【インタビュー後編】これからもユーザーと一緒に作り上げる作品で在り続けたい…5周年を迎える『コトダマン』、運営キーマンが語る今後の未来

達川能孝 gamebizプロデューサー/TeeL合同会社代表
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MIXI(2121)から提供されている『共闘ことばRPG コトダマン』(以下、『コトダマン』)が来たる4月16日に5周年を迎える。

本作の「ことば」を組み合わせる楽しさや、マルチプレイでわいわい相談しながら楽しめるゲーム性に熱中しているユーザーも多く、リリースから5年近く経つ今でも支持されている。

そんな『コトダマン』はまだまだ成長期だと語るプロデューサー大槻氏。長期運営に工夫をこらしているゲームタイトルが多い中、その原動力とは何なのか。

今回、gamebizでは大槻プロデューサーと配信にも登場する、もっちーこと望月ディレクターにインタビューを実施。『コトダマン』のこれまでと2人が描く未来について前後編に分けて紹介していく。本稿では『コトダマン』チームが運営に懸ける想いと今後の未来について話を聞いてきた。

 【前編はこちら】ユーザーの叱咤激励に支えられてきた5年間…5周年を迎える『コトダマン』、運営キーマンが語るこれまで



『コトダマン』とコラボイベントはユーザーや作品ファンの為のもの…運営チームが懸ける想い

株式会社MIXI
『共闘ことばRPG コトダマン』プロデューサー
大槻一彦

ゲーム業界にて長らくプロデューサーとして活躍。『コトダマン』はリリース直後に関わったのち、2021年より再び『コトダマン』チームに参画。



 

株式会社MIXI
『共闘ことばRPG コトダマン』ディレクター
望月貴矢

3年前より『コトダマン』チームに参画。新機能開発の責任者を担当したのち、現在は『コトダマン』ディレクターとして現場全体を統括。


――:毎月あの高いクオリティでコラボイベントを出し続けるのは中々できないものだとみています。実現のために意識していることはあるのでしょうか。

大槻氏(以下、大槻: とにかく作品愛を丸出しに作っています(笑)。

望月氏(以下、望月:作品のファンの方が、「そう、これこれ」と思わず口に出してしまうような、元の作品に近しい体験を味わえるように努力しています。例えば『コトダマン』では“すごわざ”というスキルがあるのですが、その演出もコラボ作品を分かっていればいる程喜びが大きくなるよう、細かな設定などにもこだわって仕上げています。

たとえコラボ作品を知らなかったとしても、『コトダマン』を通じてその作品の持つカッコよさ、かわいさ、奥深さなどの魅力に触れて頂けるクオリティでお届けする気概で開発しています。

大槻:ですから他社さんのコラボよりも作品に触れていただける率は高いんじゃないかなと思っています。SNS上でもコラボ作品を『コトダマン』で知って、そこから作品に触れたよ、という投稿も目にします。

――:毎月実施しているコラボですが、どんな作品とコラボをするのか、といった所にルールみたいなものはあるのでしょうか。

大槻:そこはうちのコラボチームがリサーチをすごく頑張ってやってくれています。リサーチといってもビジネス的な要素だけでなく、作品愛の強さも合わせて徹底的に調べ尽くすようなイメージですね。

その上で、当社の他のタイトルさんに乗じて権利元さまへオファーさせて頂くとかではなく、『コトダマン』として全力で打診させていただいております。

ですから、ユーザーの皆様や周りから「そんなコラボをやるんだ」と驚いてもらうと、私たちも凄く嬉しいです。とある作品とのコラボでちょうどアニメの盛り上がりが高まっている時期に実施できた際は、ゲーム業界の知人からも驚かれました。

権利元さまとお話をさせていただいたのはずっと前で、その時点で十分に勢いを感じてはいましたが、実施時には更に盛り上がりを見せる作品となっていました。

この作品を選んだコラボチームの熱い気持ちと説得は、それを予見しての事だったのかなと。

望月:コラボチームの熱量を信じた上で先ほど述べたようなこだわりを持って開発し、権利元さまにもご協力いただいた結果、当初想定以上の盛り上がりと共にコラボイベントを実施する事ができ、ユーザーの皆様に非常に喜んでもらう事が出来ました。

