【IEEE調査】世界のゲーマーのプレイ時間を調査 若年層のプレイ時間が短い傾向 8時間~15時間と最大で2倍の差に


 

世界最大の技術専門家の組織で160カ国、40万人以上のエンジニアや技術専門家の会員を擁する非営利団体IEEEは、6月11日から6月13日の間にFacebookのタイムラインを使って世界のゲーマーを対象に調査を実施した。その調査によると、若い世代のゲーマーは、ゲームをプレイしている時間が短くなっていることが明らかになったという。

レポートによれば、18~24歳の回答者が1回のプレイに費やす時間が最長で5~8時間であったのに対し、25~34歳の回答者は1回のプレイに費やす時間が最長で15時間以上であることが分かった。これは、若い世代のプレイ時間の2倍以上に達する。タイムラインへの参加者が1回のプレイに費やす時間は、平均約8時間だった。

また、回答者の58パーセントが、オンライン・モードよりもキャンペーン・モード(課金をしないと継続的に遊べないコンテンツ)のゲームを好むことも調査で判明した。キャンペーン・モードを1人でゲームする方が、インターネット経由で対戦相手と接続するオンライン・ゲームよりも好まれているという結果も出ている。

▼IEEEフェロー IP Action Partnersのプレジデントを務めるステュ・リポフ氏コメント
「若い世代のゲーマーがゲームに費やす時間が短くなっているのは、彼らを取り巻く社会環境の変化が原因と考えられます。携帯電話、タブレット、ウェアラブルなどのテクノロジーの進歩や、Facebook、Twitterなどのソーシャル・メディアが、若年層や子供たちの関心を奪い合っています。新しい世代にとっての社会的交流方法は、ゲームを通じて友人や他人と対話できるオンラインゲーム・プレイから、その他の社会的コミュニケーション手段へとシフトしたのです。キャンペーン・モードへの関心の高まりを支えているのは、オンラインでの社会的交流がなくても質の高いゲーム体験が得られると考えるプレイヤーなのかもしれません」


■ゲームの次の革命はAR/VRにある?
今回の調査では、ゲームの世界では、ゲームの次の革命がAR/VR(拡張現実/仮想現実)にあると信じられている傾向があるという結果も判明している。「ゲームの次に訪れる大きなイノベーション」について質問したところ、世界の回答者の51%がゲームの将来をAR/VRと回答した。「ゲームに次に訪れる大きなイノベーション」として挙げられた上位3つの回答の残りは、オープン・ソース・ゲーム(21%、ゲームのソース・コードが公開され、ユーザーがゲームのプレイ方法とフォーマットをカスタマイズできる)、セカンド・スクリーン・ゲーム/スマート・グラス(18%)となっている。

▼南カリフォルニア大学クリエイティブ・テクノロジー研究所(ICT) 高度プロトタイプ担当ディレクター IEEEフェロー トッド・リッチモンド(Todd Richmond)氏コメント
「この調査結果は現在のトレンドに沿ったものであり、この傾向は今後も止むことなく続きます。ゲーム開発者は、AR/VRや融合現実をすでに利用し始めています。これらのリアルな体験が次のゲーム世代に最も重要なイノベーションであり、私たちの生活のあらゆる側面にも影響を与えるようになることは疑いの余地がありません。ゲーム業界はアーリーアダプターであり、実際に使えるかどうか、テクノロジーにどれだけの可能性が秘められているかを見極める上で役立ちます。AR/VRのテクノロジーは、2017年には簡単かつ安価に一般家庭に普及するようになるでしょう。それには、ビデオ・ゲームが大きく貢献するはずです」


■8世代におよぶ「ゲームで最重要な開発について」
8世代におよぶゲームで最重要な開発について参加者から得られた主な回答は、次のとおり。

●第2世代のゲーム(1977~1983年)で開発された最も影響力のあるテクノロジーは、ROMカートリッジであると回答者の46%が感じている。

●システムの高速化が進んだ第4世代のゲーム(1987~1994)ではCD-ROMゲーム・コンソールが主流になりましたが、この世代で最も影響力のあるテクノロジーであると回答者が実際に感じたのは16ビット・マイクロプロセッサだった(53%)。

●第6世代のゲーム(1997-2005)で最も影響力のあるテクノロジーとして挙げられたのは、ゲーム・コンソールのCPU/GPU(中央演算装置/グラフィック処理装置)の処理速度の向上だった(31%)。

▼クイニピアック大学でゲーム設計開発アシスタント・プロフェッサー エリーナ・ベルトッツィ(Elena Bertozzi)氏コメント
「ゲームに対する人々の考え方が変化しており、評価と許容度が上昇していると考えています。現在では、ゲームは時間の無駄と見なされなくなっています。8世代におよぶゲームの進歩は、ユーザー体験やゲームの全体的品質を向上しただけでなく、ゲーム・テクノロジーを別の用途にまで拡大することにもなりました。航空宇宙や軍事用のトレーニング、職場での従業員のモチベーション向上などの他の用途によって、ゲームが持つ意味は変化し、業界のコンシューマーを広げることになりました」