【インタビュー】クロスメディア展開を成功させるコロプラ独自の秘訣とは…イベントから商品化まで全員に通ずる信念は「自分もワクワクできること」

『白猫プロジェクト』を始め、『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』や『バトルガール ハイスクール』など、自社タイトルで活発にクロスメディア展開を行うコロプラ<3668>。直近では、8月5日に、『白猫プロジェクト』と若者向けアパレルショップ「2.5SPINNS」のコラボカフェ「星たぬきカフェin原宿」を期間限定でオープンしている。


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本稿では、そんなコロプラに勤める、開発者やビジネスプランニングを担当する方々にインタビューを実施。クロスメディア展開を始めたきっかけや、実施する際に意識していること、さらに同社で求める人材について、お話を伺ってきた。
 
▲写真左から、ビジネスプランニングを担当する呑名氏、クロスメディア展開の窓口を担うH氏、『白猫プロジェクト』プロデューサーの浅井P、『バトルガール ハイスクール』クロスメディア展開プロデューサーのN氏。

■インタビュー対象
浅井P
(『白猫プロジェクト』プロデューサー)
H氏(『白猫プロジェクト』クロスメディア展開担当)
N氏(『バトルガール ハイスクール』クロスメディア展開プロデューサー)
呑名氏(ビジネスプランニング担当)
 
 

■"ユーザーファースト"を中心に、自身もワクワクできるクロスメディア展開を実施


――:まず始めに、それぞれのご担当業務を教えてください。
 
浅井P:『白猫プロジェクト』のプロデューサーとして、同タイトルのクロスメディア展開に関わる企画提案や監修に携わっています。
 
H氏:『白猫プロジェクト』クロスメディア展開の窓口として、企画実行に向けた社内外ステークホルダーとの調整や折衝を担当しています。『白猫プロジェクト』のカフェや京都とのコラボレーション(以下、コラボ)企画を実現に向けて遂行するなど、浅井Pの気持ちを受け止める立場でもあります(笑)。
 
N氏:『バトルガール ハイスクール』(以下、バトガ)クロスメディア展開のプロデューサーとして、ゲーム以外のメディア(CD、コミカライズ、リアルイベント等)展開のプランニングやディレクションを担当しています。また、既に発表している同タイトルアニメ化のプロデューサーも務めています。
 
呑名氏:コロプラが持つIPをさまざまな形でビジネスに繋げる事業部門の部長として、グッズや書籍化等マーチャンダイジングやライセンスアウト、リアルイベント等の分野で企画から開発・運営・販売まで幅広く展開し実行しています。

 
――:御社では、数多くのリアルイベントやクロスメディア展開が行われていますが、そもそもそういった企画を行うようになった経緯をお聞かせください。
 
呑名氏:より多くのユーザーさまに長く愛されるゲームアプリとなるような取り組みをしたい、その為にはユーザーさまとのエンゲージメントに力を入れていこうというところが企画の発端になります。ユーザーさまにゲーム以外のサービスも楽しんでいただきたく、弊社のIPを活用したグッズやリアルイベントの展開を始めました。
 
浅井P:リアルイベントに関しては、元々ユーザーさまとの関わりを作りたいという想いを持っていました。コロプラの歴史を遡ると、『コロニーな生活』を始めとする「位置ゲー」での接点から物産展などでリアル連携事業を活発に行っていましたが、スマートフォンゲームのユーザーさまに向けてはリアルイベントをなかなか行えていませんでした。初めてスマートフォンゲームを題材にしたリアルイベントを実施したのが、2015年1月に『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ(以下、黒猫のウィズ)』『白猫プロジェクト』『ほしの島のにゃんこ』の3タイトルとコラボした「ねこまつりカフェ」になります。ご来場いただいたユーザーさまからも大変好評で、徐々に現在のクロスメディア展開へと繋げてきました。

 

N氏:『バトガ』は、キャラクターが魅力的、かつキャスト陣も人気声優を起用していることもあり、かねてよりユーザーさまからクロスメディア展開を期待する声が上がっていました。今はCDやコミカライズのほか、来年春に向けて『バトガ』初の大型リアルイベントを予定していまして、ユーザーさまに楽しんでいただくために着々と準備を進めています!
 
