【年始企画】アナリスト・市場関係者に聞く「2014年、15年のソーシャルゲーム市場」② 2014年はスクエニに高い評価 2015年の展望は…

既に今年(2015年)が始まって数日が経ち、年始気分はだいぶ薄れてきたところだが、1月4日付(関連記事)でも紹介させて頂いた年始の特別企画であるアナリストや市場関係者の方々へのアンケートが、年末年始の休み明けで新たなご回答を多数いただいたため、改めて紹介させていただきたい。

前回いただいたご回答とも合わせて、多面的な見方を参考にすることで、今年のソーシャルゲーム関連市場の動向を予測する貴重な判断材料になるのではないかと思っている。
 

①2014年のゲーム(ソーシャルゲーム)市場を振り返った感想は?


【予想通りだった】…市場規模が大きく拡大しているなと感じています。ガンホーの決算を見てもパズドラの売上減少分以上に他社の売上が伸びている点はポジティブにみています。個人的にはランキング上位に入ったタイトルの“しぶとさ”が印象に残っています。主にはバンナムのIPタイトル(「ジョジョ」・「ガンコン」など)ですが、IP物は消費スピードがはやそうと漠然と思っていたのですが案外息が長いなと。

【予想通りだった】…前半は期待以上に盛り上がった感はあった。モンストのようなパズドラに続く大ヒットも誕生し、大手ゲームソフト会社も本格参入した。ただ、後半は失速というか、いい意味でも悪い意味でも一般化したため、成長性に対し不透明な感じにはなってきている印象もある。(株式市場では競争激化ともにそういう見方も増えてきている感がある。)

【予想通りだった】…市場全体に徐々に飽和感が出てきている点は予想通りだった。

【予想より良かった…「パズドラ」一色だった2013年と比べ、多くの企業が想定以上の規模のヒットタイトルに恵まれ、ネイティブゲーム市場は想定以上の拡大を見せた。一方、ブラウザゲームは、年後半に入り想定以上に底堅い推移を見せている印象で、モバイルゲーム市場全体では想定をはるかに上回る規模に達している。

 

②上場ゲーム(ソーシャルゲーム)関連企業で2014年に最も活躍した企業(MVP)を選ぶとしたら?


【ミクシィ】…新規ユーザーを獲得し、ランキングも安定していた。

【ミクシィ】…モンストの大ヒット(の持続)。

【コロプラ…各社が戦略を試行錯誤する中で、一貫した戦略で確実にヒットを創出、極めてヒットドリブンのゲーム業界の中で唯一(コンソールゲーム企業は除く)中期的な成長性に期待できる企業であるため。「白猫プロジェクト」は、事前の期待値を高めた上できちんとヒットにつなげたことの意味は大きかった。

【スクエニ】…ネイティブアプリに本格参入したコンソール向け大手企業の力を見ました。出てくるタイトルのヒット率の高さに加え、他社との協業タイトルの積極的推進などの抜け目なさも目立っていたと思います。

 

③上場ゲーム(ソーシャルゲーム)関連企業で2014年に予想を超えた活躍をした企業や、期待に応えた企業を選ぶとしたら?(複数回答可)


【スクエニ】…2014年はDQMSLの大ヒットで始まり、その後の混乱でダメかと思ったが、スクスト今後のFF関連タイトルなどパイプラインが充実してきている。

【スクエニ】…戦略シフトが順調に進捗しており、長年苦しんでいたコンソールゲーム向け開発リソースのモバイルゲームでの活用が進んだ1年だった。自社でのヒットも少しずつ増加しており、モバイルゲーム市場での更なるプレゼンスの拡大が期待される。

【ミクシィ】…「モンスターストライク」の想定以上のヒット。「パズドラ」に肉薄する売上規模のタイトルが出てくることは全く想定していなかったため。

【ミクシィ】…年度前半のモンストの売上の伸びは想定を大きく超えていたと思います。年度後半は概ね想定通りだったんじゃないかと思いますが、高かった市場予想並となった点は評価したいと思います。

【ミクシィ】…「モンスターストライク」のヒット。ここまで復活するとは予想していなかった。

【LINE…カジュアルゲームカテゴリーで、競合を寄せ付けない確立した地位を築いたため、想定以上に安定した成長を続けている。

 

④上場ゲーム(ソーシャルゲーム)関連企業で2014年に予想を下回った企業や、期待を裏切った企業を選ぶとしたら?(複数回答可)


