松竹、8月中間決算は最終益75億円と黒字転換 補助金や固定資産売却益で 「ククルス・ドアンの島」と「ゆるキャン△」興収10億円超え

松竹<9601>は、本日(10月13日)、2023年2月期 第2四半期累計(22年3月~22年8月)の連結決算を発表し、売上高384億1900万円(前年同期比12.3%増)、営業損失1億6800万円(前年同期は19億6100万円)、経常利益25億6000万円(同15億2500万円の損失)、最終利益75億5400万円(同22億9800万円の損失)だった。映画関連事業や演劇事業の収益が改善したほか、補助金収入25億円を計上したため。また、最終利益については固定資産売却益69億円を計上したことによる。

・売上高:384億1900万円(同12.4%増)
・営業損失:1億6800万円(同19億6100万円)
・経常利益:25億6000万円(同15億2500万円の損失)
・最終利益:75億5400万円(同22億9800万円の損失)

 

(映像関連事業)
第2四半期累計の売上高は207億7800万円(前年同期比9.4%増)、セグメント損失は2億6100万円(前年同期はセグメント損失7億6400万円)となった。収益認識に関する会計基準の適用により、売上高が22億6800万円減少し、セグメント損失は2億0300万円損失が縮小した。

配給は、邦画6本、洋画1本、アニメ7本、シネマ歌舞伎、METライブビューイング、松竹ブロードウェイシネマと、多様な作品を公開した。2021年の公開予定から延期となっていた「峠 最後のサムライ」が6月に公開となり、アニメでは6月の「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」、7月の「映画『ゆるキャン△』」の2本が興行収入10億円を超える大ヒットとなった。

興行は、邦画では「シン・ウルトラマン」等のヒット作が公開した。洋画では、4月の「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」等をはじめ、ハリウッド大作の供給も通常通り行われ、7月の「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」が60億円を超える大ヒットとなる等、夏興行をけん引した。

テレビ制作は、地上波でスペシャルドラマ「二十四の瞳」「続 遙かなる山の呼び声」、BS放送で時代劇「無用庵隠居修行6」を制作した。

CS放送事業等は、松竹ブロードキャスティングが、近年拡大する動画配信サービスの影響もあり、多チャンネル放送市場は厳しい状況が続いているが、収益確保に努めている。

BS放送事業は、BS松竹東急が、BS260chで3月に無料放送局を開局し、オリジナル番組を含む多彩な番組を編成し、認知度向上に努めている。


(演劇事業)
第2四半期累計の売上高は100億1500万円(前年同期比40.6%増)、セグメント損失は13億3100万円(前年同期はセグメント損失25億2000万円)となった。

新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐため、感染予防を徹底し、ユーザーの安全、安心に配慮した興行を行ってきた。しかしながら、オミクロン株の流行に伴う感染者数の増加に伴い、一部の公演が中止となった。

歌舞伎座は、感染防止策のガイドラインを遵守して三部制興行を執り行い、収益の改善に努めた。「六月大歌舞伎」までは順調に稼働していたが、舞台関係者の新型コロナウイルス感染者の急増に伴い、「七月大歌舞伎」では公演途中から全ての公演を中止した。

新橋演舞場は、3月の「陰陽師 生成り姫」、4月と5月の「滝沢歌舞伎ZERO2022」が好成績を収めた。8月の「流星の音色」は一部公演中止となったが、「超歌舞伎2022Powered by NTT」とともに好評を博した。大阪松竹座は、4月の「毒薬と老嬢」、5月の「藤山寛美三十三回忌追善 喜劇特別公演」等が好評を博した。8月の「関西ジャニーズJr. Space Journey! ~僕たちの軌跡~」は一部公演中止となったが収益を確保した。

南座は、3月に「三月花形歌舞伎」、4月に「都をどり」、7月に「OSK日本歌劇団創立100周年記念公演 レビュー in Kyoto」「坂東玉三郎 特別舞踊公演」を上演し、収益に貢献した。
その他の公演は、3月のサンシャイン劇場での「行先不明」が好評を博し、4月の日生劇場ではミュージカル「ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート」が高収益を確保した。

巡業は、7月に「松竹歌舞伎舞踊公演」を全国18か所で行い収益を確保した。

シネマ歌舞伎では、片岡仁左衛門と坂東玉三郎が36年ぶりに同じ配役で上演し話題となった「桜姫東文章 上の巻/下の巻」を4月に連続公開し好評を博した。METライブビューイングは、2021-22シーズン10作品がニューヨークで上演され、7月まで日本上映を行った。


(不動産事業)
第2四半期累計の売上高は62億9300万円(前年同期比3.5%増)、セグメント利益は30億1900万円(同8.5%増)となった。不動産賃貸では、主要物件の高稼働により安定収益を確保し、新型コロナウイルス感染症の影響による賃料減額も最小限に留めることで、概ね計画通りの収益に貢献した。また、中長期の事業戦略として、資産効率向上を目的に保有物件の見直しを行い、新木場倉庫の譲渡を行った。将来の街づくりの一環となる東銀座のエリアマネジメントにおいては、と協議会を設立することで地域との連携を強化し、コロナ禍でも可能なイベント活動や地域貢献にも注力した。


(その他)
第2四半期累計の売上高は13億3100万円(前年同期比33.5%減)、セグメント損失は1億5800万円(前年同期はセグメント利益3100万円)となった。なお、収益認識に関する基準の適用により、売上高が3億4000万円減少している。セグメント損失への影響はない。プログラム・キャラクター商品は、「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」「モエカレはオレンジ色」「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」等の作品を中心に収益に貢献した。イベント/オンライン配信は、4月に幕張メッセで超歌舞伎2022「永遠花誉功」を開催し、同時生配信視聴数は過去最高となった。

 

■2023年2月通期の業績見通し
2023年2月通期の業績は、売上高852億3000万円(前期比18.7%増)、営業損失3億4000万円(前期は40億0500万円)、経常利益18億円(同28億0100万円の損失)、最終利益68億円(同17億6200万円の損失)を見込む。売上高と営業利益の見通しを引き下げ、経常利益と最終利益を引き上げた。

・売上高:852億3000万円(同18.7%増)
・営業損失:3億4000万円(同40億0500万円)
・経常利益:18億円(同28億0100万円の損失)
・最終利益:68億円(同17億6200万円の損失)
・EPS:495.09円

松竹株式会社
https://www.shochiku.co.jp/

会社情報

会社名
松竹株式会社
設立
1920年11月
代表者
代表取締役会長 会長執行役員 迫本 淳一/代表取締役社長 社長執行役員 髙𣘺 敏弘/代表取締役 副社長執行役員 武中 雅人
決算期
2月
上場区分
東証プライム
証券コード
9601
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