【決算レポート】スクエニHD、9月中間は本業の利益減も為替差益と関係会社売却で最終利益は71%増益 下期大型タイトルで挽回狙う

スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>は、11月7日、第2四半期(22年4月~22年9月)の連結決算を発表し、売上高1633億9200万円(前年同期比3.3%減)、営業利益260億4400万円(同10.6%減)、経常利益451億3300万円(同43.4%増)、最終利益394億7300万円(同71.7%増)だった。

・売上高:1633億9200万円(同3.3%減)
・営業利益:260億4400万円(同10.6%減)
・経常利益:451億3300万円(同43.4%増)
・最終利益:394億7300万円(同71.7%増)

 

本業の儲けを示す営業利益が家庭用ゲームソフト新作の売上減に伴い営業減益となったものの、為替差益201億4300万円が発生したことで経常利益は大幅な伸びとなった。最終利益についてはさらに関係会社売却益94億5500万円を計上したことによる。

この関係会社売却益は、グループ子会社が保有するCRYSTAL DYNAMICSとEIDOS INTERACTIVEのほか、「TOMB RAIDER」シリーズや「Deus Ex」シリーズ、「Thief」シリーズ、「Legacy of Kain」シリーズを売却したことによって計上された。

セグメント別の状況を見ていこう。ゲーム事業を展開するデジタルエンタテインメントが苦戦する一方で、アミューズメントと出版が増収増益となった。

 


■デジタルエンタテインメント事業
・売上高:1171億5600万円(同9.5%減)
・営業利益:245億9600万円(同16.6%減)

 

・HD(High-Definition:ハイディフィニション)ゲーム
売上高は、同25.6%減の294億円だった。「OUTRIDERS」や「NieR Replicant ver.1.22474487139...」を発売した前年と比較し、新作タイトルによる収益が減少したという。第2四半期に「ライブアライブ」や「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オフライン」を発売したことで増収だったが、第1四半期の減収はカバーできなかった。

下期の主なリリース予定タイトルは以下のとおり。

・『ヴァルキリーエリュシオン』
・『スターオーシャン 6 THE DIVINE FORCE』
・『ドラゴンクエスト トレジャーズ 蒼き瞳と大空の羅針盤』
・『CRISIS CORE -FINAL FANTASY VII- REUNION』
・『FORSPOKEN』

 

・スマートデバイス・PCブラウザゲーム
売上高は、同5.1%減の590億円だった。2022年8月にリリースした『鋼の錬金術師 MOBILE』が好調な出足をみせて全体をけん引し、第2四半期は増収となったものの、第1四半期が2ケタの減収となっていたこともあり、上期累計としては全体をプラスにすることはできなかったようだ。

 

・MMO(多人数参加型オンラインロールプレイングゲーム)
売上高は、同3.2%増の286億円だった。『ファイナルファンタジーXIV』の月額課金会員数が引き続き増加したとのこと。『ファイナルファンタジーXIV』と『ドラゴンクエストX オンライン』の拡張パッケージについては、2023年3月期での販売を予定していないとのことで、下期は反動減が出そうだ。

 
■アミューズメント事業
・売上高:258億5900万円(同22.7%増)
・営業利益:25億4700万円(同289.9%増)

大幅な増益を達成した。アミューズメント施設の既存店売上高が前年を大幅に上回ったため、としている。


 第2四半期(22年7~9月)の売上、営業利益を見ると新型コロナ前の水準を上回った。新型コロナの感染拡大による緊急事態宣言などで売上高と営業利益は大きく落ち込んだが、リオープンにともなって収益が回復をしている。

 
■出版事業
・売上高:146億8600万円(同3.8%増)
・営業利益:60億5200万円(同1.3%増)

増収増益となった。同社では、「その着せ替え人形は恋をする」の大ヒットによりコミック単行本の売上が好調に推移し、デジタル販売及び紙媒体の販売が増加したため、と説明している。

 
■ライツ・プロパティ等事業
・売上高:74億2900万円(同28.0%増)
・営業利益:17億7500万円(同1.2%減)

 

 

■2023年3月通期の見通し
2023年3月期の連結業績予想については非開示。合理的な算出を行うことが困難なため、としている。新作大型タイトルの発売を下期に予定しているが、世界的なサプライチェーンの混乱等が続いており、合理的な販売予測が難しいという。加えて、急激な為替変動が経常利益及び最終利益に及ぼす恐れがある。また、インフレや世界的な金利の急上昇により、今後の経済情勢によっては、同社グループへの業績に大きな影響を与える可能性もある、とした。

株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
https://www.hd.square-enix.com/jpn/

会社情報

会社名
株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
設立
1975年9月
代表者
代表取締役社長 桐生 隆司
決算期
3月
直近業績
売上高3432億6700万円、営業利益443億3100万円、経常利益547億0900万円、最終利益492億6400万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9684
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