【インタビュー】ミュージカル『刀剣乱舞』にも導入された電子チケットアプリ「tixeebox」から見る電子チケットの現状と未来

年の瀬も近づいており、エンターテインメント業界も年末の商戦に向けて様々な施策を打ち始める今日この頃。昨今ではスマートフォンゲームにおけるリアルイベントの開催も珍しくなく、様々なリアルイベントが、それこそ毎週末に全国各地で開催されている。
 
記憶に新しいイベントとして、“嚴島神社 世界遺産登録20周年記念奉納行事 ミュージカル『刀剣乱舞』 in 嚴島神社”が挙げられる。こちらは、DMM GAMESとニトロプラスが提供するブラウザ・スマートフォン向けゲーム『刀剣乱舞-ONLINE-』をミュージカル化したミュージカル『刀剣乱舞』によるイベントで、約1000人のファンが参加した。
 
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 そんな“嚴島神社 世界遺産登録20周年記念奉納行事 ミュージカル『刀剣乱舞』 in 嚴島神社”、一夜限りの公演、ミュージカルのプレミアム会員のみ応募可能、という特別な条件下であることから、Live Stylesの電子チケットアプリ「tixeebox」が不正転売抑止の一環として導入された。
 
■Live Stylesの電子チケットアプリ「tixeebox」、ミュージカル『刀剣乱舞』 in 嚴島神社のチケット不正転売抑止の一環として導入
 
本稿では、そんなtixeeboxの事業責任者であるLive Styles 取締役 飯塚優希氏と、DMM.com イベント事業部 営業局 局長 中村圭一氏にお話を伺いtixeeboxの仕組みや、昨今の不正転売防止について、今後の電子チケットのあり方についてお話を伺った。
 

--本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、tixeeboxを開発・リリースするにあたった経緯や狙いをお聞かせください。
 

飯塚氏:もともとtixeeという電子チケットのスマートフォンアプリの事業を展開しておりました。
 
tixeeでは、イベントを探す、チケットを購入、電子チケットの発券、その電子アプリで実際にイベントに入場する、という、大きく4パーツを組み合わせた流れとなっておりました。
 
ですが、tixee内で販売するイベントを獲得するのが難しいというのもありましたし、イベントを獲得してからも販売するというのはなかなかハードルが高く、非効率だと感じました。それなら、販売は販売が得意な既存のプレイガイドさんなどにお任せをして、我々は電子チケットのアプリとして展開していこうと考えてリリースしたのがtixeeboxになります。

 
--tixeeからtixeeboxに移行となるわけですが、tixeeboxはどのような特徴があるのでしょうか?
 
飯塚氏:tixeeからイベントを探す、イベントチケットを購入するといった機能を省いたのがtixeeboxとなります。なので、最初にユーザーさんが行うユーザー登録もより簡易化されており、より簡単にtixeeboxを使い始めることが可能になりました。

 

--tixeeでは個人のイベント主催者が実際にイベントを作り、チケットを売るという形も可能だったかと思いますが、それをtixeeboxではよりBtoB向けにシフトした形になったのですね。
 
飯塚氏:tixeeboxでは完全に電子チケットの発券にフォーカスした形となります。収益としては、プレイガイド、主催者さんからシステム利用料をいただくか、実際にお客様が紙チケットから電子チケットに変換するときの利用料をいただく形となっています。
 
tixeeboxは、電子チケットという特性上、様々な部分で主催者様から評価いただいております。まず、従来の紙チケットのオペレーションを崩さずに、新たなシステム開発が必要なく導入ができるというところ、さらに、不正転売対策ができるというところです。

 
--実際にどのようなシステムで不正転売対策をしているのでしょうか?
 
