【インタビュー】『オルサガ』『マギレコ』の更なる飛躍を…新しい分野の挑戦も狙うf4samuraiが目指すものとは


『オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-』(『オルサガ』)をはじめ、『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』(『マギレコ』)、『ディズニー ツイステッドワンダーランド』(『ツイステ』)などを手掛けてきたf4samurai。昨年は、『マギレコ』のTVアニメ化に加え、『ツイステ』のヒットなど大きく飛躍を遂げた企業だと言えよう。
 
『オルサガ』の運営移管やアニメ放送も開始され、今年2021年についてもゲーム事業を中心に今後展開していく新規事業を含めて新しい価値の提供に邁進するとしている。セガサミーグループからの独立もおこない、12年目からの第二創業期として更なる成長を目指しているようだ。
 
本稿では、SocialGameInfoではおなじみの、同社取締役COOの田口堅士氏CMOの佐藤允紀氏へのインタビューを実施。既存タイトルや新作タイトルの動向、また新体制におけるf4samiuraiの今後についてなど、様々な話をうかがってきた。※タイトルを一部修正しました。(2月19日時点)
 

■セガサミーグループからの独立…その狙いは

 
――:昨年は創業10周年から『ツイステ』のリリース、そしてセガサミーグループからの独立など様々な動きがありました。独立の経緯についてお聞かせいただけますでしょうか。
 
田口堅士氏(以下、田口):独立に関しては、以前からセガさんと話し合いをおこない、いずれは現在の形にとは話していました。セガサミーグループから喧嘩別れという訳ではなく、良い関係でやってきたうえで、新しい事業やゲームを展開していくにあたって、今後もベンチャー企業として在り続けたいという考えについて、セガさんに理解をしてもらってきました。
 
佐藤允紀氏(以下、佐藤):代表の金も常にベンチャーマインドで在り続けたいと。メンバー自身と会社が一緒に成長できる会社になるよう意識してきました。
 
田口:特に大手のグループだからという訳でなく、色々挑戦してみたいと入社していただくメンバーも多かったので、今後もそういった会社で在りたいと考えています。
 
今後のゲーム市場を鑑みると、苦しい局面もあるかもしれませんが、できる限りチャレンジしていきたいと思います。また、弊社では、ゲーム以外の事業もやりたいというメンバーも少なからずいるので、そういった道も今後作っていきたいです。
 
――:成長して新しいステージにいく上での独立ということですね。
 

■こだわりを突き詰めた2020年と更なる盛り上がりをつくる2021年

 
――:ゲーム分野では振り返ってみていかがでしょうか。
 
田口:会社としては、コロナの影響も大きくありました。弊社では早い段階から在宅でのリモート勤務に移行したのですが、コミュニケーションが取りづらい、制作環境が変わったなど様々な影響がありました。リモートへの移行期間中では些細なイレギュラーな事象への対応に遅れが出てしまい反省すべき点がありました。
 
佐藤:『マギレコ』では、年始からのTVアニメ放送と併せた連動施策から始まり、3周年での盛り上げをターゲットに細かな改善や二部での展開を頑張ってきました。まだまだユーザーから見て不足している点も多くあると思いますが、遊びやすさや魔法少女の魅力付けにチームとして取り組んだ一年でした。
 
そして先日、「魔法少女まどか☆マギカ」(以下、「まどか☆マギカ」)の10周年が発表されています。『マギレコ』としても「まどか☆マギカ」10周年を盛り上げていけるような一年にしていきたいと考えています。
 

田口:『オルサガ』は6年目となりましたが、セガさんから弊社に移管したこともあってメンバーたちもより気を引き締めつつ、移管前よりも積極的に展開したいと思っています。

年末には、物語の「オルタンシア・サーガ ゼロ」が完結し、多くのユーザーさんから感動した、との有り難い声をいただきました。 今年は悲願のTVアニメ放送が始まり、3Dリメイク版リリースも控え、f4samuraiとして『オルサガ』を更に広げていくつもりです。
 
 
――:リメイク版である『オルタンシア・サーガR』についてこちらの狙いや経緯をお聞かせいただけますか。
 
佐藤:『オルサガ』のIP展開の一つとして中国にある開発会社と準備を進めてきました。開発会社側では、中国、香港・マカオ、台湾といった配信エリアに向けての企画だったのですが、TVアニメ放送の準備とも重なり、是非、日本国内のユーザーにも提供をおこないたいと考えました。
 
