【GGG#3】VR/ARアプリの普及で期待される「ハコスコ」の役割


ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>は、7月10日、東京・渋谷にある「渋谷ヒカリエ」でクリエイター向けセミナー「Game Graphics Groove #3」を開催した。今回、スクウェア・エニックス、グリー、ポケラボのゲームグラフィック担当者が登壇した。

スマートフォンゲームアプリ開発では、Unity、Unreal Engine、Cocos2d-xなどのツールが活発に利用されているが、こうしたなか、スマートフォンゲームの画質も大幅に上がってきている。今回のセミナーでは、クリエイティブ面でのゲームの進化をさらに加速させるため、現役のクリエイターが最新ヒットタイトルの開発ノウハウを共有するという。


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今回の記事では、ポケラボのクリエイティブ部部長の鈴木 匠太氏と、アニメーターの矢羽田 和徳氏が登壇し、「ハコスコとUIとご飯」と題して講演を行った。この模様をお伝えしよう。冒頭、鈴木氏は、ゲームクリエイターにVRやAR、ハコスコに興味を持ってことが目的とし、セミナーの内容は、会社ではなく、あくまで個人としての見解であると強調した。
 


次世代ゲームマーケットについて、「Microsoft HoloLens」や「Oculus Rift」、「Project Morpheus」など、ARやVRを利用するものが今後普及していくのでは、との見方を示した。AR・VRの市場規模は、400億円程度だが、2020年には18兆円(1500億ドル)の市場規模になるという予測もあるという。
 




まず、鈴木氏は、任天堂から発売された「バーチャルボーイ」がVRゲーム機の先駆けであり、本人も熱中したと紹介したうえで、これが普及しなかった理由を考察した。氏によれば、普及しなかった理由として、ハードウェアの価格の高さや、コンテンツを作る会社の少なさ、1人でしか遊べないことがあげられるという。
 

さらに、より大きなポイントとして、ヘッドマウントディスプレイのコンテンツの問題もある。ある調査によると、その購入者の99%が男性で、さらに60%が独身だったそうだ。つまり、VRコンテンツの現状について、「少しエロで攻めすぎなのではないか」と心配しているという。
 


そこで、こうした問題を解決するものとして、「ハコスコ」を紹介した。「ハコスコ」とは、ダンボール製のVRビューワーとスマホを使って、手軽にVR体験ができるサービス。段ボールで作られているため、他のハードウェアに比べて安価で提供できるメリットがある。
 

2つ目は、VRコンテンツの利用にあたって、「ハコスコ」にスマートフォンをセットするだけで利用できることがあげられる。「Oculus Rift」なども非常に良いが、電源ケーブルを接続する必要があり、いつでもどこでも楽しめない。このあたりの問題を解決できると述べた。
 

3つ目は、様々な機種に対応している。ゴーグル型ヘッドセット「Gear VR」が非常に優れているが、今後の端末の進化スピードや多様化に対応できるのか、少々危惧しているとのこと。「ハコスコ」は、ダンボールのため大きさの変更がしやすく、対応も用意であるとした。
 

4つめとしてデザインの自由度の高さをあげた。ただし、「ハコスコ」の現状の問題点として、持ち運びに不便であることや、デザインにかわいらしさがなく、女性受けしづらいこと、そして、ヘッドセットを固定するバンドがついていないため、使いづらいことなどをあげた。この辺りを考慮してもらえるとより良くなるのではないかとコメントした。
 

もっとも重要な要素として、VRコンテンツが作りやすくなったこともある。VR/ARコンテンツは、従来、制作するのが難しく面倒だったが、現在ではUnityやUnreal Engineで開発できるようになっている。このため、いままでのスマホアプリ開発の延長線上で作れるようになっているとのこと。
 


VR/ARコンテンツをソーシャルゲームのように普及させるためには、カジュアルなユーザーをいかに取り込むかが重要だとも指摘した。「Oculus Rift」や「Project Morpheus」は「非常にいいハードウェアだが、いずれもコアユーザー向け。カジュアルなユーザー向けのコンテンツが充実しないと、コアやアダルトコンテンツばかりになり、市場が衰退してしまう。環境は整ってきたので優良なコンテンツが揃えば市場としては盛り上がる。ぜひ『ハコスコ』向けコンテンツに興味を持っていただきたい」とまとめた。
 



続いて矢羽田氏が『ハコスコ』向けのコンテンツ制作での注意点を紹介した。360度見渡せることがメインになること、加速度を使って操作すること、音声認識の活動、スマホのカメラを利用した操作などがあり、こういった様々な機能を活用していくことが重要とコメントした。
 



同時に、ポケラボの開発したVRアプリ『進めポケロボくん』と『ポケロボディストリクト』のほか、バーチャルアイドルの撮影が楽しめるVRアプリ『PashaLoVR』を紹介しつつ、通常のスマートフォンアプリとは違う操作方法が必要になってくる。いろいろな人から「良いな」と思ってもらえるような新しい操作性やアクションの入ったアプリやゲームが作れることが大事ではないかと締めくくった。その後、SPAJAMで出展されたアプリの紹介が行われた。

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(編集部 木村英彦)
株式会社ポケラボ
http://pokelabo.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ポケラボ
設立
2007年11月
代表者
代表取締役社長 前田 悠太
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