【カヤック決算説明会】『ぼくらの甲子園!ポケット』軸にスマホゲーム伸長 IPコラボ好調、夏の甲子園の恩恵 Lobiは順調に拡大



カヤック<3904>は、11月16日、東京都内で、証券アナリスト・機関投資家向けの第3四半期累計(1~9月期)決算説明会を開催した。それに先立つ13日に発表した決算は、売上高26億0800万円(前年同期比37.7%増)、営業利益2億4400万円(同197.9%増)、経常利益2億4000万円(同201.9%増)、最終利益1億5300万円(同207.3%増)と大幅な増収増益となった。
 
第3四半期(7~9月期)の数字を見ると、売上高9億9800万円(前四半期比[QonQ]24.4%増)、営業利益3500万円(同67.5%減)、経常利益3500万円(同67.0%減)、最終利益2400万円(同63.8%減)とQonQでは増収・減益となった。主要サービスの売上が伸びたものの、新規ゲームタイトルのリリースに伴い、広告宣伝費を増やしたことが主な要因だった。

 



決算説明会に臨んだ柳澤大輔社長(写真)は、「全体としては順調だった。クライアントワークは少し予想に達しなかったが、ソーシャルゲームは予想を上回った。LobiはDAUが順調に伸びているが、マネタイズが少し遅れた」と振り返った(「」内の発言は断りがない限り、柳澤社長)。第3四半期(7-9月期)の状況を中心に見ていく。


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このレポートでは、第3四半期(7-9月期)の事業の状況を中心に見ていきたい。


 
■クライアントワーク

取扱サービス別に売上を見ていくと、クライアントワークは、売上高がQonQで38.5%増の3億3400万円だった。プレゼンテーションでは、タグチ工業「SUPER GUZZILLA」のVRコンテンツの事例を紹介した。会社のブランディングの一環として行われたもので、これ以降、採用への応募が増えたという。サービス全体として、「計画に少し達していないが、順調に推移している」という。

 


同社では、現在、lot制作室、VR部の設立し、制作物を見て新しい依頼が舞い込んでくる状況にあるという。ベクトル、TOWとの業務提携をしながら、受注を増やしていく計画だ。また、注目を集めたハイブリッド黒板アプリ「Kocri(コクリ)」について、柳澤社長は「本格的に広がるのは予算の関係上、新学期以降になる。」との見方を示した。

 


 
■ソーシャル・ゲーム…『ぼくらの甲子園!ポケット』が好調
 
主力のソーシャルゲームは、売上高が同14.8%増の5億3000万円だった(プラットフォーム手数料を除いた純額)。共闘RPGという他社が行わない仕組みに取り組んでいる。『ぼくらの甲子園!ポケット』は、人気作品「ROOKEIS」とのコラボが成功だったほか、夏の甲子園が盛り上がったこともあり、ゲーム内も盛り上がったという。

 

 
8月にリリースしたサッカーゲーム『ポケットフットボーラー』は、国内で広告宣伝を行ったが、「不具合や足りない部分が出ている」ため、改良作業を行いながら、主要KPIを確認して成長させていく考えだ。年内いっぱいは改善を行うとのこと。香港のみテレビCMを打ったが、他の地域ではまだやっていないそうだ。

 
 

 
■『Lobi』は順調に拡大

Lobiは、売上高が6.0%増の9200万円だった。期初の目標では売上を伸ばす予定だったが、マネタイズが遅れているという。DAU(日次アクティブユーザー数)や公開コミュニティ数、導入アプリ数、公認コミュニティ数はいずれも順調に伸びているそうだ。

 



なお、Lobiに関しては、「マルチプレイ募集」を行う新機能を実装する予定だ。「リリース日は未定だが、年内には出したい」という。条件指定で理想のメンバーとマッチングできるようにするもので、ユーザー数の伸びに繋がるのではないか。導入するゲームとも連携している。

 


 
■費用:新作ゲームリリースに伴い広告宣伝費が拡大

このほか、費用については、人件費は3億0700万円と横ばいだったが、新規ゲームタイトルのリリースに伴い、広告宣伝費が前四半期の2700万円から2億0100万円に大幅に増えた。こちらは前回の決算説明会で言及したものだが、QonQでの減益要因となった。外注費も35.1%増の2億5800万円に増加した。

 
▲ゲーム音楽交響楽団JAGMOは、ファンクラブを開始した。チケットが取りにくい状況となっており、会員になることで取りやすくなるという。Lobi内での交流も活発化しているという。7月に開催したカヤックジョイン後初のコンサートでは、セガゲームス『チェインクロニクル』からの協賛があった。「Lobi」とつながっている会社とのコラボも行う計画。

 
▲e-SPORTSサービス「RANKERS」は、年内にはリリースする予定。賞金付きのゲーム大会が開けるプラットフォーム。スマートフォン向けのコアなゲームからカジュアルゲームまで取り揃える予定で、上位に入ると賞金がもらえる。SDKをゲーム会社に配布し、賞金付きの大会が開けるようにするという。「ある程度、コンテンツが揃った状態でスタートできる」。


 
(編集部 木村英彦)
株式会社カヤック
http://www.kayac.com/

会社情報

会社名
株式会社カヤック
設立
2005年1月
代表者
代表取締役CEO 柳澤 大輔/代表取締役CTO 貝畑 政徳/代表取締役CBO 久場 智喜
決算期
12月
直近業績
売上高174億6700万円、営業利益10億2100万円、経常利益10億3800万円、最終利益5億1100万円(2023年12月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
3904
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