KLabの第4四半期の営業益はQonQで87%減…売上の低下と費用増で

KLab<3656>の第4四半期(9-11月期)の決算は、売上高35億8400万円(前四半期比10.0%減)、営業利益7900万円(同87.3%減)、経常利益8200万円(同86.9%減)、四半期純利益2800万円(同92.4%減)だった。8月通期では大幅な増収増益となったものの、足元の四半期業績は減収減益となった。 前もって書いておくが、四半期ベースでの収益の低下に関して、それほどネガティブな印象は持っていない。KLabは、もともと第4四半期は落ち込む見通しとしていたし、施策をみていても、ブラウザゲームだけでなく、本格的なゲームアプリをリリースするための準備を行うなど、目先の利益よりも中長期的な成長を追求した施策を行なっているように見受けられるからだ。 さて、減収減益となった要因は、6社協議会ガイドラインへの対応や、「幽☆遊☆白書」の投入の遅れなどで売り上げが低下したことに加え、労務費や外注費といった売上原価の増加、広告宣伝費を中心とする販売管理費が増加したため。売上高が10%減少したのに対し、売上原価は5.4%増、販売管理費は2.0%増だった。 KLabの四半期ベースでの売上高と営業利益を示したのが以下のグラフである。2011年12月-2012年2月期をピークにして、売上高、営業利益ともに低下傾向にあることがみてとれる。  

    ■3Q発表時の見通しを下回る 第4四半期の決算はまた、第3四半期決算の開示時に公表した見通しも下回っている。当初の予定は、売上高36億4200万円、営業利益1億3700万円、経常利益1億4000万円、四半期純利益8100万円だった。予測に到達しなかった理由は、売上高のみ予想に到達しなかったことがあげられる。原価や販管費などは、おおむね計画線での着地となるなどコストコントロールは効いている。 決算説明会は明日開催される予定だが、売上高の未達要因は、7月リリース予定だったiPhoneアプリ「真・三国志バスター」がリリースされなかったことが大きいとみられる。業界筋では、ここ最近、「側ネイティブ」と呼ばれるWEBブラウザベースのゲームアプリに対するAppleの審査が厳しくなっているといわれている。大手ゲーム会社でも6タイトル提出して5タイトルがリジェクトされたケースもあったと聞く。このあたりの事情が背景にあるようだ。  

第4四半期のリリース予定タイトル(第3四半期決算説明会資料より)

    ■今後のカギは海外と新作ゲーム 今後は、KLabの業績については、海外向けのモバイルソーシャルゲームの開発費やプロモーション費用などがかさむため、先行費用が発生し、上期中は利益率が引き続き低下する見通し。ただし、国内外向けのタイトルの売り上げが下期に入って収益に寄与し、通期では16ヶ月の変則決算とはいえ、営業利益が50億円に到達する見込みだ。 収益回復の鍵は、海外向けタイトルが握るが、「Load of the Dragons」が米国App Storeで首位を獲得するなど、KLabの開発したソーシャルゲームが海外ユーザーからも広く受け入れられている。国内でも「幽☆遊☆白書」といった有名IPタイトルがリリースされ、さらに先にリリースされた新作「ファントム★ジョーカー」も評価が高い。 明日決算説明会が開催される予定で、説明会資料も明日以降、開示されるものと予想される。開示され次第、再度報告したい。KLabでは、短期的な利益よりも中長期的な成長性を高める方針を打ち出しており、スマートフォンアプリ向けのゲームエンジンの開発動向や「Load of the Dragons」に関するアナウンスなどが注目される。
KLab株式会社
http://www.klab.com/jp/

会社情報

会社名
KLab株式会社
設立
2000年8月
代表者
代表取締役社長CEO 森田 英克/代表取締役副会長 五十嵐 洋介
決算期
12月
直近業績
売上高107億1700万円、営業損益11億2700万円の赤字、経常損益7億6100万円の赤字、最終損益17億2800万円の赤字(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3656
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