【決算レポート】セガサミーHD、22年3月期は遊技機とAM機器回復し経常益1844%増の333億円と大幅増益 ゲームは新作減で苦戦、次期は巻き返しへ

木村英彦 編集長
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セガサミーホールディングス<6460>の2022年3月通期の連結決算は、売上高3209億4900万円(前の期比15.6%増)、営業利益320億4200万円(同389.0%増)、経常利益333億4400万円(同1844.3%増)、最終利益370億2700万円(同2806.4%増)だった。

・売上高:3209億4900万円(同15.6%増)
・営業利益:320億4200万円(同389.0%増)
・経常利益:333億4400万円(同1844.3%増)
・最終利益:370億2700万円(同2806.4%増)

新型コロナの影響を受けて苦戦した遊技機とアミューズメント(AM)機器が回復し、大幅な増収増益を達成した。投資有価証券売却益を特別利益に計上したほか、繰越欠損金による税金費用の大幅な減少が影響し、最終利益も大きく伸びた。

 
■エンタテインメントコンテンツ事業
・売上高:2359億円(同8.3%増)
・営業利益:339億円(同21.5%増)

コンシューマ分野では、グローバル同時発売やマルチプラットフォーム対応、リマスタータイトルの投入、サブスクリプション対応等による、「既存IPのグローバルブランド化」に取り組んだ。

(1)コンシューマ
フルゲームとF2Pをあわせたコンシューマの売上高は16.6%増の1583億円、営業利益が6.6%減の293億円と増収減益だった。

・フルゲーム
フルゲーム(家庭用ゲーム)の売上高は同19.4%増の658億円だった。期初段階で新作を多く投入するとのアナウンスがあったが、フルゲーム全体に占める新作の売上比率は、36.1%から61.7%と大きく伸びた。

新作の売上高は倍増の406億円と大きく伸びた。『HUMANKAIND』や『LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶』『ソニックカラーズ アルティメット』『真・女神転生Ⅴ』『Football Manager 2022』『たべごろ!スーパーモンキーボール 1&2リメイク』『Total War: WARHAMMERⅢ』などを発売し、販売本数は45.7%増の877万本と大幅に伸びた。

他方、採算性の高いリピートタイトルは、売上高が28.4%減の252億円だった。販売本数については同48.4%減の1843万本と大きく落ち込んだ。前年同期は世界的な巣ごもり需要が盛り上がっていたこともあり、3575万本を販売した。前期の新作が少なかったことで、リピートのラインナップが増えなかったことも一因とみられる。

 ・F2Pタイトル
スマホゲームやPCオンラインゲームなど「F2P」タイトルの売上が同3.1%増の558億円だった。リリース年度別の売上を見ると、2020年3月期以前のタイトルが低下する一方、『プロジェクトセカイ! feat. 初音ミク』を中心とする2021年3月期リリースタイトルが引き続き高水準の売上を記録した。「『プロジェクトセカイ』の好調で右肩上がりに伸びている」(同社)という。

また、『PSO2 ニュージェネシス』を中心とする2022年3月期においては一定の売上を出しており、『プロジェクトセカイ』に続くF2Pタイトルで第2位の売上となっている。『プロジェクトセカイ』とあわせると、全体の売上の過半に達している状況にある。

(2)アミューズメント機器
アミューズメント機器分野では、売上高が39.2%像の497億円、営業利益が25億円となり、前の期の16億円の赤字から黒字転換となった。新作タイトル『英傑大戦』等を発売したほか、UFOキャッチャーシリーズやプライズ等の販売が好調に推移した。また、前の期に14億円の損失計上を行ったアミューズメント施設が連結から離脱したことも増益要因となった。

(3)映像・玩具
映像・玩具分野では、売上高が10.3%増の256億円、営業利益が同42.8%増の30億円だった。劇場版『名探偵コナン緋色の弾丸』を公開したほか、映像制作や配信に伴う収入等を計上し、玩具においては『カメラもIN!マウスできせかえ!すみっコぐらしパソコンプレミアム』や『鬼滅の刃POD』等の新製品や定番製品を販売した。


■遊技機事業
・売上高:758億円(同42.7%増)
・営業利益:93億円(前の期は106億円の損失)

