【コロプラ決算説明会】『白猫』の好調持続と『黒猫』の1年半ぶり増収で業績拡大 海外売り上げも過去最高に VR元年に向け投資も着々


コロプラ<3668>は、1月27日、東京都内で2016年9月期第1四半期(10~12月)の決算説明会を開催した。説明会に先駆けて発表された第1四半期の決算(単独)は、売上高232億円(前年同期比41.5%増)、営業利益104億円(同46.1%増)、経常利益105億円(同45.3%増)、当期純利益64億円(同50.2%増)と大幅な増収増益を達成した。

また、業績を四半期推移(QonQ)で見ると、こちらも売上高が9.7%増、営業利益が11.9%増、経常利益が14.1%増、四半期純利益が12.4%増と増収増益を達成している。

なお、決算説明会では、同社の馬場功淳代表取締役社長(写真)がまずは説明を一通り行い、その後に質疑応答が行われた。その内容も踏まえつつ、会見の様子をまとめてみた。
 


■『白猫』好調に続き、『黒猫のウィズ』も1年半ぶりの増収を達成


まずは、前四半期となる2015年9月期の第4四半期(7~9月)の状況から振り返ってみると、QonQで売上高は16.7%増、営業利益は18.7%増、経常利益は17.0%増、四半期純利益は22.8%増と大幅な増収増益を達成していた。そのけん引役となったのは『白猫プロジェクト』(以下、『白猫』)で、DAU(日次アクティブユーザー数)が急伸するなど、リリース1年を経過したところで想定を超えるブレイクを果たしたことが大きかった。

今回は、それを受けての2016年9月期のスタートとなる第1四半期決算となるが、『白猫』は前四半期の勢いをそのままに引き継ぎで伸長した。加えて、この四半期は『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』(以下、『黒猫のウィズ』)が1年半ぶりにQonQで増収を達成したことも寄与し、全体業績も前述の通り、QonQで増収増益での着地となった。

ちなみに『黒猫のウィズ』が増収となった要因については、「名探偵コナンとのコラボ企画が奏功した。また、コラボと同時にテレビCMを展開したこともあり、ユーザー数も増えた」(馬場社長)としていた。
 

続いて、この四半期の費用の状況を見てみたい。上記の馬場社長のコメントの通り、『黒猫のウィズ』も久しぶりのTVCMを流すなどプロモーションの強化が行われたことで、広告宣伝費は25億6400万円(前年同期比40.2%増、前四半期比9.2%増)と増加した。ただし、広告宣伝費率で見ると11.0%と前年同期、前四半期と同水準に収まっている。

また、外注費が前年同期比で2.3倍に膨らんでいるが、これは非連結の子会社の発注費用も外注費として計上されるためだという。つまり、同社の買収戦略の成果がここの数字として表れているとも言える。
 
 

■2014年リリースタイトルが売り上げ全体の6割強に


次は、サービスのリリース年ごとの状況に目を移したい。はっきりと数字に出ているのは、『白猫』を含む2014年リリースタイトルがさらに寄与度を上げたことだ。この第1四半期は売り上げ全体の6割強が2014年リリースタイトルとなっている。また、2012年リリースタイトルとともに『黒猫のウィズ』を含む2013年リリースタイトルも横ばい推移となった一方で、2015年リリースタイトルは明らかに伸び悩む形となっている。

なお、海外展開アプリの売り上げは「数字は小さいが過去最高」(馬場社長)とのこと。
 


▲リリース時期別のKPI推移。2013年リリースタイトルのARPQU(QAUあたりの売上高)が2四半期連続で上昇した。

海外展開について、さらに詳細を見てみると、同社が直接配信を行っている韓国向け『白猫』がQonQで40%を超える増収を達成するなど大きく貢献した。さらに台湾で配信を開始した『バトルガール ハイスクール』も好調な滑り出しとなったという。
 
 

