900万円(同28.8%減)、セグメント利益24億2900万円(同33.5%減)だった。

賃貸事業のオフィスでは、全国の物件総計で入居率は98%を超え、ほぼ満床状態を維持、18年度に竣工した「さっぽろ創世スクエア」も昨年度末から満床稼働となった。ホテルは「コンラッド大阪」「ハイアットセントリック銀座東京」で開業以来、高稼働で推移したものの、新型コロナウイルスの影響があり、今期は急激に収入を落とした。

25年度の完成を目指して進めている旧広島朝日ビル跡地の再開発計画では、同社はパートナー企業とともに本再開発計画の事業協力者に選定され、プロジェクトの推進役を担っている。


[その他の事業]
売上高8億0400万円(同53.9%減)、セグメント損失9700万円(同3200万円の利益)となった。その他の事業は、文化事業・電波事業・その他事業の3事業がある。