遊技機事業では、ラインナップの見直し等による「ヒットの創出」や開発効率の向上等による「事業効率の向上」に取り組んだ。

パチスロ遊技機は、売上高が20.1%増の306億円と大きく伸びた。過去作のリバイバルである『パチスロアラジンAクラシック』や『パチスロコードギアス 反逆のルルーシュ3』『パチスロANEMONE 交響詩篇エウレカセブンHI-EVOLUTION』などを販売し、7万7000台の販売(前期は3万5000台の販売)となった。

パチンコ遊技機は、売上高が30.1%増の371億円だった。『P北斗の拳9 闘神』や『P真・北斗無双 Re:319ver.』『P北斗の拳8 救世主』『P真・北斗無双 第3章 ジャギの逆襲』など主力シリーズ作品の販売を行い、9万7000台の販売(前期は6万9000台の販売)となったとのこと。

こうした増収効果に加えて、前の期に実施した構造改革効果等により、固定費が低水準で推移したことも利益回復の要因となったという。


■リゾート事業
・売上高:86億円(同36.5%増)
・営業損失:25億円(同41億円の損失)

リゾート事業では、『フェニックス・シーガイア・リゾート』において、第3四半期の施設利用者数が『Go Toトラベル事業』効果を大きく取り込んだ前年同期を上回る等、緊急事態宣言等の発出期間外において、個人客については需要の高さが見られた。

一方で、前期において、東京都だけでなく宮崎県等でも約6割の日数が緊急事態宣言等の発出期間となり、施設利用者数は新型コロナウイルス感染症に伴う影響を本格的に受ける前の2020年3月期と比較して9.4%減少した。

海外では、PARADISE SEGASAMMY(持分法適用会社)が運営する『パラダイスシティ』において、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う各国の渡航制限の影響等により、2021年1月~12月のドロップ額(テーブルにおけるチップ購入額)が前期比で48.5%、カジノ来場者数が前期比で56.9%となるなど大幅な落ち込みが見られた。

※PARADISE SEGASAMMYは12月決算のため3ヶ月遅れで計上


■2023年3月期の業績見通し
2023年3月期の業績は、売上高3750億円(前期比16.8%増)、営業利益400億円(同24.8%増)、経常利益400億円(同20.0%増)、最終利益280億円(同24.4%減)、EPS126.83円を見込む。各事業で増収増益を計画している。

・売上高:3750億円(同16.8%増)
・営業利益:400億円(同24.8%増)
・経常利益:400億円(同20.0%増)
・最終利益:280億円(同24.4%減)
・EPS:126.83円

 
■エンタテインメントコンテンツ事業
・売上高:2770億円(前期比17.4%増)
・営業利益:390億円(前の期比15.0%増)

エンタテインメントコンテンツ事業については、家庭用ゲームソフトの新作ラインナップを大幅に増やすことから増収増益を見込んでいる。新作の販売本数は59.1%増の1395万本を計画している。新作の増加に伴い、開発費と広告宣伝費の増加を見込んでいる。またアミューズメント機器は、プライズの好調維持を見込んでいるという。

【新作発売計画】
日 本:15本(前期6本)
アジア:15本(前期9本)
欧 米:16本(前期13本)


■遊技機事業
・売上高:860億円(同13.5%増)
・営業利益:115億円(同23.6%増)

世界的な半導体不足と物流混乱による部材調達の動向に注視しつつ、足元の規制緩和に対応した新機種を投入する。販売台数は、パチスロが7.8%増の8万4000台、パチンコが17.5%増の11万4000台と引き続き伸びる見通し。


■リゾート事業
・売上高:115億円(同33.7%増)
・営業損失:12億円(同25億円の損失)

新型コロナに伴う行動制限の緩和を前提に、収益が回復する見込み。フェニックスリゾートにおいては黒字転換、パラダイスセガサミーにおいては損失幅が縮小する見通し。

セガサミーホールディングス株式会社
http://www.segasammy.co.jp

会社情報

会社名
セガサミーホールディングス株式会社
設立
2004年10月
代表者
代表取締役会長 里見 治/代表取締役社長 グループCEO 里見 治紀
決算期
3月
直近業績
売上高3896億3500万円、営業利益467億8900万円、経常利益494億7300万円、最終利益459億3800万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
6460
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