――:施策を企画、実行していく上で意識している点はございますか?
 
呑名氏:ユーザーさまが求める商品やサービスを、驚きと共に提供したいという想いを常に抱いています。ユーザーさまの声を大事にしていて、アンケートやネットリサーチ、SNSや小売店の意見などからニーズを調査し、そこにゲーム運営チームの想いを加えることで弊社ならではのものを生み出しています。
 
浅井P:私の立場としては、ゲーム内のコンテンツを中心に考えているのですが、リアルイベントについては納得感を大事にしています。つまり、ユーザーさまがリアルイベントに足を運ぶ理由ですね。京都市とのコラボ企画「私立茶熊学園2016~おいでやす、京都・白猫の旅~」についても、ゲーム内で人気キャラたちが京都に行きますという設定の導入があったうえで実施すれば、リアルとゲームの融合性という部分でより楽しんでいただけるのではないかと考えました。
 

――:京都市とのコラボレーション企画については浅井Pの発案だとお伺いしたのですが、どのタイミングでリアルイベントを実施しようと考えておられたのでしょうか?
 
浅井P:『白猫プロジェクト』にはゲーム内で人気の「茶熊学園」というイベントがあり、その中で今年は「修学旅行」で京都に行こうという話になり、「それなら京都でリアルイベントをやるしかない」というストーリーにまとまりました。このアイデアをHさんに話して実現してもらったという流れですね。
 
――:Hさんは、その話を聞いたときどう思われましたか?
 
H氏:最初はびっくりしたのですが、リアルイベントとゲームとの連動については私もずっと考えていて、ユーザーさまがそこに行く意味やストーリーがないといけないと思っていました。企画を進めるときは、自身をユーザーさまを代表する第一のお客さまに置き換え、自分がワクワクするイベントでなければ実施しないようにしているのですが、浅井Pから話を聞いたときに「このリアルイベントなら行きたい」と思ったんですよね。
 

浅井P:最初はコラボレーションカフェができればユーザーさまに喜んでいただくには十分かなと考えていたのですが、多くの店舗さまにもご協力いただいたおかげで、スタンプラリーや電車内ジャックまで実現し、想像以上に楽しんでいただけるリアルイベントになったのではないかと思います。
 
H氏:『コロニーな生活』の提携店舗さまが今回も参加してくださったのは大きかったです。既に信頼関係を築けていたからこそ成功できたのかなと。普段は敷居の高いお店でも、スタンプラリーがあることで若い人も入店しやすくなったことも好評いただいた理由のひとつかなと思います。

 
――:一方、クロスメディア展開を中心とする『バトルガール ハイスクール』では、どんなところを意識されていますか?
 
N氏:ユーザーさまにとって魅力的な商品・施策かどうかは、常に意識していますね。昨年、秋葉原で実施したコラボカフェ「星守メイドカフェへようこそ!」では、店内にゲーム教室の内装を再現したほか、ゲーム内でも秋葉原とリンクした世界観でメイドイベントを実施し、連日満員で大好評でした。メディアは異なりますが、CDジャケットのイラストを描きおろす際には、ゲーム内では実現していないけどファンだったら絶対見たいよね、という景色をイメージして制作しています。
 
――:内部の体制についてお話を聞かせいただけますでしょうか。
 
H氏:現場と密にコミュニケーションを取ってイベントを行うという点が、コロプラでリアルイベントを実施する際の一番の特徴だと思います。スマートフォンゲームは展開が早いので、開発チームと密に連携して進めなければならないと考えており、企画・デザイン・監修は全て内製で行っています。
 
呑名氏:リアルイベントを内製するメリットとして、まずはスピード感が挙げられます。お客さまが求めているものを提供できるような体制を整えるためでもあります。一過性のプロモーションに留まらず、ユーザーさまが飽きずに喜んでいただけるイベントを成立できていると考えております。
 
H氏:変化に対応しやすいという点も大きいですね。メニューの変更や追加など、現場で2Dのキャラクターが完成した翌日にはステッカーを入稿して販売するなど、最も旬な状態でお客さまに商品を届けられるのは内製ならではだと思います。

 
――:企画案については、どこからあがってくるものなのでしょうか?
 
