【決算レポート】DeNA、第3四半期(10~12月)は20.2億円の営業赤字に ゲーム事業の収益漸減に加えて戦略投資やM&Aによる費用が先行

柴田正之 編集部記者
/

ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>の2023年3月期の第3四半期(10~12月)の連結決算(IFRS)は、ゲーム事業で既存タイトル中心の漸減傾向が続いたことで減収となった。

また、ゲーム事業の減益に加え、ライブストリーミング事業とヘルスケア・メディカル事業の投資が先行したことで、営業赤字に転落した。

売上収益301億7200万円(前年同期比2.8%減)
営業損益20億2000万円の赤字(前年同期22億2000万円の黒字)
最終損益38億300万円の赤字(同39億8200万円の黒字)

まずはゲーム事業から見てみると、売上収益は前年同期比18%減、セグメント利益は同25%減となった。当初今下期想定の一部新規タイトルが後ろ倒しとなったこともあり、既存タイトル中心の漸減傾向が続いた格好だ。

なお、新作はHUNTER×HUNTERの繁体字圏向けタイトル『獵人×獵人』が2月8日より廃止新開始となったほか、2023年3月期の第1四半期でのリリースを予定する『takt op. 運命は真紅き旋律の街を』、来期のリリースを目指して2022年12月にクローズドβテストを実施した中国で開発中の「キャプテン翼」のスマホゲームの3本が明らかになっている。

ライブストリーミング事業は、売上収益は14%増と高い成長性を持続しているが、戦略的な投資の影響もあり、セグメント損益は1億円の赤字にとどまった。

国内の「Pococha」は堅調な推移が続いており、グローバル版の「Pococha」やバーチャルライブアプリ「IRIAM」への投資の成果がどのタイミングで利益面にも出てくるのかがセグメントとしての関心事と言えそうだ。

スポーツ事業については、プロ野球の横浜DeNAベイスターズがシーズンオフに入るタイミングということで例年通りの季節性の動きとなった。

プロバスケットボールの川崎ブレイブサンダースも動員制限なしでの開幕を迎えており、コロナ禍からの脱却が着実に進んでいるようだ。

ヘルスケア・メディカル事業は、2022年8月のデータホライゾン<3628>、2022年10月のアルムの子会社化の影響もあり、売上収益は前年同期比88%増と大きく膨らんでいる。一方で、投資費用が膨らみセグメント損益は9億円の赤字と赤字幅が拡大した。

同社は強化した事業ポートフォリオのさらなる成長や収益力向上に注力し、2024年3月期には損益反転、2025年3月期には売上200億円・利益50億円を目指すとしている。

なお、2023年3月期の連結業績予想については、合理的な数値の算出が困難であるため引き続き非開示としている。ただ、現状ではエンターテインメント領域中心に期初想定を下回って進捗しており、前期比で増収を目指しているが、一時利益を除いた営業増益は前期比で減益となる見込みだという。

株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
https://dena.com/jp/

会社情報

会社名
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
設立
1999年3月
代表者
代表取締役会長 南場 智子/代表取締役社長兼CEO 岡村 信悟
決算期
3月
直近業績
売上収益1349億1400万円、営業利益42億0200万円、税引前利益135億9500万円、最終利益88億5700万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2432
企業データを見る