田口:僕らとしては、「オルサガ」全体として考えているので、現行版もアニメもリメイク版も楽しんでもらいたいですね。どれかが盛り上がれば良い、という訳ではなく、「オルサガ」シリーズとして続けていきたいという狙いがあります。
 
佐藤:アニメに併せた現行版の盛り上げとリメイク版の展開は、自社オリジナルIP作品としてチャレンジする貴重な機会でもあります。個人的には将来、弊社がオリジナル作品を取り組んでいけるかの分かれ目として、必死に取り組んでいます。
 
――:現行版を楽しんでいるユーザーさんには、どのようにリメイク版を楽しんでもらいたいかのイメージはありますか。
 
佐藤:ユーザー同士のコミュニティやGvGは現行版にしかない要素になります。また、アニメの先の物語を読めるのも現行版だけの要素です。アニメと連動した各種キャンペーンを開催しており、アニメで描かれなかった物語「サイド・メモリーズ」も楽しめます。
 
リメイク版はアニメで描かれる物語をメインストーリーとして3D演出でフルボイスにしてお届けします。ソロでやり込んでいけるゲーム性に重点がおかれていて、スキル・演出やバトルシステムもかなりしっかりと作り込まれているので、キャラクターの愛着がさらに増します。
 
――:現行版とリメイク版共に、アニメと連動した展開は用意しているのですね。
 
佐藤:『マギレコ』のアニメ展開時もそうでしたが、アニメ放映がされている時期を一緒に盛り上がれるようにしたいと考えています。コミカライズ含め、各種商品化も進行していて、IP全体としての盛り上げを設計しています。
 
――:その他のタイトルについてはいかがでしょうか。

田口:版元さまとの取り決めで、詳しくお話しすることができないのですが、リリース後にユーザーからのクチコミと反響によって、弊社の中では経験したことがない規模のサービスになりました。
 
佐藤: Live2Dやイラスト、SDなどのアートワーク全般において、小さなところもこだわらせて頂き、クオリティという観点で、かなり大きなチャレンジと成長をさせて頂いた一年だったと思います。
 
――:それぞれのタイトルにおいて、非常にこだわりの一年だったのですね。
 
田口:そうですね。会社としては多少赤字になっても良いからもっとユーザーさんに向き合おうというのをポリシーとして掲げているので、今後も大事にしていきたいですね。
 
佐藤: 今後も自分たちで“できること“を増やしていこうと思っています。できることが増え、こだわれることも増えました。クリエイティブ以外の設計やプロモーション面でもより深く取り組んでいくことが求められていると思いますし、その分、会社としても成長したいと思います。
 
――:その他にゲームについては新しい展開を考えているのでしょうか。
 
佐藤: 今年いっぱいか来年前半を目処に準備しているプロジェクトがあります。開発を進めている1本は、版元さんとご一緒させていただくタイトルになります。『マギレコ』などで培ったf4samuraiの強みを更に発揮していければと思っています。
 
弊社としては、1〜2年に1本新しいゲームをリリースできるような体制を整えつつ、将来的にどういった作品を作っていくかの試行錯誤も行っているところです。
 
 

■楽しめる体験を提供する”ライフエクスペリエンス事業”

 
――:ゲーム事業以外も今後は注力していくそうですが、どういった事業をお考えでしょうか。
 
佐藤:社内では”ライフエクスペリエンス事業”と呼んでいまして、ユーザーのポジティブな体験を設計、生み出していくことを目的としています。
 
例えば、社内でもサッカー好きなメンバーがいましたので、大分トリニータさんとサポーター同士の距離を縮められるようなアプリをご一緒させていただきました。
 
 
田口:ここからどうスケールさせていくかは今後考えていくところですが、今はアプリをブラッシュアップしている段階ですね。今後もこのようなチャレンジはしていきたいと思います。新規事業では、ゲームと同様、売上や利益を追い求める為だけにやる訳ではなく、長期的にみていきたいですね。我々にとっても、やってきたことがない部分が多いので新しい挑戦になります。
 
