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【インタビュー】サイバーエージェント備前光隆氏に聞く、アプリマーケティングのトレンド…既存ユーザーを重視するリテンション広告に脚光

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スマートフォンのプロモーションにおいて、様々な手法が開発される中、既存ユーザーの継続利用や、休眠・離脱ユーザーの復帰を促すリテンション広告が注目を集めている。今回、リテンション広告が注目される背景や、リテンション広告の特徴についてサイバーエージェント<4751>アドテクスタジオのプロダクト責任者である備前光隆氏に話を聞いた。


――:よろしくお願いいたします。スマートフォンアプリのプロモーション手法を見ると、非常に多様化・複雑化しているように見えます。以前はリワード広告やアドネットワークを組み合わせた半ば”定型化された”やり方がありました。最近のアプリマーケティング動向をどうご覧になっていますか。

おっしゃるように、事前登録やインフィード広告、動画広告、テレビCMなどプロモーション手法は多様化していますが、大枠としてみると、最終的なゴールはユーザーに長期間にわたって遊んでもらうこと、それが結果的にアプリ事業者の収益につながる可能性を高めることになります。一見すると多様で複雑な状況にありますが、求めていることは本質的には同じです。

こうしたなか、最近、注目度が上がっているのは、「リテンション広告」と呼ばれる広告手法です。既存の広告手法は、いずれも新規ユーザーの獲得を目的としたものがメインでしたが、リテンション広告は既存ユーザーにフォーカスしたプロモーション手法です。



――:私もゲーム会社にヒアリングしましたが、既存ユーザーにいかに長く遊んでもらうか、という問題意識が以前よりも強くなってきたように感じます。この背景として、どういったことがあるのでしょうか。

大きなタイトルや長く運営しているタイトルは、それ以前にもプロモーションを十分やっていますから、新規ユーザーを獲得することが徐々に難しくなってきています。スマートフォン普及の成長率も緩やかになっているため、今までのマーケティング手法で、新規ユーザーの獲得をメインに据えても、広告効果(獲得効率)の向上が見込めなくなってきています。

むしろ考え方を変えて、新規で獲得したユーザーにどうやって定着してもらうか、そして、一度離脱したユーザーに再度遊んでもらうためにはどうしたらいいのか、といった問題意識が強くなっています。当社ではリテンション広告を1年半以上前から取り組んでいますが、半年前ほどから、お客様の理解が深まっていたという印象です。



――:運営期間の長さだけでなく、これだけ多くのアプリがリリースされているとユーザーに他のゲームから移ってもらうのも容易ではないですよね。

そうですね。ゲームのクオリティも格段に上がり、新たなタイトルが上位ランキングに入り込むことも難しくなりつつあると思います。当社のリテンション広告もランキング上位の会社に利用していただくことが多いですが、先程申し上げたような狙いがあるようです。

もちろん、新規ユーザー獲得の動きは絶対に消えることはないと思います。しかし、同じコストを投下して、より多くのユーザーが残ってくれるのならば、費用対効果の高い手法として、リテンション広告に注目していただけているようです。

 


――:テレビCMなどで多額のコストをかけているわけですからね。

そうですね、中には、テレビCMなどで多額のコストを使って、新規ユーザーを獲得しておられる企業もいます。しかしながら、獲得したユーザーは、大きなタイトルであっても1週間後には20~40%しか残らないと言われています。広告の力でその状況を少しでも改善することができれば、DAU(日次アクティブユーザー数)も維持されますし、最終的には売上の向上につながっていくと考えています。


――:こういう状況になると想定しておられたのですか?

現在のような状況になると予想していましたと言えると格好いいのですが、そうではないです(笑) 当社は、1年半前から取り組んでいるのですが、もともとEC系のお客様に提供していたダイナミックリターゲティング広告をゲーム分野にも応用できるのではないか、と考えて開発を始めたものです。

ゲームアプリ市場の状況とリテンション広告という商品がマッチし始めたのはこの半年くらいになるでしょうか。最初の1年はなかなか理解が得られなかったですが、この半年でぐっと追い風が吹いてきたように感じます。



――:リテンション広告はどういったプロダクトがあるんでしょうか。

当社が開発・提供している「Dynalyst for Games」というプロダクトがあります。ゲームアプリに特化しているリテンション広告は、今のところ国内では「Dynalyt for Games」のみと認識しています。
 

ユーザーのプレイ状況やステータス、レベル、持っている通貨、ログイン頻度、ログイン日数、インストール後の日数といった、企業が保有する自社のユーザーデータを連携し、ユーザーのゲームアプリの利用状況に応じて、一人一人に最適な広告を自動生成し、リアルタイムに配信します。

例えば、このユーザーはインストールして間もないが、比較的遊んでくれそうだ(あるいは遊んでくれなさそうだ)とか、このステージで何日か止まっているので離脱リスクにつながりそうだ、などのユーザー評価をリアルタイムに行って、リターゲティングで配信していくというものです。

 

ここで重要なことは、ユーザーセグメントごとに汎用的なメッセージを出すのではなく、個々のユーザーに適切な情報を配信する、ということです。適切な情報とは、ユーザーがどれだけ遊んでいるか、クエストがどのくらい進んでいるか、といったゲーム習熟度に合わせてメッセージを変えることです。

例えば、インストールして間もないユーザーに対して、「◯◯さん、今プレイするとこんなアイテムがもらえます」とか「次のクエストには、この所持キャラを入れるのがオススメです」といった広告を動的に出すことができます。個々のユーザーの状況に合わせたメッセージが出すことで、普通のアドネットワークに比べて高い広告効果が得られます。アドネットワークは、オールリーチであるのに対して、この広告は個人に焦点を当てています。