大槻:この点については作品の持つ力、コラボ担当者の熱量、開発の熱量を信じるだけですね。

――:その熱量の源泉もまたユーザーや作品ファンの皆様と通ずるところがあるので、結果的に良い盛り上がりになるのでしょうね。

大槻:ただ、決断する時は冷静なんですよ。コラボ担当者から何度か企画してもらっても実現していないものもあります。熱量は信じているのですが、そこに担当者の私欲や好みは入らないようにはすべきだと判断しています。

あくまで、『コトダマン』やコラボイベントはユーザー・作品ファンの皆様の為です。この辺りは熱量を信じる上で決して忘れてはならないポイントなので、冷静に決断します。

――:クリエイターとしての熱量や意地のぶつかり合いをしながらも、しっかりと客観的な判断もしていると。

大槻:熱量については間違いなくみんな持っています。コラボを担当することになったメンバーは、原作なども改めて読み込みます。アニメも観ます。強制している現場をいくつも見てきましたが、うちのメンバーは強制されなくても観ています。

大変だろうと思うことも多いですが、多分どんな作品も好きなんだと思います。彼らからは作品へのリスペクトしか感じません。

望月:レベルデザインなども原作に関係していたりします。「わざ」の攻撃回数なども丁寧に作っています。これはやっぱり愛の為せるこだわりですね。

大槻:『コトダマン』に対する愛と、作品に対するリスペクトがあるからこそできているのだなと思います。これは仕事でもなかなかできる人はいないと思うので、『コトダマン』運営チームの持つ強みです。

それだけやっているから、ユーザーの皆様が「作品を『コトダマン』で知って、アニメを見ました」と言ってくれるところまで、一緒に熱量を上げられているんじゃないかと思います。

この点について権利元さまも喜んで頂いており、このキャラクターを『コトダマン』で登場させてくださいと再コラボのリクエストいただくことも多いです。

望月:マーケティング施策においても開発と一体になって進めていますね。元の作品をきちんと理解して、どうすればコラボへの本気度が伝わり、コラボ作品のファンの皆様にとって気になる存在になれるかを考えています。

大槻:他人事でやっているメンバーは本当にいないですね。……熱量が高すぎての空回りはあるかもしれませんが(笑)、お届けする形となるときには、その熱量をきちんと体験として作り込んだものになっています。

――:そういったチームになっているのが、5周年を迎えてもなお拡大していっている要因なのでしょうね。


これからをユーザーと一緒に作っていく『コトダマン』



――:5周年後の目標についてお聞かせいただけますか。

大槻:本当にいろんな方々に支えて頂き、『コトダマン』は5年という歳月を皆様と一緒に過ごしてくることが出来ました。

その時間の流れの中で、世の中とかトレンドはどうしても変わっていきます。そうなると『コトダマン』においても1〜2年は変えなくてもよかったとしても、5年や10年になってくると、変えていかなければならない部分もある。

長年支持されている家庭用ゲーム作品もそうですし、ゲーム以外のエンタメでも変化を続けながらも愛され続けているものはたくさんあります。

それは同じものとして認知されつつも、時代にアジャストしながら成長をしているからだと考えています。『コトダマン』もその考え方を大事にしたいです。

原点回帰を意識しつつ良かったところは伸ばしていく。そして悪いところは変える。そのために望月と一緒に今ベストのことをやっていきたいです。

望月:過去の成功にとらわれずに今の最適解を模索しようというメッセージを組織内にも積極的に発信しています。5周年を迎えていろんなコンテンツが増えてきましたし、ユーザーの皆様も多種多様な方々がいます。応じて、それぞれの遊び方やプレイスタイルがあるはずです。

もちろん今まで大切にしてきたものを捨てるわけではなく、本質は決してブレません。その中で様々なユーザーの皆様に面白いと思ってもらえる体験を提供し続けたいです。

『コトダマン』はやっぱりことばのゲームです。そして、ソーシャル要素もあるゲームでもあります。その二つの軸が特徴だと思いますが、その両軸を更に強化していきたいです。

例えば、始めたばかりの人は、ことば遊びは楽しめるけど、『コトダマン』攻略のコツを知りません。ここは誰かの手助けがないとソーシャルゲームとしての面白さにも気づくことができない可能性があります。

