【決算レポート】KLabは「新作配信まで厳しい状況が続く」と当面は費用抑制に注力 不採算タイトル撤退は利益にプラス EAとの新作がカギ、BLCゲーム/NFTに参入も

木村英彦 編集長
/

 

KLab<3656>の2021年12月期の第4四半期(21年10~12月)の連結決算は、売上高51億8600万円(前四半期比18.6%減)、営業損失3億7600万円(前四半期は1億1300万円の利益)、経常損失1億7800万円(同3100万円)、最終損失17億円(同6100万円)と減収・営業赤字転落となった。主力タイトルが厳しい状況が続いた。繰延税金資産の一部取り崩しに伴う法人税等調整額の計上等により最終損失が拡大した。

・売上高:51億8600万円(同18.6%減)
・営業損失:3億7600万円(同1億1300万円の利益)
・経常損失:1億7800万円(同3100万円)
・最終損失:17億円(同6100万円)

 

 『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』が増収となったものの、『BLEACH Brave Souls』や『キャプテン翼~たたかえドリームチーム~』、『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS』が周年イベントの反動で減収となった。近年リリースしたタイトルによる売上高への寄与が少ないなか、既存タイトルが想定よりも早い段階で減衰しているという。

 

費用面は、売上に連動する使用量/支払手数料が減ったほか、新作の開発に伴い原価の資産計上の増加など原価が減った一方、『キャプテン翼』グローバル版の周年キャンペーンやドリームチャンピオンシップを実施したほか、『ラピスリライツ』のリリースに合わせたプロモーション展開に伴う販管費の増加がみられた。原価と販売管理費の総額は減ったが、減収の影響をカバーできなかった。

 

■2022年12月期は新作リリースまで厳しい状況が続く
続く2022年12月期については新作タイトルがリリースされるまで厳しい状況が続く見通しとし、引き続きコストを抑制し、利益率の改善を図る考え。『スクスタ』(1月6日から他社に移管)や『テイクレ』(2月7日で終了)の影響については、売上こそ落ちるものの、不採算タイトルだったため、利益面にはプラスに働くと見ているそうだ。 

鍵を握る新作は、エレクトロニック・アーツと共同開発しているスポーツシミュレーションゲームで、2022年12月期中にリリースする予定。セールスランキングへの期待について質問を受けると「あくまで個人的な意気込み」としながら、「北米や欧州、アジアのどこかで首位を取れるところもでてくるのではないか。日本は本当にわからないが、結構上に行くかと期待している」(森田英克社長)。

 

また、KADOKAWA<9468>との共同タイトル『ラピスリライツ ~この世界のアイドルは魔法が使える~』については中国で版号が取得できていないなど影響が出ていると明かした。また、プロモーション計画を変更した影響で、ユーザー獲得については30万ダウンロードと想定に到達していないという。

ただし、リリース前の展開からコアなユーザーを獲得することができており、ゲーム内での課金率やARPU(客単価)などのKPIは他のタイトルと比較しても優秀な水準にあるそうだ。このため、今後は広告宣伝費を投下して新規ユーザーの獲得を図り、ユーザー数とともに売上拡大も狙っていく考えだ。

 

このほか、新規事業としてブロックチェーン関連事業に参入する。市場が立ち上がってまもなく、国内外ともに主要プレイヤーが少ないことから早期参入による先行者メリットを獲得し、モバイルオンラインゲームに次ぐ第2の柱として育てていきたいとしている。

開発中のプロジェクトは合計4本で、内訳はブロックチェーンゲームが2本、NFT/メタバース関連が2本となる。ブロックチェーンゲームについてはモバイルオンラインゲームの開発・運用で得た知見を活かしたいと考えているそうだ。そして、IPホルダーとの関係性が強いという同社の強みも活かすことができそうだ。

 

メタバースとNFTについては、巨大なプラットフォームを作ることを目指しているわけではなく、デジタルアイテムの販売を想定しているという。NFTはオリジナルIPや既存IPを使ったアートなの販売、メタバース関連はメタバースプラットフォーム向けのアイテムを販売することになると明かした。

また、費用面については、いずれも「さほど大きな規模にはならない」。最も費用がかかるのはブロックチェーンゲームだが、「数千万円規模でやっているところが多いようにみえるが、当社もそういった規模から始める」(森田社長)とし、昨今のスマホゲームほど巨額にはならないとの見方を示した。人材も要所で新規採用を考えるが、既存の人材をアサインしていく考え。

KLab株式会社
http://www.klab.com/jp/

会社情報

会社名
KLab株式会社
設立
2000年8月
代表者
代表取締役社長CEO 森田 英克/代表取締役副会長 五十嵐 洋介
決算期
12月
直近業績
売上高107億1700万円、営業損益11億2700万円の赤字、経常損益7億6100万円の赤字、最終損益17億2800万円の赤字(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3656
企業データを見る