■今期新作は「アクション&RPG」が2本、「スポーツ」が4本


新作については、この第1四半期にリリースはなかったものの、12月に『激突!!Jリーグプニコンサッカー』を発表し、新作発表会(写真)も実施した。同タイトルは、2014年12月に同社の傘下に入ったインディゴゲームスタジオが開発を担当している。なお、新作は同タイトルを含めて6本のリリースが2016年9月期は予定されているが、ジャンルは「アクション&RPG」が2本、「スポーツ」が4本となっている。
 

【関連記事】
【発表会】コロプラ、ぷにコンで楽しめるアクションサッカーゲーム『激突!!Jリーグプニコンサッカー』を発表 中村憲剛選手、名波浩監督、佐藤美希さんが応援に駆けつけた

コロプラ、大阪オフィスを開設 船水紀孝氏が代表を務める子会社インディゴゲームスタジオが新作スマホゲームを開発
 

■数年後をにらみVRへの取り組みを推進


同社が中長期的な取り組みとして進めているのが、VR(Virtual Reality:仮想現実)分野だ。これまでも2014年に社内に専門部署を立ち上げ、VRゲームの開発・研究を進めてきたが、2015年11月には360度動画に特化した事業を行う子会社360Channelを設立(関連記事)した。

さらに、2015年12月には子会社のコロプラネクストとVR専門ファンド「Colopl VR Fund」を設立し、自社で行える分野以外も投資という形でVR分野をカバーする戦略を進めている。

こうしたVR分野について、馬場社長は「Oculus Riftが春に発売となり、ソニーのPlayStationVRも出てくるなど、今年はVR元年になる」としていた。ただ、「この1年間はマニアというか、コアな層のみに浸透するのにとどまるだろう。一般のユーザーに浸透するのは来年後半くらいで、2年後くらいに花開くのではないか」(馬場社長)ともしていた。同社が着実に進めているVRへの取り組みは「それまでにノウハウを蓄積する」(馬場社長)という意図が大きいようだ。

なお、質疑応答でVRが普及すると確信する理由について問われた馬場社長は「現実は仮想に勝てない。実際に劇場などに観に行く方が臨場感はあるのだが、それでもテレビが普及した。また、実際に会いに行く方がいいのだが、電話やコミュニケーションツールで連絡を取るようになった」としていた。
 

■通期予想は変更なく、17%増収、11%営業増益を見込む


2016年9月期の通期の見通しについては、従来予想から変更なく、売上高850億円(前期比17.4%増)、営業利益360億円(同11.4%増)、経常利益360億円(同11.2%増)、当期純利益210億円(同8.0%増)の見込み。ただ、第2四半期期間(1~3月)は「年末と春というコンテンツ運用における需要期の狭間となる」(馬場社長)としており、QonQで第1四半期のような伸び率は想定しづらいようだ。
 
ちなみに質疑応答では、子会社が増えてきたことで連結決算に移行する可能性についての質問もあったが、取締役CFO兼CSOコーポレート統括本部長の長谷部潤氏は「売り上げが数億円単位で、収益トントンくらいのまだ規模の小さな会社を複数買収した」としており、同社業績に与える影響がまだ小さいため、早期に連結決算に移行するということはなさそうだ。
 

■まとめ


『白猫』が再び拡大期入りしたのに続き、『黒猫のウィズ』がQonQでプラスに転じたのはポジティブな話題と言えるだろう。このプラスがコラボ効果だけによる一時的なものなのか、下げ止まりとなり、エンゲージメント主体のマーケティングの成果も寄与してきているのかは第2四半期の数字を見て判断したいところだ。

また、2015年リリースタイトルが伸び悩む中で、『白猫』に続く柱となり得るタイトルがあらためて求められる状況となっており、今後発表される残り5本の新作タイトルの情報も一層注目を集めることになりそうだ。
 
(編集部:柴田正之)



 
株式会社コロプラ
https://colopl.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社コロプラ
設立
2008年10月
代表者
代表取締役会長 チーフクリエイター 馬場 功淳/代表取締役社長 宮本 貴志
決算期
9月
直近業績
売上高309億2600万円、営業利益28億5800万円、経常利益32億7600万円、最終利益18億9300万円(2023年9月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3668
企業データを見る