その広告効果は、信じがたい数字と思われるかもしれませんが、CTR(クリック率)でいうと、一般的なリタ―ゲティング広告では0.3~0.5%になれば十分ですが、この広告商品では1%を超える傾向にあります。休眠しているユーザーにはこういう広告、そして、毎日遊んでいるユーザーにはこういう広告を出す、というように、ユーザーひとりひとりのゲーム利用状況に応じて、最適な訴求にて広告を配信しています。



――:自分のユーザー名が表示されて、「いまこんなプレゼントがあります」などと表示されたら、確かにタップしてしまうかもしれませんね。

そうですね。広告の役割としては、再度ゲームを遊んでもらうきっかけを作ることです。他社でもリターゲティングをやっておられますが、動的に出しているケースは珍しいと思います。ユーザーの状況に応じて出す情報や出すタイミングを変えていますので、「広告」というよりも「ユーザーインフォメーション」に近い存在だと考えています。


――:広告費の投下の仕方は変わってきたのでしょうか。

大前提として、リリース前の事前登録や、リリース後の各種プロモーションの重要性が落ちているわけではありません。ユーザーの定着や休眠復帰などに課題感を感じておられる会社さんがリテンション広告に力を入れ始めている状況にあります。アプリを出すまでも大事、そして出した後も大事ということです。ゲーム側でもイベントを仕込んだり様々な工夫を凝らしていると思いますが、広告の側面からもそういった取り組みを支援しています。


――:リテンション広告の事業会社のマーケティングコストの中でどれくらいですか。

先行して積極的に取り組まれている大手の会社さんでは、全体の約30~40%は既にリテンション広告に出稿をしているようです。徐々に各社様にリテンション広告への理解を得られてきているので、実施する動きが広がっているのは事実です。今後、出稿金額も上がっていくとみています。
 


――:メーカーの広告費の配分も変わっているのですか?

正確には知り得ないところですが、従来の手法だけでやっているところは少なく、リテンション広告はもちろん、動画広告やインフィード広告など新しい手法への予算配分は進んでいるように思います。これからもっと変わっていくのではないでしょうか。


――:ゲーム会社からすると情報を出すので抵抗はないのでしょうか。

確かにリリースした当初は理解いただけないケースもありましたが、最近では柔軟な会社が増えてきましたね。例えばユーザーのログイン日時やログイン日数などは比較的抵抗なく連携させていただくことができたので、まずはそこからやってみましょう、となりました。ユーザーに響くメッセージを作ることが重要であり、それが形になると、次はこういう訴求をしてみたいという要望につながり、本来私たちがやりたかったことに対して徐々に理解を得られていって今に至るという状況です。


――:このほかに気になっている動きはありますか?

動画広告でしょうか。既に多くの動画広告を見るようになりましたが、ゲーム内容やその世界観を理解してもらう上ですごくマッチすると思います。動画広告も今は新規ユーザー獲得向けのプロモーションが主流になっていますが、例えば、レベル10のユーザーにレベル15の世界を動画で見せてあげる、なども近い将来にできるようになると思います。ゲームにかぎらず、マーケット全体が動画の注目度が高いですし、相性はすごく良いと思いますね。


――:少し話が変わりますが、人工知能に関してはどういった取り組みをしているのでしょうか。

サイバーエージェントグループでは、AI研究組織「AI Lab(エーアイ ラボ)」という人工知能に特化した専門組織を作っています。最先端の人工知能研究を行い、その研究成果をアドテクスタジオが開発しているプロダクトに応用し、企業とユーザーをOne to Oneで結び、最適なタイミングで最適な情報を届ける広告配信技術の実現や、付加価値の高い広告プロダクトの開発を目指しています。

インターネット広告の運用は細やかな部分も多く、時間や手間がかかってしまうため、戦略部分やクリエイティブなど、頭を使って考えるべきポイントに時間をとりきれていない、というマーケターの方も少なくありません。AIの普及によって、戦略やクリエイティブなことに時間を費やせることが理想ですね。いずれ作業は自動化され、マーケターは頭を使うポイントに集中できる、という時代が来ると思っています。



――:ご覧になっていて、スマホゲームのマーケティングの課題はどういった点にあるとお考えですか。

マーケティング手法が多様化・増加していく中で、企業は最適なマーケティング戦略を組み立てるのが難しくなってきており、それを課題と感じている企業は多いのではないでしょうか。適切なKPIと適切な予算配分を決め、戦略を考え尽くすことが重要なのはもちろんのこと、スマホゲームは競合が多い市場なので、オリジナリティのある戦略が必要になってくると思います。こういった戦略を固めるためには、あらゆるマーケティング手法にチャレンジし、その結果、どの手法が、どのKPIに、どのぐらい影響をもたらすのか、という実績データやノウハウ、経験をため、戦略に活かしていくことが重要だと思っています。

リテンション広告もはじめは理解を得ることが難しく、実施している企業は一部でしたが、実施し実績がでて効果を実感する企業が増え、現在このように伸びてきているように思います。

また、マーケティングのフェーズによっては、ロジックだけではなく、発想に制限をかけないあらゆる思考で戦略を立て、それにチャレンジできる企業が、より多くのナレッジやノウハウを貯めることができ、今後さらに多様化していくマーケティング手法に対しても柔軟な思考で、最適なマーケティング戦略を確立できるのではないかと考えています。



――:ありがとうございました。

 
(編集部 木村英彦)
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企業情報(株式会社サイバーエージェント)

会社名 株式会社サイバーエージェント
URL http://www.cyberagent.co.jp/
設立 1998年3月
代表者 藤田晋
決算期 9月
直近業績 売上高3713億円、営業利益307億円、経常利益287億円、最終利益40億円(2017年9月期)
上場区分 東証1部
証券コード 4751

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