【TGS2015】今年は笑い声の絶えないユニークな作品が勢揃い! 斬新なゲームが集結した「センス・オブ・ワンダーナイト2015」を取材 

2015年9月17日から9月20日まで千葉県・幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ2015」のCyber Games Asiaイベントステージにて、「センス・オブ・ワンダーナイト2015」プレゼンテーションが行われた。

「センス・オブ・ワンダーナイト 2015」とは、ゲーム開発者にスポットライトを当て、“見た瞬間、コンセプトを聞いた瞬間に、誰もがはっと、自分の世界が何か変わるような感覚”を引き起こすようなゲームのアイデアを発掘する企画。本稿では100件以上のエントリーの中から選ばれた8カ国・地域の10組の斬新なゲームを紹介していこう。

 

■形態変化するコントローラーでモンスターを切り刻む『Reelblade』

 

シンガポールの勝本雄一郎氏がプレゼンテーションを行った『Reelblade: Battle of the High Seas』は、海中にいるモンスターを釣り上げて倒すアクションゲーム。特筆すべきは、そのコントローラー。
 


モデルとなったのは蛇腹剣で、鞭や剣へと形態の変化するコントローラーは、ブルース・リーなどの映画に登場するヌンチャクが2006年にゲームコントローラーとして採用されたことから確信を得たとのこと。最大の魅力はコントローラーを釣り竿のように振ったり、剣のように振ることで視覚的・触覚的にプレイヤーがコンテンツへの没入感を高められると勝本氏は語った。
 


■直感的な操作が唯一無二のアートを生み出す『Gen』



大群を従える面白さをテーマとした『Gen』は、日本の安藤健翔氏がプレゼンテーションを行った。本作はゲーム内のオブジェクトを操作する面白さと、ジェネレーティブアートを組み合わせた一作。
 


ランダム性があり、ゆっくりと絵が完成していく段階にプレイヤーの干渉が行われることで、そのプレイヤーだけのアートが出来上がるという仕組み。大群を従えながらも、何かの目的を付与することで、ゲームとして新鮮な感覚を得られるとのことだ。残念ながらプレゼンテーション時間を大幅に超過してしまい、動いている映像を見ることはできなかった。

 

■様々な視点からゴールに繋がる道を見つけ出せ『Anamorphosis』



台湾のChen Lucien (Yen-Chu)氏は、アナモルフォーシス(ある地点からのみ見られる画を描く表現技法)を利用したパズルゲームをプレゼンテーション。プレイヤーは、ステージに表示された色を頼りに、ある地点を探し出しては特殊なカメラを使用し、次のステージに進んでいく。ステージが次々と新たな姿に変化するなど、センス・オブ・ワンダーを感じた観客が多く会場が大いに盛り上がった。
 



■日頃の鬱憤をはらそう『Party Hard』



毎晩行われるパーティのせいで寝不足の男性が、パーティに参加している人を殺しまくるという過激なゲーム。いかに多くの人を殺せるのか、バレないように動いたりと臨場感溢れるプレイが可能だ。ランダムに生成されるイベントで何度も新鮮な気持ちで遊べるほか、「twitch」にも対応しており、リアルタイムでゲームの配信もできる。ユーザーの意見を取り入れたアップデートを予定していると、ウクライナのAlex Potapenko氏はプレゼンテーションした。
 





■己の力だけで大自然を生き抜く『Walden, a game』



米国のTracy Fullerton氏がプレゼンテーションをした『Walden, a game』は、米国の作家ヘンリー・デイヴィッド・ソローの作品『森の生活』を舞台にした、自給自足の生活が目的のサバイバルゲーム。『森の生活』は文明社会を捨て、どういう生活を送れるのか、というテーマだが、本作でもその世界観を忠実に再現。春夏秋冬を過ごしていく中で得られるインスピレーションや、プレイヤーの選択によって森の見え方が変わってきたりなど、独創的なゲームになっていた。
 