佐藤: これまでもゲーム内で使用される楽曲の企画を弊社でおこなっていたのですが、独立を機に、楽曲の企画・配信や著作権管理といった部分を担う社内部門「f4music」を立ち上げました。 アニメ内の使用楽曲もすべて弊社プロデュースのものとなり、オーケストラ楽器での演奏とこだわらせて頂きました。音楽はゲームでもアニメでも非常に大事な要素で、今後もより強化していきたいと考えています。

 
ちなみに昨年は、会社設立10周年に併せて「社歌」を作りまして日経の社歌コンテストに掲載してもらったり、音楽サイトで配信する経験を得るついでに会社ロゴの露出を増やしてみたりと、純粋に音楽があるとできること、にも楽しんで取り組んでいます。  

■12年目でも様々な分野にチャレンジする気概を持てる企業に

 
――:今後様々な展開を構想していますが、採用についてはどういったポジションを注力しているのでしょうか。
 
佐藤:ユーザーに主体的に向き合う姿勢をもった方でしょうか。コロナ禍ということもありますが、リーダーシップと申しますか、他メンバーに対して目的に対する意識や行動を働きかけられる人材がより活躍されていくのかと思います。

f4samuraiではこれまでもそうですが、『オルサガ』や『マギレコ』などそれぞれがユーザーと向き合って正しいと思うことであれば、いちいち稟議や社内説明に時間を割かず実行に移してきました。引き続きそういったマインドを持った人にとって働きやすい会社で在り続けたいと思います。

 
放送中のアニメ「オルサガ」についても、放送が終わって数年経った後に、”昔やってたあのアニメ、ちょっと良かったよね”と視聴者・ユーザーの思い出になることをゴールに進めてきたものです。 普通の会社では、アニメでゲームをどう売る?など目的がユーザーから離れ、かつ短期的になってしまうことが多々あるようにも思います。
 
――:これまでと変わらず、ユーザーと向き合う事を大事にできる人材ということですね。
 
佐藤:また『オルサガ』などは運営移管にてパブリッシャーとしての動きも増えましたし、会社としてもやれることは増えたと思います。

いちメンバーの裁量の大きさはもちろんですが、弊社では新規開発のプロジェクトは既存メンバーと立ち上げ以降に参加するメンバー半々でチームを組成しており、既存のみでなく、新規プロジェクトへの参画チャンスがあります。
 
アートワークの制作においても、更に弊社ならではのクオリティを出していけるよう引き続き体制を強化していきます。
 
 
――:ちなみに御社では今現在どういった働き方なのでしょうか。コロナ禍の影響はあったとおっしゃっていましたが。
 
佐藤:田口や私は会社に来ることが多いですが、月水金はオフィスを閉じており、基本的にはリモートにて開発環境を整えて対応しています。電話会議ツールを常時繋いで作業を行うメンバーもいれば、集中してやりたいとして必要時に連絡をとるメンバーもいます。働きやすい形をうまくバランスとりながら進めていますね。
 
田口:ゲーム業界だとオフィスを縮小する会社は多いと思いますが、弊社ではオフィスはそのまま残しています。コロナ禍が収まっても、リモートワークなどの働き方の多様化は進めていきますが、みんながいつでも来ることができる場所は残しておきたいからこのままにしています。
 

というのも、集まる場所がないとかみんなが来るとオフィス内で収まらないという事態にはしたくないからです。コロナ禍はオフィスの在り方を考え直す機会でもあると思いますが、f4samuraiではオフィスを残しつつも、みんなが働きやすい環境をつくっていきたいと考えています。
 
――:最後に一言お願いできますでしょうか。
 
佐藤:今年は昨年からコロナの影響も引き続きありますので、その変化にも対応していきながらタイトルをより一層盛り上げていきたいです。「オルサガ」シリーズは今後も伸ばしていきたい作品になりますし、『マギレコ』も引き続き盛り上げていきたいと思います。

また、いろんなことができる会社なので、興味のある人はぜひご応募いただきたいです。
 
田口:その他の作品もより飛躍をしていきたいと思いますし、新しいゲームや事業も展開していきます。会社としても12年目に入りますので、また改めてベンチャーとして成長していきたいと思っています。そんな会社に共感いただける方がいればぜひご一緒したいです。
 
――:ありがとうございました。


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