東映、2024年3月期決算は営業利益19.3%減の293億円…大ヒット映画が続いた前年の反動減と『聖闘士星矢The Beginning』の棚卸資産評価損で

 東映<9605>は、5月15日、2024年3月期(23年4月~24年3月)の連結決算を発表し、売上高1713億4500万円(前の期比1.7%減)、営業利益293億4200万円(同19.3%減)、経常利益353億1700万円(同12.1%減)、最終利益139億7100万円(同7.0%減)だった。

・売上高:1713億4500万円(同1.7%減)
・営業利益:293億4200万円(同19.3%減)
・経常利益:353億1700万円(同12.1%減)
・最終利益:139億7100万円(同7.0%減)

催事や不動産、ホテル業、建築内装は総じて良好だったもの、映像関連事業で映画の大ヒットが続出した前年の反動源と「聖闘士星矢 The Beginning」の棚卸資産評価損を計上したことが利益を押し下げた、としている。

  

■映像関連事業

売上高は1259億8000万円(前の期比6.8%減)、営業利益は263億3300万円(同25.1%減)となった。

映画事業は、提携製作作品等40本を配給し、このうち、「劇場版アイドリッシュセブン LIVE4bit BEYOND THE PERiOD」「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」「翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~」が大ヒットし、「Gメン」「映画プリキュアオールスターズF」等がヒットした。

また、前の期における公開作品のうち、「THE FIRST SLAM DUNK」(12月3日公開)が引き続き好稼働した。一方、第1四半期に公開した「聖闘士星矢 The Beginning」の棚卸資産評価損を計上したこと等が利益を押し下げる要因となった。

ドラマ事業は、テレビ映画に関して各放送局間の激しい視聴率競争により番組編成の多様化が進むなか、受注市場は厳しい状況にあったが、作品内容の充実と受注本数の確保に努め、当事業年度は60分作品「相棒」「科捜研の女」など49本、30分作品「仮面ライダーギーツ」「ひろがるスカイ!プリキュア」など295本、ワイド・スペシャル作品「松本清張ドラマプレミアム『顔』・『ガラスの城』」など19本の計363本を製作してシェアを維持し、また、「王様戦隊キングオージャー」「仮面ライダーギーツ」「仮面ライダーガッチャード」などキャラクターの商品化権営業も堅調だった。

コンテンツ事業は、劇場用映画等の地上波・BS・CS放映権及びビデオ化権の販売に加え、配信サービスに映像ソフトの供給を行い、その結果、旧作テレビ時代劇やテレビ映画「相棒」シリーズ等の放映権販売、Amazonプライム・ビデオをはじめとした配信事業者向けの配信権販売が好調だった。また、「東映特撮ファンクラブ」における会員数の増加が売上に寄与した。

ビデオソフト販売においては、同社子会社・東映ビデオとの連携を密にして、DVD・ブルーレイディスクあわせて251作品を発売し、「THE FIRST SLAM DUNK」「ONE PIECEFILM RED」等のDVD、ブルーレイディスク販売が好調だった。

アニメ関連では、「THE FIRST SLAM DUNK」の海外上映権販売や「ワンピース」の海外配信権販売に加え、国内外における「ワンピース」の商品化権販売等が好調に稼働した。

そのほか、国際営業は、劇場用映画・テレビ映画等の海外販売、「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」などテレビ映画の海外向け商品化権販売とともに、「ボヘミアン・ラプソディ」「レヴェナント:蘇えりし者」など外国映画のテレビ放映権の輸入販売を行い、順調に推移した。

教育映像業は、教育映像の製作配給等を行い、教育映像祭において「バースデイ」が最優秀作品賞を受賞した。撮影所事業は、劇場用映画・テレビ映画等の受注製作、部分請負等を行った。

 

■興行関連事業

売上高は201億7400万円(同9.3%増)、営業利益は19億700万円(同112.0%増)となった。

直営劇場において上映作品のうち「THE FIRST SLAM DUNK」「劇場版アイドリッシュセブンLIVE4bit BEYOND THE PERiOD」等が好調に稼働し、前期末において220スクリーン体制(東映直営館2スクリーン含む)で展開している。

 

■催事関連事業

売上高は100億8500万円(同0.7%増)、営業利益は14億2200万円(同11.4%増)となった。

「北斗の拳40周年大原画展 ~愛をとりもどせ!!~」「暴太郎戦隊ドンブラザーズファイナルライブツアー2023」をはじめ、様々なジャンルの展示型イベント、ライブイベントや舞台演劇、人気キャラクターショーなど各種イベントの提供を行った。また、映画関連商品の販売やオンラインサイトによるイベント商品の通信販売、仮面ライダーストア等でキャラクターグッズの販売を行うなど積極的な営業活動を展開した。東映太秦映画村は堅調に推移した。

 

■観光不動産事業

売上高は64億9400万円(同8.8%増)、営業利益は25億6900万円(同18.5%増)となった。

不動産賃貸業は、物価の上昇傾向にもかかわらず、賃料水準が上昇線を描く状況には至らず、特に地方圏では全体的に厳しい状況が続いた。前期は、引き続き「渋谷東映プラザ」「オズ スタジオ シティ」「新宿三丁目イーストビル」等の賃貸施設が稼働した。

ホテル業においては、新型コロナウイルス感染症による行動制限の撤廃により国内の旅行需要が急回復し、また、円安効果で訪日外国人観光客数も増加する一方、引き続き物価高の影響を受けている。このような状況のなか、価格改定やコスト管理の徹底に努めるなど営業努力を重ねた。

 

■建築内装事業

売上高は86億1000万円(同81.4%増)、営業利益は3億9700万円(同723.9%増)となった。

民間設備投資の持ち直しの動きが見られたが、建設コストに関しては、建設資材・エネルギー価格の高止まりや労務費の上昇等による影響があり、厳しい経営環境が続いた。このような状況であるが、従来の顧客の確保および受注拡大を目指して積極的な営業活動を行い、シネコン関係の工事等を手掛けた。

 

■2025年3月期の業績見通し

2025年3月期の業績は、売上高1560億円(前期比9.0%減)、営業利益244億円(同16.8%減)、経常利益277億円(同21.6%減)、最終利益108億円(同22.7%減)、EPS174.45円を見込む。

・売上高:1560億円(同9.0%減)
・営業利益:244億円(同16.8%減)
・経常利益:277億円(同21.6%減)
・最終利益:108億円(同22.7%減)
・EPS:174.45円

※こちらは数字のみの記事となります。詳細は追ってお伝えします。

東映株式会社
https://www.toei.co.jp/

会社情報

会社名
東映株式会社
設立
1949年10月
代表者
代表取締役会長 多田 憲之/代表取締役社長 吉村 文雄
決算期
3月
上場区分
東証プライム
証券コード
9605
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