enish、23年12月期決算は営業損失12億円と前の期3億円から赤字幅拡大…『つなキャン』想定大きく下回る、事前に支出した広告費も影響

enish<3667>は、2月9日、2023年12月期(23年1月~23年12月)の決算を発表し、売上高35億0800万円(前の期比14.8%減)、営業損失12億0600万円(前の期は3億3500万円の損失計上)、経常損失12億6500万円(同3億7500万円の損失計上)、最終損失13億7400万円(同4億1500万円の損失計上)だった。

・売上高:35億0800万円(同14.8%減)
・営業損失:12億0600万円(同3億3500万円の損失計上)
・経常損失:12億6500万円(同3億7500万円の損失計上)
・最終損失:13億7400万円(同4億1500万円の損失計上)

同社では、『ゆるキャン△ つなげるみんなのオールインワン!!(つなキャン)』の売上低下が想定を上回ったことに加え、事前に支出した広告宣伝費も響いた。収益構造の最適化の観点で人員削減を実施を行ったものの、「De:Lithe Last Memories」「ドラえもん のび太のゴーゴーライド!」の開発コストが先行して発生した。

 

■事業概況

2023年6月15日にアニメ『ゆるキャン△』初となるオンラインゲーム『ゆるキャン△ つなげるみんなのオールインワン!!(つなキャン)』をリリースしたが、ゲームシステムの修正や動作パフォーマンスの不具合などの改善点を修正しきれずに、売上想定を大きく下回る結果となった。事前に広告宣伝費用も使用していたため、当期の業績に大きな影響を与えた。

既存タイトルについては、運営施策の工夫により売上の逓減を最小限に抑え、リリース1周年を迎えた『進撃の巨人 Brave Order』は、2023年11月にアニメ『進撃の巨人 The Final Season完結編(後編)』の放送・配信に伴い、新規ユーザーの流入や呼び戻し施策等により、売上高が好調であり引き続き同社の業績に貢献している。今後もゲーム内のさらなる活性化を図るため、出演人気声優を起用した公式放送を行い、番組とゲームで連動した企画の実施や機能改善など、引き続き魅力的なイベント施策を行い、収益寄与につなげていく。

リリース3年目を迎えたアニメ『五等分の花嫁』初のスマートフォンゲーム『五等分の花嫁 五つ子ちゃんはパズルを五等分できない。』は、累計800万ダウンロードを突破し、同社の業績に貢献している。イベント施策や書き下ろしイラストの充実など、引き続き魅力的な施策を行い収益寄与につなげていく。

リリース13年目を迎えた『ぼくのレストラン2』や『ガルショ☆』は、コラボレーション施策等が好調に推移し、引き続き同社の売上収益に大きく貢献している。よりきめ細やかな対応を図り、ユーザーの満足度向上に努めていく。

また、足元の状況としては、『De:Lithe~忘却の真王と盟約の天使~』をベースとした、モバイルゲームクオリティのブロックチェーンゲーム『De:Lithe Last Memories』を開発中。クリプトファンにもモバイルゲームプレイヤーにも満足できるものを提供してまいりたいと考えている。今後も開発の進捗状況等については、積極的にプレスリリース等でお伝えしていく予定。

さらに、同社は、全世界でサービス提供中のゲームプラットフォーム『Roblox』に向けた『ドラえもん』のアクションレースゲーム『ドラえもん のび太のゴーゴーライド!』を開発中であることを発表した。なお『Roblox』へのゲーム配信は、パブリッシングをGeekOutが、開発・運営をenishが行う、2社の協業体制で実施していく。

その他、同社は、収益構造の最適化の観点でリストラクチャリングを実行しており、人員の適正化に伴う特別退職金億2500万円の計上、同社の非連結子会社である中国子会社(Enish China Limited.)の縮小に伴う関係会社整理損1300万円、その他、新規タイトルの開発の一部縮小に伴う事業整理損6600万円の特別損失を計上している。

なお、同社はHashPaletteより不当利益返還請求として1億7600万円の訴訟が提起させているが、今後、先方の主張及び請求内容を精査し適切に対処していく。今後の進捗に伴い、開示すべき事項が判明した場合には、すみやかに発表した。

既存タイトルの効果的運営を推進するとともに、ブロックチェーンゲーム開発に人材を投入している。引き続き、有力案件を確保し、ブロックチェーンゲームを含め年1~2本ペースでの新規タイトルリリースを行うことにより利益を積み上げ、企業価値向上を図りたい、としている。

 

■2024年12月期の業績見通し

2024年12月期の業績見通しは非開示。その理由について、同社では、現時点で合理的な業績予想の算定ができないため、と説明している。

株式会社enish
http://www.enish.jp/

会社情報

会社名
株式会社enish
設立
2009年2月
代表者
代表取締役社長 安徳 孝平
決算期
12月
直近業績
売上高35億800万円、営業損益12億600万円の赤字、経常損益12億6500万円の赤字、最終損益13億7400万円の赤字(2023年12月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
3667
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