■ゆるい絵柄と動きがクセになる『Plug & Play』



スイスのMario von Rickenbach氏がプレゼンテーションした『Plug & Play』は、タップやスワイプ操作で画面が進んでいくゲーム。具体的な説明などは一切なく、直感的な操作がカギになっている。プラグをコンセントに差し込むと次のアニメーションが始まり、白と黒で描かれた不気味なキャラクターたちがシュールなユーモアを提供していた。
 





■音楽に合わせて自分だけのゲームを創りだそう『Tough Coded: Live』



アルゼンチンのFernando Sarmiento氏は被り物をつけて登場。一言も話さず、文字をタイピングしてプレゼンテーションを行った。シューティングゲームに見える『Tough Coded: Live』は、実はサウンドゲーム。プレイヤーはゲームマスターとなってリアルタイムでステージを生成。DJのように遊べる作品だ。ステージ後半になるとBGMもクライマックスに、大きな盛り上がりを見せた。
 




 

■プレイヤーの発想がゴールのカギ『Mushroom 11』



米国のJulia Keren-Detar氏がプレゼンテーションした『Mushroom 11』は、破壊と成長をテーマとした作品。プレイヤーは、スライムのような生命体を操作しながらゴールを目指して行く。操作次第では、押しつぶして形を変えたり、分解させたり、合体することが可能。障害物を壊す岩を飛ばすために、自身の形を坂のように変えたり、傾く橋をわたるために、自身を2つにわけて進んだりと、ステージに合わせて適切な姿を選ぶプレイヤーの発想が重要となる。
 



■コミュニケーションの苦手な男女に贈る『Kineo & Usuko 杵男と臼子』



日本の綿貫尚吾氏は『Kineo & Usuko 杵男と臼子』をプレゼンテーション。本作は2人プレイのアクションゲームで、操作方法は1つのコントローラーのアナログスティックを1つずつ持ち合い、タイミングを合わせて餅つきをする、というもの。
 

密着しなければコントローラーを持てないので、異性の匂いや息遣い、肌触り、温もりを感じられ、ドキドキできると綿貫氏は語った。SNSやネットワークで人と会うことが多くなった現代。顔と顔を合わせて会話するのを苦手とする人が増えてきた。本作はそんな人でも、お互いの距離を縮められるようなゲームになっている。また、対戦プレイも可能でこちらは3人で遊ぶことができる。実際に三角関係の時にでも遊んで欲しいと、綿貫氏は答え会場の笑いを誘った。
 



■崖を登る対戦型アクションゲーム『Frog Climbers』



『Frog Climbers』はコントローラーのスティックを使って、崖を登る対戦型のアクションゲーム。スウェーデンのSebastian Larsson氏は「先に進んでいるプレイヤーでも簡単には安心できないバランスを目指した」とプレゼンしており、ゲーム内では遅れたプレイヤーを助けるてんとう虫が登場したり、一度落ちたプレイヤーは先に進んでいるプレイヤーのポイントまで復活したり、相手の身体に掴まって引っ張ったりと、プレイヤーの腕に差があっても常に切磋琢磨して遊べると答えた。
 


 

以上が今年の「センス・オブ・ワンダー2015」でプレゼンテーションを行った作品だ。回数を重ねるごとにレベルの上がっていくセンス・オブ・ワンダーナイト。今年の作品もインディーズゲームならではの斬新な発想にあふれていた。昨年との大きな違いはユニークに富んだ作品が多かったことだろう、笑い声のよく聞こえるイベントになった。


■表彰
・Best Experimental Game Award
『Tough Coded: Live』

・Best Technological Game Award
『Reelblade: Battle of the High Seas』

・Best Game Design Award
『Mushroom 11』

・Best Arts Award
『Plug & Play』

・Best Presentation Award
『Tough Coded: Live』

・Audience Award
『Plug & Play』