FIFAワールドカップがモバイルサッカーゲームに与えた影響 『eFootball』はAU2倍 リアル志向&10代の多い作品にプラス ゲームエイジ総研調査

ゲームエイジ総研は、「2022FIFA ワールドカップ」がカタールで開催され、連日大きな話題となった。4年に一度の国際的な大イベントだが、特に11月23日に行われた日本チーム初戦のドイツ戦では、後に“ドーハの歓喜"と言われるほど、日本中を沸かせた試合となった。今回はワールドカップが日本のモバイルサッカーゲームに与えた影響をiGageを活用して調査したという。「iGage(アイゲージ)」は、約240万名のスマートデバイスのユーザーのログを自動取得しており、動向やトレンドなども観測しているマーケティングデータサービス。


【データの概要】
利用データ:iGage データ
iGage データ:2022年10月24日~2022年12月18日の期間のデータ


■『eFootball2023』のアクティブユーザーはワールドカップ開始前から15万人以上増加
最初に取り上げる『eFootball2023』は、元々は『ウイニングイレブン』という名前のシリーズ作品で、1995年から続く歴史の長いサッカーゲーム。実在の選手が登場し、リアル志向のグラフィックを特長とするゲームで、モバイルサッカーゲームの中で最もアクティブユーザー数が多いタイトルとなっている。

本作は、大型アップデートの実施や2022FIFA ワールドカップ(ワールドカップ)が開幕した、11月14日の週からユーザー数が増加し、大きな話題となった日本対ドイツ戦が開催した11月21日週からさらに大きくユーザー数を伸ばしている。12月12日週には、11月7日週から比較し、15万人以上の WAU(ウィークリーアクティブユーザー)を増加させており、その増加率は約2倍になった。【グラフ①】

 
■『eFootball2023』で増加したアクティブユーザーは主に10代男性
それでは、どのようなユーザーが『eFootball2023』をプレイしたのだろうか。アクティブユーザー数の多い10代から40代の男性ユーザーにフォーカスすると、最もユーザー数が多い10代男性は、平時の WAU が7万人台と、20代の約2倍、30・40代の約3倍のユーザーを擁しているとのこと。

ワールドカップの開催後には、この最も規模の大きい10代男性の増加率が特に目立つとした。12月12日週になると、11月7日週と比べて WAU は2.2倍に増加し、20代の3倍以上、30・40代の6倍以上と、ほかの年齢層との差がさらに拡大した。【グラフ②】

 
■10代男性が増加しているのはグラフィックがリアル寄りのモバイルサッカーゲーム
そのほかのサッカーを題材としたタイトルをみると、『プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド』は、実在のサッカー選手や監督のキャラクターでチームを組んで戦うゲーム。リアル志向の『eFootball2023』とはキャラクターデザインが大きく異なり、デフォルメ化されているのが特徴。

ユーザー数の推移を見ると、ワールドカップが開催した11月14日週から、ユーザー数が増加しているが、その増加率は比較的緩やかなものとなっている。ユーザー数の増加が目立つのは40代と30代の男性で、『eFootball2023』で増加が目立った10代男性の変化はほとんどみられなかった。【グラフ③】

次に、『実況パワフルサッカー』を見てみる。本作もキャラクターデザインが特徴的な作品だが、実在のサッカー選手は基本的に登場しない。人気の野球ゲームである『実況パワフルプロ野球』シリーズの派生作品で、プロモーション戦略においても、漫画 IP やゲーム IP などとのコラボレーションが盛んにおこなわれている。

アクティブユーザー数の推移を見ると、実在の選手が登場しないということに起因するのか、ワールドカップ自体は殆ど影響していないようで、どの年代もアクティブユーザー数に大きな増減は見られない。最も多いのは30代の男性で、『eFootball2023』の中心ユーザーである10代男性は最も少なくなっているという。【グラフ④】

最後に『サッカースーパースター』を見ていく。『サッカースーパースター』は、スマホ画面をスワイプすることでパスをつないでいき、ゴールを目指すカジュアルなゲーム。実在の選手は登場しないが、リアル志向のグラフィックが特徴のゲーム。

ワールドカップ付近からユーザー数を伸ばし、特に11月28日週から大幅にユーザー数が増加し、12月12日週には平時の約6倍に増加した。その中でも特に10代男性が増加していることがわかる。【グラフ⑤】


最後にレポートのまとめとして、

・ワールドカップを境にユーザー数が増加したタイトルは、いずれも10代男性のプレイヤー数増加が大きな要因
・ユーザー数の増えたタイトルはいずれもリアル志向のグラフィックス

であるとし、流行に敏感な10代男性がワールドカップを機にサッカーゲームをはじめ、その中でも実際のサッカーに近いリアルなグラフィックスのゲームを選んでいる、と指摘した。

同総研では、ワールドカップに限らず、ほかのスポーツにおいても、著名なイベント開催を契機にゲームユーザー数に変動が起こりえると考えられる。今後、野球やラグビー、ウィンタースポーツなど様々な世界大会が開催することもあり、スポーツ関連のゲームユーザーがどのように変化するのか、その動向に注視していきたい、としている。

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