東京都競馬、23年12月期決算は営業益6%減の133億円…馬券売上過去最高もSPAT4第5次システム関連費用や東京サマーランドの耐震工事で

東京都競馬<9672>は、2月14日、2023年12月期(23年1月~23年12月)の連結決算を発表し、売上高374億5500万円(前の期比5.9%増)、営業利益133億6200万円(同5.7%減)、経常利益133億8300万円(同5.6%減)、最終利益84億5200万円(同9.9%減)だった。

・売上高:374億5500万円(同5.9%増)
・営業利益:133億6200万円(同5.7%減)
・経常利益:133億8300万円(同5.6%減)
・最終利益:84億5200万円(同9.9%減)

南関東4競馬場在宅投票システム(SPAT4)を中心とした公営競技事業が順調に推移したほか、人流回復に伴う同社所有施設への入場者数の増加により前年度を上回る売上を確保したが、SPAT4第5次システムの稼動に伴う運用費や減価償却費の増加等、また東京サマーランドにおける耐震工事関連費用に伴う特別損失の計上により、前年比で増収減益となった。

セグメントごとの経営成績は次のとおり。

 

■公営競技事業

大井競馬では、台風接近による開催取り止めが1日あり、開催日数は97日となった。なお、12月5日に発生した電気系統トラブルによる開催取り止めについては、代替開催が12月9日に無観客で行われた。

大井競馬場では、新型コロナウイルス感染症対策として実施していた入場制限は3月27日の開催より解除となり、再び多くのユーザーに楽しめるようになった。施設の整備面においては、厩舎地区内ウレタン舗装工事や馬場の排水機能強化工事を進めたほか、9月からはユーザーエリア(スタンド前)の改修工事に着手した。さらに10月には、より安全な馬場でのレース開催等を目指すため、オーストラリア産の馬場砂へ入れ替えを実施した。

SPAT4では、全国の地方競馬を1万5395レース発売した。SPAT4のポイントサービスである「SPAT4プレミアムポイント」では、各種キャンペーンの継続実施、会員内のメンバーシップ「南関競馬サロン」でメンバー限定のサービスやイベントを展開したほか、制限解除に伴い会員向けツアーを再開するなど、会員数の定着と満足度の向上を図る施策を実施した。

また、4月17日には地方競馬の各種情報や投票サービスへより簡単にアクセスできるツールとして「SPAT4アプリ」をリリースし、SPAT4の利用促進に努めた。

これらSPAT4等による地方競馬全体の暦年でみた勝馬投票券売上は1兆734億円となり、従来の記録だった2022年の売上1兆651億円を上回る売上レコードを更新した。

このほか、大井競馬場では6季目となる冬季限定イルミネーションイベント「東京メガイルミ2023-2024」の営業を11月11日から1月8日までの42日間行った。昨季好評だった人気コンテンツとのコラボレーション企画をバージョンアップして展開したほか、「噴水×誘導馬ショー」や「ミニチュアホース&ポニーとのふれあい体験」など競馬場ならではのイベントを拡充し、各種メディアにも多く取り上げられ、イルミネーションスポットとしての大井競馬場のブランディングや知名度向上にも大きく繋がった。

伊勢崎オートレースでは、オートレースの本場開催が117日、他場の場外発売は延べ284日実施した。走路改修工事の実施により前期に比べ開催日数は減少したが、勝車投票券売上は引き続き好調に推移した。また、8月には現役オートレーサーをゲストに招いた競馬予想イベントを実施し、ファンの満足度向上に努めた。

以上の結果、公営競技事業の売上高は274億4200万円(前期比5.1%増)、セグメント利益は108億3800万円(同9.7%減)となった。

 

■遊園地事業

東京サマーランドでは、夏季期間に新たな試みとして実施した人気スマホゲームとのコラボレーション企画をはじめ、各種イベントが人気を博すとともに、新型コロナウイルス感染症に関する規制解除に加えて、記録的猛暑も影響し入場者数が増加した。夏季期間以外においては、駐車場を活用したフリーマーケットを継続的に実施したほか、近隣小学校の社会科見学を受け入れる等、地域貢献にも積極的に取り組んだ。

また、アウトドア複合施設「Wonderful Nature Village(わんダフルネイチャーヴィレッジ)」では、愛犬とともにショッピングが楽しめるイベント「ワンイチ(ワンダフル市場)」を新たに実施し、認知率の向上と集客に努めた。

なお、夏にオープンを予定している冒険体験型プール「MONSTER STREAM(モンスターストリーム)」については、現在順調に工事が進んでいる。

以上の結果、東京サマーランド及び各施設の入場人員は、同16.8%増となる87万人となり、遊園地事業の売上高は32億0200万円(同19.9%増)、セグメント利益は4億6300万円(同289.7%増)となった。

 

■倉庫賃貸事業

倉庫賃貸事業では、一棟貸し倉庫のほか、勝島第2地区のマルチテナント型倉庫の稼働が順調に推移した。また、千葉県習志野市茜浜地区に建設中の新倉庫についても、予定どおり工事が進捗し3月に竣工の見込みとなっている。

このほか、勝島第2地区一般棟倉庫において外壁塗装替工事を実施する等、既存倉庫の整備に努めるとともに、環境に対する負荷の低減策にも取り組み、9月には勝島第1地区に続いて勝島第2地区においてもCO2排出量がゼロとなるグリーン電力(再生可能エネルギー由来の電力)を導入した。

以上の結果、倉庫賃貸事業の売上高は52億3300万円(同2.7%増)、セグメント利益は32億9300万円(同12.2%増)となった。

 

■サービス事業

オフィスビル「ウィラ大森ビル」や空調設備事業において安定的な収益確保に努めたほか、大井競馬場前ショッピングモール「ウィラ大井」では、季節に合わせたイベントを多数実施し、ユーザーの満足度向上や周辺地域との連携強化に努めた。

大井競馬場第3駐車場を活用した開発計画については、新たに誕生予定のミュージカル劇場の名称が「シアターH」に決定したほか、商業施設のテナントも決定し、春のオープンに向けて、現在順調に工事を進めている。

以上の結果、サービス事業の売上高は22億3500万円(同2.1%減)、セグメント利益は「ウィラ大井」の事業譲渡(会社分割)による諸費用が発生したことから2億3600万円(同40.4%減)となった。

 

■2024年12月期の業績見通し

2024年12月期の業績は、売上高400億4700万円(同6.7%増)、営業利益123億4900万円(同7.6%減)、経常利益123億4100万円(同7.8%減)、最終利益86億7400万円(同2.6%増)、EPS316.46円を見込む。

・売上高:400億4700万円(同6.7%増)
・営業利益:123億4900万円(同7.6%減)
・経常利益:123億4100万円(同7.8%減)
・最終利益:86億7400万円(同2.6%増)
・EPS:316.46円