【決算レポート】バンナムHD、第3四半期は「ガンプラ」など大人層向け玩具好調で2ケタ増収増益 新型コロナで苦戦したアミューズメントや映像音楽も回復進む

木村英彦 編集長
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バンダイナムコホールディングス<7832>の第3四半期累計(21年4~12月)の連結決算を発表し、売上高6283億1100万円(前年同期比15.6%増)、営業利益921億5300万円(同26.4%増)、経常利益955億5800万円(同27.2%増)、最終利益617億0300万円(同21.9%増)と増収増益だった。

ゲーム事業が先行投資で減益となったものの、トイホビー事業が引き続き伸びた。また映像音楽やアミューズメント事業など前年同期に新型コロナの影響で苦戦したセグメントが復調したことも増益要因となった。

 
■トイホビーはガンプラやフィギュアなどハイターゲット向けが好調
業績拡大に貢献したのは、トイホビー事業だった。売上高は2859億5700万円(同27.3%増)、セグメント利益は507億6500万円(同40.2%増)と引き続き高い伸びをみせた。

「機動戦士ガンダム」シリーズのプラモデル(ガンプラ)やコレクターズフィギュア、ロトなどハイターゲット層(大人層)向けの商品が、デジタルを活用した販売・マーケティングや、海外における展開拡大により好調に推移した。

 ▲IP別売上高では「ガンダム」は好調が続いている。また「ガンプラ」については品不足が続いており、生産体制の強化に取り組むという。


また、前年同期にアミューズメント施設の休業により影響を受けたプライズも回復。さらに国内では、定番IPや新規IPを活用した玩具に加え、海外向けのトレーディングカード、菓子やカプセルトイ等の玩具周辺商材が人気となった。


■アミューズメント関連は復調進む
前年同期に大きな損失を抱えたアミューズメントも復調しつつある。売上高は613億9500万円(同44.4%増)、セグメント利益は43億3300万円(前年同期は97億4300万円のセグメント損失)と大幅増収・黒字転換となった。

新型コロナウイルス感染拡大による影響を受けたものの、国内アミューズメント施設の既存店売上高が120.7%となり回復の兆しが見えた。欧州やアジアのアミューズメント施設についても回復した。

 
■映像音楽も回復
映像音楽も回復し、売上高は352億9200万円(同67.2%増)、セグメント利益は35億1900万円(同449.6%増)となった。「機動戦士ガンダム」シリーズや「ラブライブ!」シリーズ、「アイドルマスター」シリーズ等のIPの映像・音楽パッケージソフトの販売を行ったほか、IP関連のライセンス収入が業績に貢献した。

また、ライブイベントにおいては、配信や新技術の活用等の環境変化に対応した新たな形のライブイベントへの取組みを進めたことにより、前年同期に比べて開催回数が増加し、収益回復につながった。


■開発費など先行投資が負担となったゲーム事業
トイホビーと並ぶ柱であるゲーム事業は苦戦し、売上高は2423億2100万円(同4.6%減)、セグメント利益は376億3300万円(同20.5%減)と減収減益だった。

家庭用ゲームにおいて「テイルズ オブ アライズ」等の新作タイトルの販売が好調だったほか、既存タイトルのリピート販売がユーザーに向けた継続的な施策により好調に推移した。

新作タイトルについてはリピートタイトルとなる来期から利益面に大きく貢献してくるとみられる。このあたりはセガサミーホールディングス<6460>と似たような事情だろう。

また、ネットワークコンテンツにおいては、主力の既存スマートフォンゲームが安定的に推移したものの、好調だった前年同期には及ばなかったという。第3四半期では以下のタイトルをリリースした。

・『機動戦士ガンダム U.C. ENGAGE(ガンダムUCE)』
・『フットサルボーイズ!!!!! ハイファイリーグ』
・『テイルズ オブ ルミナリア』
・『転生したらスライムだった件 魔王と竜の建国譚(まおりゅう)』
・『アイドルマスター SideM GROWING STARS』

なお、前年同期と比較し新規大型タイトルの投入が増えたため、開発費等の初期費用が先行した。


■クリエイション事業
クリエイション事業における売上高は245億0300万円(同50.3%増)、セグメント利益は16億1200万円(同39.4%減)となった。

「機動戦士ガンダム」シリーズや「ラブライブ!」シリーズ等の新作映像作品の制作収入が増加したが、コスト先行のビジネスモデルのため利益への貢献は限定的となった。

また、ガンダムの人気拡大等に伴いライセンス収入が好調だったが、IPの情報発信を行う「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」については、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた。


■2022年3月通期の見通し
続く2022年3月通期の業績については、売上高8100億円(前期比9.3%増)、営業利益960億円(同13.4%増)、経常利益990億円(同13.0%増)、最終利益670億円(同37.0%増)、EPS304.96円を見込む。

同時に以下のように業績予想を引き上げた。

売上高7950億円→8100億円(増減率1.9%増)
営業利益900億円→960億円(同6.7%増)
経常利益930億円→990億円(同6.5%増)
最終利益580億円→670億円(同15.5%増)

なお、第3四半期決算の通期計画に対する進捗率は、売上高77.6%、営業利益96.0%、経常利益96.5%、最終利益92.1%となっている。

・売上高:77.6%
・営業利益:96.0%
・経常利益:96.5%
・最終利益:92.1%

株式会社バンダイナムコホールディングス
http://www.bandainamco.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社バンダイナムコホールディングス
設立
2005年9月
代表者
代表取締役社長 川口 勝
決算期
3月
直近業績
売上高9900億8900万円、営業利益1164億7200万円、経常利益1280億0600万円、最終利益903億4500万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
7832
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