呑名氏:基本的には部署内のイベントディレクターやキャラクターグッズの企画開発担当が企画を担当しています。ある程度企画案が組み上がった段階で、ゲーム運営チームやHさんに意見をもらいながら作る事が多いですね。ただ、「京都コラボ」のように、浅井Pなどゲームのプロデューサーから提案されることもありますので、すぐに形にできるように日頃からさまざまな企業や団体とのつながりを大切にしています。
 

H氏:例えば、ざっくりと「京都コラボ」というテーマを与えられて、こちらでいくつかのパターンを考えて運営チームに尋ねるようなケースもあります。何か企画をする際は、必ず新しいことをひとつ提案するということに気を付けています。
 
――:リアルイベント以外のプロダクトに関してはいかがでしょうか。
 
N氏:商品展開に関してもすごくこだわりを持っていて、パートナー企業さんにおまかせではなく、こうしたいというイメージを伝えながら制作を進めています。例えば1周年を記念して発売した1st Anniversary Single 「STAR☆T」は、スマホ画面より大きいものにしたいという強い意図をレコードメーカーに伝えました。制作を進める中で先方からも提案をいただきつつ、中身に関してもキャラクターのサインがジャケットイラストと同じ配置に刷られていたり、LPを模した盤面が入っていたり、クロスメディアをプロデュースする側として多少無理も言いつつ(笑)、細かい点までこだわって実現させていただきました。
 

 
――:先ほども仰っていましたが、グッズにも自分たちがワクワクするものを作るという点が共通しているのだと感じました。
 
N氏:自分もその商品に対してお金を出せるかどうか、という感覚がポイントですね。コロプラが大切にしているユーザーさまの視点で考えるという姿勢は、われわれの業務ににおいても共通していると思います。
 
――:ユーザーさまからの反響はいかがでしたか?
 
N氏:発売日に商品の画像をSNSに投稿してくださった方も多かったですね。ぜひ部屋に飾って楽しんでいただけたら嬉しいです。
 
――:リアルイベントの反響はどのように届いていますか?
 
H氏:店舗がある場合にはご意見用紙をお客さまにお配りしていて、それを社内に持ち帰って運営チームと共有しています。リピーターになっていただける方もいて、ユーザーさまに支えられていることを実感します。ほかには、公式Twitterやサポート宛にいただいたご意見もしっかり受け取っています。ユーザーさま同士のオフ会も活発に行われているようで、コラボレーションカフェ開催期間はリアルイベントをきっかけにお会いされる方も多いようです。特に「微力ながらBar」を開催したときに、会って話をできる場が求められていることを強く感じ、今はそういった場を提供するのも私たちの仕事だと思っています。
 
――:リアルイベントやクロスメディア展開への取り組みについて、他とは違うコロプラらしさを教えてください。
 

浅井P:現場に近いところで仕事をしています。クロスメディア展開にあたっては、現場のライターが同席してミーティングを行うこともあります。現場と一体となって進めていく文化があるので、そういった点ではとても動きやすく、やりがいもあるのではないかと思います。
 
――:現在、こちらの分野での採用も強化されているとのことですが、共に働きたい方の人物像などはございますか。
 
N氏:私は以前、アニメ関連の業界に長くいたのですが、コロプラに来て良かったと感じたのはクリエイティブの現場が近くにあるという点です。自分のクリエイティブを提案することを肯定的に受け止めてくれる風土なんですよ。そういった環境はコンテンツ業界の事業会社では珍しいので、クリエイティブマインドを持った人にとっては素晴らしい環境だと思います。コンテンツビジネスのプレイヤーとしてビジネススキームを整えたり、マーケティングを考えることも必要ではありますが、ユーザーさまに届ける価値・体験が何よりも大事ですので、その点に対して人一倍こだわりを持った方に来ていただきたいと思います。
 
呑名氏:全職種に共通しているのは、経験があることも重要ですが、それよりも広い視野で考えられる人ですね。いろいろな声が集まってくるので、全て把握したうえで正しい方向へ物事を進められる人が良いと思います。
 
