【直撃取材】同一ジャンルでの相互送客を推し進めるマイネット社の戦略責任者インタビュー

2014年5月16日の日経新聞に『スマホゲーム中小20社、広告で利用者相互誘導』という記事が配信されたことは記憶に新しい。この記事はマイネット社が旗振り役として、KLab社・アカツキ社などおよそ20社をネットワークし、相互送客を実施しており、その一環で行われた勉強会に参加した日経記者が記事化にしたものだ。

実はソーシャルゲームインフォ編集部もこの勉強会に参加し取材をしてきた。日経記事とは異なる、実際の内容を読者の皆様にお伝えしよう。


【「広告費が回収できない」という事実・・・】
マイネット社は従来、広告出稿を積極的に展開していたが、参入プレイヤーが増えることで広告出稿の効果が悪化傾向にあったという。同社は広告出稿の基準を、「広告費用回収基準=ネット(PF手数料の除いた)売上3ヵ月」としていたが、この条件に照らし合わせるとほとんどの広告媒体への出稿ができなくなってしまった過去があった。その結果起こったことは、"広告出稿先の激減=新規流入数の激減=タイトルの売上減少"という悪循環だった。

 
株式会社マイネット 嶺井 政人氏(執行役員CFO・戦略室長)



【元金融マンによるコロンブスの卵の発想】
それを打開するために、考えた戦略が『同一ジャンルによる相互送客展開』だった。この戦略の責任者であり、元モルガンスタンレーのマイネット嶺井政人氏によると、「同じユーザ属性を持つゲームが連合を組んで相互送客を行う仕組みを作ることで、弊社は広告出稿先を増やそうと考えました」(嶺井氏)

これはいったいどういう意味なのか?耳を疑った。"有償の広告出稿先がなくなったから、コストをかけずに集客できる方法を考えた。それが相互送客だ"という趣旨ならわかるのだが・・・。

嶺井氏は続ける。「弊社から送客をすることによって、当然弊社にも新規ユーザが送客されてきます。 ユーザが送客されてくると、そのユーザももちろん一定の率で課金ユーザに転換します。 弊社は、広告経由で1ユーザを獲得した場合、

A. まずユーザの3か月課金額
B. そのユーザを他ゲームへ送客することにより得られる、他ゲームから送客されてくる新規ユーザの3か月課金額

このA+BのLTVを合算することで、弊社が送客を行うことで発生する機会損失だけに目を向けるのではなく、トータルで考えると、広告費用の回収は3か月以内にできるのではないか。という仮説を作りました。一部の会社様のご協力とセガネットワークス社の協力とを得てまず自社で実施してみたところ、想定以上の結果が得られました。広告の出稿先拡大という当初目的だけでなく、マイネットとして相互送客だけで年間1.5億円の広告費削減効果が見込めています。」(同氏)
 

相互送客により得られる新規ユーザからの課金
 
 
1ユーザ単体収益+送客経由で得た新規ユーザにより得られる収益の合算で広告の回収を判定



金融畑出身の同氏に言わせると、"広告出稿による期待収益には、波及した収益を含めるのは当然。計測して運用することが重要"ということだろう。期待収益を高めるには自社のタイトル属性とフィットしたユーザを相互送客するという仕組みは、同ジャンルのゲーム会社にとって理に適っているといえよう。

「業界全体で戦いが激しくなっているが、マイネットは独自のやり方で業界を盛り上げられる取り組みをどんどん進めていきたい。」(同氏)

"相互送客"という言葉そのものはネイティブゲーム業界で出てきてだいぶ立ってはいたが有効性や効果は不透明で着手できないという会社が多かったように思う。総じてまとめると、"広告出稿の幅・獲得数の拡大を実現する"という目的での相互送客は、集客の面で有効な手段と捉えても良いのかもしれない。




■執筆者紹介
小原 聖誉

国内初のネイティブゲームに特化した集客スタジオ、株式会社AppBroadCast代表。2001年からモバイルゲーム業界に携わり、現在はネイティブゲームをパブリッシングする企業の集客支援ビジネスを手掛けている。
AppBroadCastコーポレートWEB:http://appbroadcast.jp
Facebookアカウント:https://www.facebook.com/masashige.obara
※取材のご依頼ありましたらお気軽にお問い合わせください。
株式会社マイネット
http://mynet.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社マイネット
設立
2006年7月
代表者
代表取締役社長CEO 岩城 農
決算期
12月
直近業績
売上高87億1700万円、営業利益1億6800万円、経常利益1億2500万円、最終利益1億4300万円(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3928
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