マーベラスAQLをSAPとして分析する…mobage向けの売上高が大幅増、「美少女ゲーム」の底力

マーベラスAQL<7844>は6月24日、2014年3月期(2013年度)の有価証券報告書(有報)を発表した。中身をみると、意外な数字が表れる。それは、成長を続けるMobageのSAP(ソーシャルアプリケーションプロバイダー)としての側面だ。

同社の有報には、主要顧客向けの売上高として、ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>相手の売上高が掲載されている。これはほぼ、Mobage向けのブラウザゲームの売上高と考えてもよい。この数字が、2014年3月期は35.43億円と、2013年3月期の20.27億円から7割も増えている。

決算内容を追っている業界関係者であればご存じのことだろうが、DeNAの同期間の決算をみると、売上高(売上収益)は10%減の1813億円に落ち込んだ。DeNAが開示した以下のグラフを見ると、自社ゲームのコイン消費の落ち込みが主因だが、マーベラスAQLのような外部SAP(サードパーティ)のコイン消費も減少基調だ。
 

Mobageの有力SAPの決算を眺めても、総じて2013年度は苦戦の年と言ってよいだろう。もちろんクルーズ<2138>のように13年度に急成長(ゲーム事業の売上高は1.5倍)した企業もあるが、Cygamesを含むサイバーエージェント<4751>のゲーム(旧SAP)事業は、ネイティブゲームの売上を引いたブラウザ売上を13年度(3月末までの1年間)で集計すると、前の年度から2割程度減少。もうひとつの有力SAPであるgloopsの2013年12月期の売上高は、12年6月期と比べて減っている(関連記事)。

こうした全体の基調に逆行し、マーベラスAQLの売上高は成長している。同社が提供しているMobageのラインナップは、『ハイスクールD×D』、『閃乱カグラ NewWave Gバースト』、『一騎当千バーストファイト』、『ブラウザ三国志モバイル』、『牧場物語 for モバゲー』の5本だ。

稼ぎ頭はおそらく、2013年9月にリリースされた『ハイスクールD×D』だろう。Mobageの男性ランキングでは20位台でよく見かけるタイトルで、根強いファンのいる「美少女ゲーム」というジャンルの底力といったところか。

この状況を踏まえてかどうかは知らないが、DeNAは美少女ゲーム特設サイト「美少女Mobage」(関連リンク公式ツイッター)を作り、昨年末にはブース名「美少女Mobage」として東京国際展示場で開催された「コミックマーケット85」に初出展するなど、「美少女ゲーム」というジャンルを売り込もうとする動きもある。最近は、18禁タイトルとして『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』をリリースした(関連記事)ことも話題となった。

マーベラスAQLのモバイルゲームといえば、最近ではAimingと共同で提供しているスマートフォン向けMMORPGアプリ『剣と魔法のログレス いにしえの女神』の成長が目立つ。だが、少し視線をずらすと、市場全体が伸び悩むモバイルブラウザゲームにおいても成長を続ける「武器」を持った企業という姿が見えてくる。
株式会社マーベラス
https://www.marv.jp/

会社情報

会社名
株式会社マーベラス
設立
1997年6月
代表者
代表取締役社長 執行役員 兼 デジタルコンテンツ事業本部長 佐藤 澄宣
決算期
3月
直近業績
売上高253億4100万円、営業利益24億8800万円、経常利益29億3100万円、最終利益19億2500万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
7844
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