【gumi2Q決算説明会】『ブレフロ』軟調と新作の開発費先行で減収・赤字続く 國光社長「2Q、3Qを底に反転目指す」 



gumi<3903>は、12月11日、東京都内で機関投資家・証券アナリスト向けの第2四半期決算説明会を開催した。

10日に発表した第2四半期累計(2015年5~10月期)の連結は、売上高109億2700万円(前年同期比21.9%減)、営業損益15億円の赤字(前年同期11億6200万円の黒字)、経常損益15億6100万円の赤字(同10億6600万円の黒字)、最終損益17億6500万円の赤字(同4億5800万円の黒字)と減収・赤字転落となった。

第2四半期(8~10月期)をみると、売上高50億5600万円(前四半期比13.9%減)、営業損益9億6800万円の赤字(前四半期5億3200万円の赤字)、経常損益10億6500万円の赤字(同4億9500万円の赤字)、最終損益11億3900万円の赤字(同6億2600万円の赤字)と減収・赤字幅拡大だった。

 


決算説明会に臨んだ國光宏尚社長は、質疑応答で「売上や利益に関しては、第2四半期と第3四半期が底となり、そこからの反転していく」との見方を示した(「」内の発言は國光氏)。ゲーム開発費は1タイトルを除いて全額、資産計上せずに費用計上しており、来春までの新作リリースで開発費も一巡する見通しだ。

まず、第2四半期の状況から見ていこう。


 
■『ブレフロ』国内・海外版はMAU減少に伴い減収に

売上高は13.9%減の50億5600万円だった。『ファントムオブキル』が『魔法少女まどか☆マギカ』などとのコラボが奏功し、9月は過去最高となるなど好調に推移したものの、『ブレイブフロンティア』の不振が響いた。国内版ではサービス開始から2年経過したことによるMAUの減少や、2周年イベント終了の反動が出た。海外もオリジナルキャラの投入などでテコ入れを図ったが、期間経過によるMAUの減少の影響は避けられなかった。

 


なお、日本のスマホゲーム企業でも海外売上高の比率が高かったgumiだが、海外版『ブレイブフロンティア』が縮小した結果、海外売上比率は前期通期の41%から35%に低下した。「国内ヒットタイトルの海外配信や、”地産地消タイトル”の投入を通じて、海外売上高を回復させたい」という。

 


営業損益は9億6800万円の赤字(前四半期5億3200万円の赤字)と赤字幅が拡大した。売上の減少に加えて、費用の減少が小幅にとどまったことが主な要因だった。タイトルごとのLTV、CPIの分析・管理を徹底したというものの、売上減の影響をカバーできなかった。人件費や外注費が売上に対して高水準で推移しているが、これはゲーム開発費が先行して発生しているため。資産計上せず、費用計上していることも費用が大きく見える一因だろう。

 


最終損益は11億3900万円の赤字となり、前四半期の6億2600万円の赤字から大幅に拡大した。Fuji&gumi Gamesにネイティブアプリ2本を譲渡したことにより3億3200万円の特別利益を計上する一方、『クリスタルクラウン』の資産に係る減損損失3億8500万円を計上したことが響いた。


 
■第3四半期は減収・赤字を見込む 『FFBE』は保守的に 期待の新作も

続く第3四半期(11月~2016年1月期)は、売上高は前四半期比9.0%減の46億円を見込む。『ブレイブフロンティア』については期間経過に伴うMAUの減少を考慮し、国内・海外で20%程度の減収を見込んでいるという。また好調だった『ファントムオブキル』についても25%程度の減収を見込んでいるそうだ。『ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス(FFBE)』は、好調なスタートだが、保守的な数字としている

会場からは、『FFBE』について質問が出た。同タイトルについては、年末年始以降、イベントや課金施策などを含めてコンテンツの充実を図っていき、売上アップを図っていくが、10月並の水準にしているという。施策投入による売上アップの効果を計画には織り込んでいないとのことで、状況次第で上ブレ要因となりそうだ。

さらに、『FFBE』の海外展開の時期についての質問もでた。「パブリッシャーがスクウェア・エニックスであるため、当社からコメントできない」と回答した。ただ、共同開発は、スクウェア・エニックスが『ブレイブフロンティア』での実績と海外展開力を評価したものであるため、海外展開の可能性についても視野に入れていると述べた。

また、営業損益は10億円の赤字となり、前四半期9億6800万円の赤字から赤字幅が拡大する見通しだ。人件費は国内外の人員採用が一巡したことから横ばいとなる。外注費も同様だ。広告宣伝費は、タイトルの売上に応じた適切なプロモーションを行うことで費用の抑制を図る。

 



ここで『三国志ブレイブ』のテレビCMのコスト負担について質問が出た。國光氏は、「パブリッシャーはLINEであるため、広告宣伝を増やすかどうかの判断は先方が行う。コスト負担も先方が行う。大規模なプロモーションを行ってもいいKPIになっているのではないか」と回答した。

なお、新規タイトルの開発パイプラインは前四半期末の14本から13本となった。前四半期までに4本リリースしたため、新規で3タイトル増えたことになる。各タイトルの取り組みは以下のようになる。

 
▲『ブレイブフロンティア』は、新たな進化軸・マルチプレイ要素を実装し、MAUの維持とARPMAUの改善を図る。海外版は適切なプロモーションによるMAUの維持と、オリジナルキャラクターを投入するほか、著名IPとのコラボやギルドも実装する。

 
▲『ファントムオブキル』は、9月に過去最高の売上高となった。『ブレイブフロンティア』とのコラボや★6進化イベントを実施した。前日譚にあたるストーリーが展開される海外版も今冬展開予定。

 
▲『ドラゴンジェネシス』と『SAOコードレジスタ』は、引き続き安定的な売上推移となっている。

 
▲『FFBE』は、好調なスタートを切った。Google Playの「2015年ベストゲーム」にも選出された。今後、新ストーリーやイベントダンジョンの追加、各種キャンペーン、効果的なプロモーションでさらなる拡大を図る。

 
▲『ブレイジングオデッセイ』は、子会社Fenrisが開発するアクションRPGで、兄妹・仲間の魂をつなぐ王道ストーリーが展開される。当サイトで連載している安藤武博氏がプロモーションプロデュースを行っている。フィールドを探索し、爽快感あふれるバトルが楽しめるそうだ。リリース時期も当初今秋だったが、今冬に延期となったという。

 
▲『誰ガ為のアルケミスト』は今冬リリース予定。高低差のある3Dマップでのバトルを採用する本格的なタクティクスRPG。東京ゲームショウで、プロデューサーの今泉氏が『ファントム オブ キル』の正当進化作とコメントしたようにゲーム性の高さもポイントになる。OPアニメーションは河森正治氏、主題歌・BGMは下村陽子氏が担当する。

 
▲『シノビアンナイト』は来春リリース予定。3Dのダンジョン探索型RPGとなる。多彩な仕掛けやシンボルエンカウントの強敵が待ち受けるダンジョンを探索する。久石譲氏をはじめ、豪華クリエイターが終結した。

 
▲『LINE三国志ブレイブ』は11月4日にリリースされた。事前登録が40万人を超えるタイトルだが、リリース後も好調に推移しているという。ギルドなどの新機能を実装するとともに、テレビCMを実施し、ユーザーベースの拡大を図る。

 
(編集部 木村英彦)
株式会社gumi
http://gu3.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社gumi
設立
2007年6月
代表者
川本 寛之
決算期
4月
直近業績
売上高160億0900万円、営業利益4億4700万円、経常損益1900万円の赤字、最終利益4億4500万円(2023年4月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3903
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