【コナミ】…「ドラコレRPG」の残念感、出すといったアプリが出てこない、など開発力の弱さが目立ちました。直近リリースされた「パワプロ」も詰めの甘さを感じます。

【DeNA】…大量生産モデルがことごとくはずれ、その後新作タイトルが出てこないフェーズが続き、迷走感が露呈された。

【グリー、DeNA】…あまり期待はしていなかったが大ヒットは無理でも、もう少しネイティブゲームで存在感をだせるかと思っていたが結果がでなかった。

【ガンホー】…「パズドラ」の安定性は評価されるべきだが、次のヒット作がなかなか出てこないため、中期的な業績の安定性や成長性を見込みにくい。また、中国向けもリリースの大幅な遅れにより時期を逸した印象。

【ガンホー】…中国展開や新作投入遅れ。



前回分と同様、2014年については、やはりミクシィの評価が高いが、スクウェア・エニックスHDも複数の高い評価を集めている。『DQMスーパーライト』『スクールガールストライカーズ』『乖離性ミリオンアーサー』とヒットタイトルを量産し、ネイティブアプリでも着実にその自力を発揮してきたことが注目されているようだ。

一方、ガンホーは『パズドラ』の次がなかなか出てこないことが厳しい評価につながっている。

 

⑤2015年のゲーム(ソーシャルゲーム)市場の展望は


【2014年より悪くなる】…国内市場の成長率は鈍化が続く。開発費・広告宣伝費の上昇、プロモーションの費用対効果の悪化などがみられ、収益面では企業間格差が拡大すると考える。

【2014年より良くなる】…市場全体の成長率は間違いなく鈍化すると思いますが、規模拡大は続きピークアウトはまだ先なんじゃないかと考えています。それに関連しますがパズドラもしぶとく上位に残りそうな印象です。スマホはまだ普及しきったわけでもなく今後もユーザーの流入が続く点、開発メーカー側にも新しいジャンルを追求する企業(コロプラなど)やIPタイトルをスマホ用に本格チューニングする企業(スクエニなど)の新作リリースなど、市場を押し上げるドライバーは多いのではないかと。ポイントはランキング上位勢(パズドラ・モンスト・白猫・黒猫・DQMSL)がどこまで伸ばせるか・維持できるかではないかと。個人的には維持できるんじゃないかと思いますが、それらが沈んでくる段階では市場全体が沈んでしまう可能性はリスクとして見ています。

【2014年と同等】…良くなることを期待したい。

【2014年より悪くなる】…ネイティブゲーム市場の成長も鈍化傾向にあると見られ、ジャンルの拡大なしには四半期ベースで成長を継続するのは容易ではないと見る。また、年前半は各社から大量の新作リリースが予想され、競争激化も懸念される。より体力勝負となる可能性があり、中小・新規プレイヤーにとってはより厳しい環境が予想される。優勝劣敗が鮮明になる年となると考える。

 

⑥上場ゲーム(ソーシャルゲーム)関連企業で2015年に活躍・飛躍が期待される企業を選ぶとしたら?(複数回答可)


【スクエ二、コロプラ】…スクエニは全部が当たることはないであろうが、パイプラインが充実し、FFなど当社の有力IPの強さを発揮すると期待。コロプラはスマホならではのゲーム性を飛躍させるゲームを提供することを期待している。2015年の市場が良くなるとすると、コロプラのような会社から目新しいゲーム性や遊び方を提案し受け入れられるかがカギと考えているため、その意味からもコロプラには期待したい。

【任天堂】…2015年初頭に出すスマホアプリを含めてスマホアプリ市場への展開を期待しています。

【コロプラ】…新作投入ペースは加速しており、トラックレコードを前提にすれば安定成長が期待される。また、新たなゲームジャンルの開拓にとても期待している。ネイティブゲーム市場全体の更なる飛躍のためにも、重要な役割を果たすと思われる。

【コロプラ、ガンホー】…開発力と経営手腕に期待ができる。

【DeNA】…ネイティブゲームでようやくヒットに恵まれ、飛躍するには2本目のヒットが必要不可欠だが、開発体制の見直しや試行錯誤の連続によりノウハウは蓄積されている印象。また、ブラウザゲームが安定化しつつあり、巻き返しが期待される。

【コンソールゲーム各社】…市場が成熟化しつつあると思われる中、有力IP系タイトルの競争力は高まると考える。自社開発のみならず他社との協業も含めて、プレゼンスの拡大が期待される。



2015年については、市場全体の成長率は鈍化するというのが、市場のコンセンサスとなりつつあるようだ。その中で競争激化や、企業間格差の拡大というのが概ね読まれるシナリオということになりそうだ。また、2015年に活躍が期待される企業は票が大きく分かれたが、新たなゲームジャンルの開拓を進めるコロプラ(関連記事)が今回の集計分では複数の票を集めている。

以上、前回集計分を締めた12月29日12時以降にいただいたアンケートのご回答を紹介してきた。非常に多くの皆様のご協力をいただき、改めてこの場を借りてご協力へのお礼を申し上げたい。ご協力誠にありがとうございます。

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