KADOKAWA、9月中間決算は営業利益35%減の86億円と大幅減 『エルデンリング』反動減、出版での先行投資も負担に

KADOKAWA<9468>は、11月2日、2024年3月期 第2四半期累計(23年7月~23年9月)の連結決算を発表し、売上高1242億0700万円(前年同期比1.3%増)、営業利益86億0400万円(同35.0%減)、経常利益93億8900万円(同44.4%減)、最終利益41億2500万円(同60.8%減)だった。

・売上高:1242億0700万円(同1.3%増)
・営業利益:86億0400万円(同35.0%減)
・経常利益:93億8900万円(同44.4%減)
・最終利益:41億2500万円(同60.8%減)

『【推しの子】』や『この素晴らしい世界に爆焔を!』がヒットした映像事業が大きく伸びたものの、ゲーム事業で『ELDEN RING』の反動減があったことに加え、出版事業も人員増強や設備投資の影響で減益となったことが響いた。

 

[出版事業]
売上高は663億1200万円(前年同期比0.3%増)、セグメント利益(営業利益)は32億5500万円(同43.2%減)となった。

電子書籍・電子雑誌では、メディアミックス作品を中心とした販売が好調に推移し増収となった。

書籍・雑誌では、米国における直近数年間の急激な需要増の反動による書店の発注抑制・返品増が継続したこと等により、海外事業が減収となった。国内では、新刊点数が増加したものの、市場全体の縮小影響が大きかったこと等により減収となった。

新刊では、『山田くんとLv999の恋をする(7)』、『気になってる人が男じゃなかった VOL.1』、『光が死んだ夏(3)』、『パンどろぼうとほっかほっカー』等の販売が売上高に貢献した。また、ライセンス収入は増収となった。

費用面では、中長期的な成長を見据えた人員増強、デジタル製造工場・新物流設備への投資等が増加した。

なお、さらなる返品削減、製造コスト削減、利益率の向上を目指し、文庫やライトノベル、新書、コミック等のデジタル印刷による小ロット・適時製造を行う書籍製造工場と新物流設備の稼働を開始している。今後両設備の稼働率を高めることで、さらなる事業の効率性向上を実現していく。

 

[映像事業]
売上高は220億3200万円(同16.2%増)、セグメント利益(営業利益)は25億400万円(同4046.8%増)となった。

アニメでは、『【推しの子】』や『この素晴らしい世界に爆焔を!』等、人気タイトルの国内外配信向けやゲーム・グッズ向けを中心としたライセンス収入が好調に推移し、力強く成長した。実写映像では、『わたしの幸せな結婚』の劇場収入をはじめ、同作の二次利用収入が売上高に貢献し増収となった。

 

[ゲーム事業]
売上高は136億7000万円(同20.2%減)、セグメント利益(営業利益)は40億2800万円(同46.9%減)となった。

8月に発売したフロム・ソフトウェアの新作『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』の国内の販売が好調に推移したことに加え、6月に発売したスパイク・チュンソフトの新作『超探偵事件簿 レインコード』も売上高に貢献したものの、前期の『ELDEN RING』の業績貢献が大きかった前年同期には及ばなかった。

 

[Webサービス事業]
売上高は110億円(同4.7%減)、セグメント利益(営業利益)は6億4800万円(同31.1%減)となった。

動画コミュニティサービスでは、動画配信サービス「ニコニコ」の月額有料会員(プレミアム会員)が9月末には128万人となり、前年9月末から減少となったことに加え、投資効果に鑑み一部広告関連サービスを縮小させたことで減収となった。利益面では、この減収影響に加え、「アニメ」、「ゲーム」等の注力ジャンルへのコンテンツ制作費や、ユーザー体験向上とコスト削減に向けたITインフラへの投資により、減益となった。

 

[教育・EdTech事業]
売上高は67億200万円(同7.0%増)、セグメント利益(営業利益)は11億6700万円(同11.4%減)となった。

クリエイティブ分野の人材育成スクールを運営するバンタンでは、ゲームクリエイターを多く輩出する「バンタンゲームアカデミー」など、グループシナジーが見込めるコースの展開地域拡大を中心とした生徒数増加により、増収となった。また、インターネットによる通信制高校であるN高等学校・S高等学校等に教育コンテンツ・システムの提供を行うドワンゴは、同校の通学コース向け新キャンパス開設等による生徒数増加を受け、引き続き好調に推移した。

 

[その他事業]
売上高は93億9300万円(同24.2%増)、セグメント損失(営業損失)は19億2500万円(前年同期 営業損失17億8800万円)となった。

IP体験施設運営事業では増収となったことに加え、一部事業撤退の効果により営業利益も改善した。MD事業では、フィギュアの売上拡大やオンラインくじでのグッズ販売が好調に推移し、成長をけん引した。また、その他新規事業では一部サービスの拡大により増収となった。

 

■2024年3月期の業績見通し

2024年3月期の業績は、売上高2511億5000万円(前期比1.7%減)、営業利益178億円(同31.4%減)、経常利益182億円(同31.8%減)、最終利益109億円(同14.0%減)、EPS78.05円を見込む。

・売上高:2511億5000万円(同1.7%減)
・営業利益:178億円(同31.4%減)
・経常利益:182億円(同31.8%減)
・最終利益:109億円(同14.0%減)
・EPS:78.05円

計画に対する進捗率は、売上高49.5%、営業利益48.3%、経常利益51.6%、最終利益37.8%となっている。

・売上高:49.5%
・営業利益:48.3%
・経常利益:51.6%
・最終利益:37.8%

株式会社KADOKAWA
http://www.kadokawa.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社KADOKAWA
設立
1954年4月
代表者
代表執行役社長CEO 夏野 剛/代表執行役CHRO兼CLMO 山下 直久
決算期
3月
直近業績
売上高2554億2900万円、営業利益259億3100万円、経常利益266億6900万円、最終利益126億7900万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9468
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