「ワンピース」市場に陰り?バンダイナムコと東映アニメの決算資料から人気IPの動向を探る

バンダイナムコホールディングス<7832>と東映アニメーション<4816>の決算では、コンテンツ/IP(知的財産)タイトルごとの関連売上が開示された。各IPの動向についてまとめておきたい。決算説明会での両社の説明から、「ONE PIECE」(ワンピース)関連売上の伸び悩みが見えてくる。IPを活用したソーシャルゲームに絡む売上なども含まれているため、参考になる点も多いかと思う。
 

■「ワンピース」に慎重姿勢…

バンナムの関連売上は2割減見通し、東映アニメも「商品販売が漸減」「ソシャゲ軟調」


両社の決算説明会を聞いていると、ワンピースに対する見通しが慎重なものになっていることに気づく。バンダイナムコのワンピース関連売上高は2013年3月期の339億円をピークに、14年3月期は21%減の268億円に落ち込み、15年3月期はさらに18%減の219億円に減少する見込みだ。

東映アニメのワンピース版権売上も同様に、2014年3月期は22%減の45億円に減少。同社は、5月14日に開催した決算説明会で「ワンピースの商品化・商品販売は12年3月期をピークに漸減傾向が続いている」と説明、15年3月期もワンピースのソーシャルゲームの軟調な展開を予想しているという。
 

 
以下、東映アニメの決算説明会資料で指摘されている、業績を予測する上での「大きなトレンド」だ。ワンピースの商品化・商品販売は、2013年3月期(12年12月)に劇場版の「ワンピース フィルムZ」を公開したにも関わらず漸減傾向。直近の業績拡大に寄与したソーシャルゲーム(聖闘士星矢とワンピース)も14年3月期は軟調だった。
 

 
バンダイナムコはドリコム<3793>と共同で、5月12日にスマートフォン向けゲームアプリ『ONE PIECE トレジャークルーズ』をリリースした(関連記事)。5月14日朝方のApp Storeゲーム売上ランキングでトップ30に上昇したが、「依然ならもっと早くトップ30に登場していた」という声もある。
 

■バンナムは「ガンダム」「仮面ライダー」の伸び悩み、「ドラゴンボール」の成長を見込む

 
以下、バンダイナムコホールディングスの決算資料から、IPごとの関連売上推移を抜粋し、グラフ化した(いずれも単位は億円、15年3月期は会社予想)。稼ぎ頭の「ガンダム」の売上高は800億円を上回る規模に成長したが、15年3月期は減少を見込む。
 

 
200億~300億円規模のIPを見ると、ワンピースのほか「仮面ライダー」も減少が続く見通し。一方、スーパー戦隊については微増を見込む。

 
200億円以下のIPをみると、「アイカツ!」「妖怪ウォッチ」の急成長が目立つ。「アイカツ!」はグループ全体の関連売上が159億円に膨らみ、「プリキュア」「ドラゴンボール」「アンパンマン」を抜き去った。さすがに「アイカツ!」は反動減を見込んでいるが、成長期待の高いIPだ。
 



とはいえ「プリキュア」と「アンパンマン」は、毎年100億円前後を稼ぎだす安定感に目を見張るものがある。「ドラゴンボール」の関連売上については、8%増の123億円と成長を見込んでいる。
 
株式会社バンダイナムコホールディングス
http://www.bandainamco.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社バンダイナムコホールディングス
設立
2005年9月
代表者
代表取締役社長 川口 勝
決算期
3月
直近業績
売上高9900億8900万円、営業利益1164億7200万円、経常利益1280億0600万円、最終利益903億4500万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
7832
企業データを見る
東映アニメーション株式会社
http://corp.toei-anim.co.jp/

会社情報

会社名
東映アニメーション株式会社
設立
1948年1月
代表者
代表取締役会長 森下 孝三/代表取締役社長 高木 勝裕
決算期
3月
直近業績
売上高874億5700万円、営業利益286億6900万円、経常利益297億9100万円、最終利益209億円(2023年3月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
4816
企業データを見る