【決算まとめ①】ゲーム関連企業37社の10~12月…MIXIとガンホーが大幅な増収増益を達成 新作『メメントモリ』の大ヒットでBOIの業績が様変わり

柴田正之 編集部記者
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主要モバイルゲーム企業の2022年10~12月期の決算を振り返りたい。年末に向けて新型コロナウイルス感染症の第8波が広がっていくタイミングではあるが、経済活動に重心を置いた対応に変化はなく、企業業績への影響はこの四半期も限定的なものにとどまっている。

そのため、年末年始やクリスマスの商戦期の動向がここ数年のコロナ禍でのものと若干変化が出てきているようで、いわゆる巣籠もり需用的なものはやや後退した格好だ。そうした部分は大手ゲーム会社の販売動向にも影響を与えている可能性は高そうだ。

また、ブロックチェーンやメタバースなどweb3.0の展開に取り組むゲーム関連企業はさらに増加しており、そろそろこの市場で次の成長への橋頭保を築くような企業が出てくることも期待される。

さて、今回も前回までの形と同じく、テーマごとに少し切り分け、この記事では10~12月期の決算シーズンの主要モバイルゲーム企業の決算の概略をまとめてみたい。これまでの記事とデータの連続性も踏まえ、エイチーム<3662>とgumi<3903>、アピリッツ<4174>、coly<4175>の決算は8~10月期の数字を使用している。

なお、これまでと同様にサイバーエージェント<4751>(表中はCA)は、ゲーム事業の数字のみを取り上げている。

■MIXIとガンホーが大幅な増収増益を達成

大手ゲーム会社で好調が目立ったのは、セガサミーホールディングス<6460>だ。新作『ソニックフロンティア』が順調な滑り出しとなったエンタテインメントコンテンツ事業に加え、「パチスロ甲鉄城のカバネリ」や「パチスロ幼女戦記」などがけん引役となった遊技機事業も好調だった。

また、この四半期は、MIXI<2121>とガンホー<3765>も前四半期比で大幅な増収増益を達成している。MIXIは主力の『モンスターストライク』の9周年と年末年始イベントが成功したこと、ガンホーは子会社Gravityの展開する「Ragnarok」関連タイトルのグローバル配信による増収がそれぞれ業績をけん引している。

半面、CAのゲーム事業は、主力タイトルの夏季イベントや『ウマ娘 プリティダービー』の1.5周年の効果が寄与した前四半期の反動から大幅な減収減益となった。CAは、全体業績でもFIFAワールドカップへの配信に伴う費用負担から赤字計上となっており、今回発表された第1四半期決算は投資先行型のイレギュラーなものと受け止められそうだ。

■新作『メメントモリ』の大ヒットでBOIの業績が様変わり

この四半期決算では、37社中の22社が増収、15社が減収となり、増収となった企業が優勢だった。また、営業利益については、21社が増益(赤字幅の縮小を含む)、16社が減益と増益となる企業が多かった。

この四半期に最も劇的に業績が好転したのは、やはりバンク・オブ・イノベーション(BOI)<4393>だろう。BOIは、10月18日にリリースした新作『メメントモリ』のワールドワイドでのヒットにより、売上高が前四半期比1119.8%増と様変わりした。また、利益面でも前四半期の3億3400万円の赤字から28億3300万円の黒字に大幅黒字転換を成し遂げている。

なお、37社を売上高と営業利益の増減別に分けると、以下のようになる(並びはコード順)。

増収増益…MIXI<2121>、ボルテージ<3639>、KLab<3656>、モブキャストHD<3664>、アエリア<3758>、ガンホー<3765>、カヤック<3904>、Aiming<3911>、モバイルファクトリー<3912>、アピリッツ<4174>、バンク・オブ・イノベーション(BOI)<4393>、イマジニア<4644>、セガサミーHD<6460>、東京通信<7359>、マーベラス<7844>、スクエニHD<9684>、カプコン<9697>、コナミグループ<9766>
増収減益…ケイブ<3760>、マイネット<3928>、ギークス<7060>、バンダイナムコHD<7832>
減収増益…グリー<3632>、gumi<3903>、ワンダープラネット<4199>
減収減益…ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>、コーエーテクモHD<3635>、ネクソン<3659>、エイチーム<3662>、enish<3667>、コロプラ<3668>、オルトプラス<3672>、ドリコム<3793>、アカツキ<3932>、coly<4175>、サイバーエージェント<4751>、ブシロード<7803>

株式会社MIXI
https://mixi.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社MIXI
設立
1997年11月
代表者
代表取締役社長 木村 弘毅
決算期
3月
直近業績
売上高1468億6700万円、営業利益248億2000万円、経常利益182億5000万円、最終利益51億6100万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2121
企業データを見る
ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
http://www.gungho.co.jp/

会社情報

会社名
ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
設立
1998年7月
代表者
代表取締役社長CEO 森下 一喜
決算期
12月
直近業績
売上高1253億1500万円、営業利益278億8000万円、経常利益293億800万円、最終利益164億3300万円(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3765
企業データを見る
株式会社バンク・オブ・イノベーション(BOI)
http://www.boi.jp/

会社情報

会社名
株式会社バンク・オブ・イノベーション(BOI)
設立
2006年1月
代表者
代表取締役社長 樋口 智裕
決算期
9月
直近業績
売上高213億3300万円、営業利益49億円、経常利益49億2000万円、最終利益32億9300万円(2023年9月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
4393
企業データを見る
セガサミーホールディングス株式会社
http://www.segasammy.co.jp

会社情報

会社名
セガサミーホールディングス株式会社
設立
2004年10月
代表者
代表取締役会長 里見 治/代表取締役社長 グループCEO 里見 治紀
決算期
3月
直近業績
売上高3896億3500万円、営業利益467億8900万円、経常利益494億7300万円、最終利益459億3800万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
6460
企業データを見る