一方で、上級者はゲーム攻略を突き詰めているが、本質的なことば遊びが楽しめていない場合があります。最速クリアする為に効率のいい単語を作るのが定石となっていて、その決まった打手をいかにミスらずに行うか、みたいな。

もちろんその楽しみ方も尊重しつつ、ことば遊び自体も楽しんでもらえる環境を用意出来たらと思っています。

ここがことば遊びとソーシャルゲームという両軸で考えていきたいという点ですね。

大槻:望月の考えは私もすごく納得しています。こちらも一種の原点回帰だなと。始めたばかりに感じた「『コトダマン』ってゲーム、面白いじゃん」という原体験を、長らく遊んでいただいているユーザーの皆様にもまた味わってもらいたいんです。……それから、下ネタやしょうもないことばを作って一喜一憂していたあの時を(笑)。

――:(笑)。たしかに、「このことばは反応するのか」とかは楽しんでいました(笑)。

大槻:そういった原体験を現在も楽しんでいるのはどうしても新規のユーザー様に偏りがちなんですよ。一方で、新規ユーザー様が成長要素やクリアによる達成感を味わえるソーシャルゲームとしては続けるには工夫がいる。

対して、長く続けて頂いているコアなユーザー様には、もともとの楽しさも思い出してもらう。この両軸を調整していきたいと考えているのが今年ですね。ただこちらは凄く大事な所なので、今年だけとは言わず、継続的に取り組んでいきたい部分でもあります。 

そして、私たち自身もことば遊びの楽しさを深めないといけないと考えています。時代と共に生まれてくることばもあるので、ゲーム内で作れることばもアップデートしていきます。

ことば遊びの原体験をそういった土台のような部分でも強化していきたいですね。

――:最後に読者に向けて一言お願いします。

望月:『コトダマン』は、私自身も一ユーザーとして楽しんでいます。プロデューサーの大槻の前で、こういうことを言うのは憚られますが、売上やタイトルの成長だけにとらわれずに、もっと面白い体験を届けられるようにしたいです。自分自身も楽しみたいし、それが皆様にも楽しいものを届ける事に繋がると思っています。

大槻:私のテーマとしては、ファンとメンバーと事業、この三つが持続可能な状態を今年1年でより強固に作り上げることが目標の一つです。急拡大とかではなく、皆さんと末長く楽しめるような作品であり続けるために、しっかりとした土台を作り上げていきたいです。

そして、ユーザーの皆様と一緒に作っていくという部分で業界トップでありたいです。もちろんゲーム作品において、ユーザーの皆様から支持されている先駆者は多くいらっしゃいますが、一緒に作りあげていくという面では『コトダマン』はかなり前のめりで走っていると思っています。

次に大きな成長を描く時は、今よりも更にユーザーの皆様と近い距離感で、一緒に『コトダマン』を作っていきたいですね。

望月:今後は直接的なリアルイベントでの関わりも増やしていき、積極的にコミュニケーションをとっていきたいです。

4月9日には「コトダマンミュージアム」も開催するので、ご来場いただく皆様はぜひ全力で楽しんで頂けたらと思っています。

5周年はキリが良い数字なので、これを機会にこれまでの5年間を一緒に振り返って頂けたらという想いが込められたイベントです。「そんなことあったな」や「俺が始めてもうこれだけ経ったんだ」みたいな、楽しい思い出に浸ってもらった上でここからの『コトダマン』に更に期待できるようなイベントになります。

大槻:これまでの周年やハーフアニバーサリーイベントには、ユーザーの皆様への還元として取り組んでいました。そこにこれまでの一層の感謝の感情を乗せ、『コトダマン』のこれからを一緒に振り返っていくイベントになっています。ご来場頂く皆様とお会いできるのを楽しみにしております。

――:『コトダマン』のこれからも、「コトダマンミュージアム」も楽しみにしています。ありがとうございました。






 【前編はこちら】ユーザーの叱咤激励に支えられてきた5年間…5周年を迎える『コトダマン』、運営キーマンが語るこれまで


 ※「コトダマンミュージアム」参加応募受付期間は終了致しました。




 

 

株式会社MIXI
https://mixi.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社MIXI
設立
1997年11月
代表者
代表取締役社長 木村 弘毅
決算期
3月
直近業績
売上高1468億6700万円、営業利益248億2000万円、経常利益182億5000万円、最終利益51億6100万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2121
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