浅井P:クロスメディア展開については、アニメ化を始め、弊社としてもまだまだしっかりと踏み出していかなくてはいけない域がありますので、共にフロンティアを開拓できるバイタリティのある方を必要としております。
 
H氏:弊社の長所のひとつとして、頭ごなしに「ダメ」と言われることがないんですよね。本当にやりたいという熱意を伝えて、どうしたいかを考えられる人に対してはダメと言わないんです。なので、ものづくりをしたいと思っている人でクロスメディアに興味があるなら、弊社はすごく良い環境ではないかと思います。逆に言うと、自分が作りたいものがない状態では生き残るのが難しいのかなと思うときもあります。私はデザイナーやエンジニアではないですが、クロスメディア展開をする際にこうしたいと思うことはたくさんあり、それこそが大事なことだと思っています。
 

――:実際そういった方が多いのでしょうか?
 
呑名氏:私の部署では、前職もゲーム関係者という人材は少ないです。商品企画やキャラクターグッズのデザイン、イベントディレクター、販売管理やライセンス管理などの経験があればゲーム業界に限らず採用しておりますので、さまざまなバックグラウンドを持つ人間が集まっています。ゲーム業界だけでは門戸が狭いのでそこにはこだわらず幅広く募集しています。
 
N氏:「Entertainment in Real Life ~エンターテインメントで日常をより楽しく、より素晴らしく~」というコロプラの社是があるのですが、メディアを限定していないという点に大きな意義があります。いろんなメディアに対して興味を持ち、何が実現可能かを発想できる方が多いですね。映像・音楽・書籍・リアルイベントなど、個々人のこれまでの経験を活かして、他のメディアならどういったことができるか、ゲームと組み合わせたらどういったことができるかを発展して考えられるような方に入っていただけると嬉しいです。

 
――:今後、予定されている事はありますか?
 
浅井P:現在、『白猫プロジェクト』としては「星たぬきカフェ」を開催しています。『白猫プロジェクト』のクロスメディア展開の拡大については、これから踏み込んでいきたいと思っています。
 
――:最後に読者の方々へメッセージをお願いします。
 
浅井P:今後の僕の個人的野望としては、『白猫プロジェクト』のアニメ化を実現したいと思っています。『白猫プロジェクト』は先日、2周年を迎えたのですが、世界観やストーリーなどまだまだ描き切れない部分があるのも正直なところです。「あの伏線を回収したいな」、「あのキャラクターをもっと掘り下げたいな」と思っていても、ゲームの中だけではなかなか全てを伝えきれないので、そういった部分を補完する意味でもアニメ化、小説、漫画といったクロスメディア展開をしていきたいと考えています。
 
H氏:普段から浅井Pの要望をひたすら受け止め続けているのですが、結局、彼の意見はユーザーさまも望んでいることですよね。自分はユーザーさまの代表だという気持ちを忘れず、求められている意見を見落とさないように今後も良いサービスを提供していきたいと思っています。
 
N氏:『バトガ』のアニメ化については、素晴らしい作品となるよう、関係者一丸となって鋭意準備中ですので、続報をお待ちいただけたらと思います。今後、アニメ化に向けてクロスメディア展開も加速させて行きますので、引き続き応援のほどよろしくお願いいたします。
 
呑名氏:今後も、IPを軸に幅広いクロスメディア展開を通して、ユーザーさまに満足していただけるような施策を企画してまいります。


 
 ■クロスメディア展開担当を積極採用中!!
 

プロデューサー
​(IPのクロスメディア展開)

イベントディレクター
(リアルイベント担当)

キャラクターグッズデザイナー
(ゲームグッズ担当)

ライセンス事業担当
(グッズ・書籍担当)

株式会社コロプラ
https://colopl.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社コロプラ
設立
2008年10月
代表者
代表取締役会長 チーフクリエイター 馬場 功淳/代表取締役社長 宮本 貴志
決算期
9月
直近業績
売上高309億2600万円、営業利益28億5800万円、経常利益32億7600万円、最終利益18億9300万円(2023年9月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3668
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