【alive 2016】「2Dイラストを当たり前のように動かす未来へ」…Live2D採用の大型タイトルも続々リリース予定 代表の中城氏が登壇した基調講演を取材


Live2Dは、2016年7月2日、日本工学院専門学校 蒲田キャンパスにおいて、イベント「Live2D Creators Conference 『alive 2016』」を開催した。

本イベントは、Live2Dを使った創作活動に関わるクリエーターが集まるイベント。ゲームやアプリ開発者、イラストレーターやアニメーターなど、プロ・アマ問わず幅広い属性の方々が参加。大盛況だった昨年に続き、今年は会場を日本工学院(蒲田校)に移し、500人規模で開催。

本稿では、Live2D代表取締役社長の中城哲也氏による基調講演をレポート。中城氏は、昨年の開催した「alive」から現在までを振り返りつつ、今後の展望を語った。

 

 

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■「世界中で2Dイラストを動かすことが当たり前になってきた」


もはや説明不要だが、「Live2D」とは2Dで描かれたイラストを、アニメーションとして表現できるツール。ゲームアプリのリッチ化の一環として近年脚光を集めており、『ボーイフレンド(仮)』や『バトルガールハイスクール』、『あんさんぶるスターズ』など有力タイトルで利用されている。
 

▲Live2D 代表取締役社長 中城哲也氏

登壇した中城氏は、これまでのLive2Dの取り組みとして、直近のアップデートである「cubism2.1」について言及した。

「cubism」は、ラスターデータで準備された原画からLive2Dモデルを構築し動かす、クリエイター向けのソフトウェア。モデリングを行うModeler、モデルデータに演技(アニメ)を加えるAnimatorから構成されている。 新しくなった「cubism2.1」では、マイナーバージョンアップとはいえ30を超える新機能や改良が施され、より効率的に表現力豊かに作業することが可能になった。
 

▲2.1の新機能には、PSD元絵ファイルとの高い連携をはじめ、曲面でフォーマ分割数拡張、クリッピングマスクなど、その他30以上の機能が追加。


▲「Cubism Editor PRO」のインディー向けも提供開始。これまで14万円で提供してきたが、3万円ほどのリーズナブルな価格に。
 

▲PROライセンスの販売数は、わずか1年で約800%の伸びに。


▲元から海外向けに提供していた「Live2D」だが、ここ数年で毎年10%の伸びでシェアを拡大している。「世界中で2Dイラストを動かすことが、当たり前になってきた」と手応えを見せた中城氏。また、現在は四ヵ国語(日本語・英語・中国語・韓国語)での操作が可能となっており、マニュアルも順次対応中という。
 

▲海外の採用事例として、韓国のデベロッパー・shift upが手掛ける『Destiny Child』(未リリース)にも採用。2Dイラストとの親和性が高いアジア市場では、Live2Dの需要の高さがうかがえる。なお、世界のアプリストアランキングでBest5に入る大手デベロッパーの採用も決定しており、今後Live2Dを採用した大型タイトルが続々リリース予定とのことだ。
 

▲同じく海外採用事例では、ルーマニアのデベロッパーであるHolotech Studiosが、ウェブカメラを使ってアバターになりきれるソフト「FaceRig」を開発。
 

▲当日は、Holotech Studios代表のDragos Stanculescu氏が、この日のために遥々ルーマニアから来日。Live2Dの採用経緯について「表情・アニメーションを繊細に作れる。クリエイターに力を与えてくれる姿勢も感じた。何より大人や子供、分け隔てなく楽しんでもらえる表現ツールだ」と評価した。

 
今年で創設10年目を迎えるLive2D。中城氏ひとりでスタートした会社も、現在は50名規模に。直近では応用開発チームも始動して、デジタルサイネージやアバター機能、VRなど新しいことに取り組んでいる。このほか、Live2D専門のクラウドソーシング「Creators Circle」も開始し、世界中のクリエイターの力を借りられるような仕組みを構築。

続いて、Live2D Creative Studioの國定みゆき氏が登壇。
 

▲Live2D Creative Studio 國定みゆき​氏

デザイナーチームが中心で構成されているCreative Studioは、Live2D市場の拡大を目標に日々研究に励んでいる。たとえば、キャラクターの髪の毛の揺れや、厚塗りでも光と影の表現を用いたり、平面のキャラクターをいかにダイナミックに見せるかなど、Live2Dのポテンシャルを引き出すために努めている。ここで、同スタジオが制作したクリエイティブを動画で紹介してくれた。
 





ここに登場するキャラクターは、近日ダウンロード可能に。提供サンプルには、シンプルなものもあれば、Live2Dの進化が感じられるような複雑な作りのクリエイティブも存在。
 
そのほか同スタジオでは、Webマニュアルやテンプレート、セミナー講演、サンプルなど、快適なLive2Dライフのために尽力している。さらに新たな取り組みとして、ユーザーから様々なフィードバックをもらい、ノウハウの共有や実践的な講義、遠方に住んでいる方に向けたオンラインセミナーなども予定しているという。
 

この後、「Cubism」とイラスト原画の全方位リアルタイム表現が可能になる「Euclid」の新情報について発表があったが、こちらは別記事で触れていく。
 

 
現在Live2Dでは、「Cubism」と「Euclid」のふたつのサービスが存在する。「統合したほうがいいのでは」とも聞かれる中城氏だが、1枚のイラストを動かすことを大前提とし、「今後もふたつのサービスを進化させていく」とし、開発に応じてサービスを使い分けてほしいとも語った。

中城氏は、将来的にLive2Dの存在が当たり前になることを目指している。たとえば、1枚のイラストがあったとき「何で動かさないの?」と疑問が生まれるほど、Live2Dを用いてイラストを動かすことが、当たり前になるように。

起業から10年目を迎えて、中城氏はこれまでの取り組みを振り返り50点と語った。「まだまだこんなものではない。体制が充実してきて、ノウハウもたまってきた。ぜひ今後も使ってほしい」と語り、基調講演を締めくくった。
 

 
(取材・文:編集部  原孝則)
(取材・撮影:編集部  和田和也)


■Live2D
 

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