【イグニス決算説明会】16年9月期は業績回復へ 『ぼくとドラゴン』好調持続、台湾も好発進 無料ネイティブアプリも仕込みから収穫期入り



イグニス<3689>は、11月16日、東京都内で証券アナリスト・機関投資家向け2015年9月期決算説明会を開催した。11月13日に発表した決算は、売上高24億1900万円(前の期比18.1%増)、営業損益3800万円の赤字(前の期5億6100万円の黒字)、経常損益1億4800万円(同5億4500万円の黒字)、最終損益3億0600万円の赤字(同3億900万円の黒字)だった。
 
第4四半期(7-9月期)の業績は、売上高12億9900万円(前年同期比76.1%増)、営業利益2億7400万円(同29.9%増)、経常利益2億4700万円(同23.0%増)、最終利益1億3600万円(同15.1%増)だった。前四半期との比較でも売上が倍増となり、各利益も黒字に転換した。無料ネイティブアプリが落ち込んだものの、ネイティブソーシャルゲームが大きく伸びた。

 
 
決算説明会に臨んだ銭錕(センコン)社長(写真)は、「『ぼくとドラゴン』が好調で、売上は前年比プラスで終えた。また利益も大きなマイナスを予想していたが、予想よりも小さくできた。ソーシャルゲームがかなり伸び、売上が10億円を超えた一方、無料ネイティブアプリが苦戦した」と振り返った。次の期は、ソーシャルゲームに加え、仕込みの時期だった無料アプリが収穫期入りすることで業績回復を狙う(「」内は銭社長の発言)。今回のレポートでは、第4四半期(7~9月期)の状況を見ていきたい。


【関連記事】
イグニス、『ぼくとドラゴン』の7-9月期売上高はQonQで141%増の11億円に急拡大
イグニス、15年9月期は18%増収ながら赤字計上…無料ネイティブアプリ、全巻無料型ハイブリッドアプリが低迷 ネイティブゲームは売上高4.7倍に


 
■ネイティブソーシャルゲームが前年同期比で10.3倍に

売上高は前年同期比76.1%増の12億9900万円だった。無料ネイティブアプリの売上が70.3%減の1億8300万円と大きく落ち込んだ一方、ネイティブソーシャルゲーム『ぼくとドラゴン』の売上が936.0%増の11億0900万円と大きく伸びた。

 

 
売上の拡大に伴い、営業利益は同29.9%増の2億7400万円と伸びた。『ぼくとドラゴン』の売上の拡大にともない、AppleとGoogleなどプラットフォーム運営者に支払うプラットフォーム手数料が伸びたほか、広告宣伝費が増えたものの、増収効果で吸収した。

 

 
『ぼくとドラゴン』は、ランキングが好調に推移している。ダウンロード数も200万を超えた。ゲーム内で実施するイベントが好評で、安定的に収益を上げることができているという。「まだやれることはたくさんあるので、こちらのタイトルに注力していく」とのこと。

 


会場から『ぼくとドラゴン』のヒット要因について聞かれると、以下の要因をあげた。

(1)同じようなタイプのリアルタイムバトルが多くリリースされたが、絵のテイストで差別化がはかれたこと。ユーザーがアプリをとりあえずダウンロードするきっかけになった。
(2)クエストと呼ばれるレベルを上げるための作業がカジュアルゲームのようなスライムをなぞって倒すものに置き換えたこと。つまり、メインのゲームループの中に新しい体験が入れたことが良かった。、
(3)広告代理店出身者などプロモーションに長けたチームがいること。社長をはじめ広告代理店出身者が多く、費用対効果の高いプロモーションができたこと

をあげた。
 
また、新しい展開として、ソネット台湾と共同で、『ぼくとドラゴン』繁体字版を台湾などでリリースした。リリースから約1週間が経過したが、売上のランキングも好調に推移してきているという。台湾App Storeの売上ランキングをみると、TOP20に入るなど好調な出足となっている。

 


出所:AppAnnie


好調ぶりが目立つネイティブソーシャルゲームだが、これまでと同様、開発ライン数を無理に増やすことはせず、1タイトルずつ開発・運用に注力していく考え。既存タイトルを十分に伸ばした後、「『ぼくとドラゴン』で得たノウハウと経験を活かして新しいタイトルに挑戦したい」とのこと。

 

 
一方、無料ネイティブアプリは売上が大きく落ち込んだ。MAU(月次アクティブユーザー数)も同様だ。「運用型アプリにシフトしているため、減少傾向だ。ただ、これは次の飛躍に必要なもの。この期(2015年9月期)は規模の大きい開発をしてきた。仕込みから今期は収穫の時期に入った。」と業績回復への決意を示した。

 



2016年9月期通期の業績予想は、合理的な業績予想の算定が困難であるとして、売上高35億円(前期比44.7%増)のみを開示し、利益は非開示だった。引き続き『ぼくとドラゴン』が順調に推移する見通し。また、運用型アプリのサービスの仕込みをしており、これから収益化に入るという。無料アプリでは特にコミュニケーションアプリが主軸になっていくとの見方を示した。

 


会場からは売上高35億円とする業績予想に関して、「保守的ではないか」との指摘が出た。これに対し、銭社長は、『ぼくとドラゴン』は長期にわたって利益が出せるタイトルにはなっているが、「コンサバ(保守的)に読んだ数字だ」と回答した。無料ネイティブアプリについても、これからリリースされる新サービスや確実に売上が見込めないサービスなどは業績予想に含んでいないとのことで、上ブレとなる可能性を示唆した。

 
(編集部 木村英彦)
株式会社イグニス
http://1923.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社イグニス
設立
2010年5月
代表者
代表取締役社長 銭 錕(センコン)/代表取締役CTO 鈴木 貴明
決算期
9月
企業データを見る