飯塚氏:まず、tixeeboxを使用するためにSMS認証をする必要があります。この認証した電話番号と持っているチケットの紐付けを行えるのがtixeeboxの根本的なシステムとなっています。紙チケットの場合ですと、例えば購入者がチケットを友達とイベントに行こうとして2枚購入したとして、そしてそのチケットを1枚友達に渡した際に、チケットを誰が持っているのかを主催者側でトラックすることが不可能となります。tixeeboxの場合、購入者が友達に電子チケットを渡すという機能があり、その場合譲られる人もtixeeboxの登録、SMS認証が必要となるので、どの電話番号の人がチケットを持っているかを主催者側でトラックすることが可能です。
 
不正対策として導入している機能として、チケットを他の人に渡す「ギフト機能」に制限をかけることが可能となっています。そもそも他の人に渡すことができないようにする、もしくは特定の人にしか渡せないようにするといった制限をすることが可能です。反対に全く制限をかけないことも可能です。そういったレベル別に、どこまで制限をかけるかを主催者様が選択できるようになっております。

 
中村氏:実際、先日行われた“嚴島神社 世界遺産登録20周年記念奉納行事 ミュージカル『刀剣乱舞』 in 嚴島神社”では、人気コンテンツということで、高額で転売されることが予想されていたので、tixeeboxを導入することによって、「ギフト機能」の制限をかけました。また、電子チケットは券面を自由にカスタマイズすることが比較的簡単にすることができるので、通常ですと座席情報しか入らない券面に、本人の名前を記載することが可能です。これにより、本人確認をより強固にすることができます。
 
--先日、日本音楽制作者連盟、日本音楽事業者協会、コンサートプロモーターズ協会、コンピュータ・チケッティング協議会の4つの音楽関係団から「私たちは音楽の未来を奪うチケットの高額転売に反対します」という意見広告が新聞に掲載され、これによりチケットの転売について多くの議論を呼び、テレビ番組でも大きく特集が組まれる等、話題を呼んでいます。
 

飯塚氏:今年に入ってからは特に不正転売を防ぎたいという意向をいただくことが多くなりました。そういった中で我々のサービスが適しているということで、導入していただくことが多くなってはおりますが、チケットの二次流通、不正転売が全部NGかというと、そういったように考えている主催者様はそこまで多くないのかと感じます。
 
転売と一口に言っても様々な方法や要因があります。1つはもともと高額で売るつもりで購入すること。もう1つはどうしても行けなくなったチケットを誰かに譲ろうとすることです。この前者、もともと高額で売るつもりでチケットを購入する人というのは、実はそんな多くないのかなと感じております。そもそも、高額なチケットは人気があり、ファンクラブに入らなければ手に入らない、途方もない倍率の抽選に勝たなければならないということで、初めからこういったチケットで高額の利益を出そうと考えている人はそう多くないと思われます。どちらかといえば、自分はいくつもりだったけれどもどうしても行けないから売ってしまおうと考え、いわゆるチケット転売サイトを使っている方が圧倒的に多いと認識しています。

 
今現状問題となっている不正転売というのは、初めから売却する予定だったお客様をどうやって防ぐかというのが焦点になっています。そういった最初から転売目的でチケットを購入している方に対しての対策ということでtixeeboxを使う主催者様が多くいらっしゃいます。
 
不正転売対策のシステムというのはとても注目されておりますが、あくまで裏で走っているシステムです。通常のお客様からしてみれば、なにも関係ありません。
 
中村氏:8月のあの声明が出された背景として、高額の不正転売というところにフォーカスが当たっているので、微々たる不正転売には目をつぶっているのではないかと思うのではと思われます。前までは、ダフ屋から購入する等で行われた転売が、インターネットで簡単に行われるようになってしまった。
 
チケット転売サイトについては、「よくわからないけどチケットを売っているところ」という認識の方も多くなっていると思います。よくわからずに転売サイトからチケットを買っているという方もいるかもしれません。

 
また、良席を求めたいファンというのも存在しています。ファンクラブに入って、チケットを手に入れて、でも、さらなる良席を求めて自分のチケットを売り、さらにお金を払いチケットを買うということが通常化している人たちもいます。ですが、そのように拡大している二次流通市場に対して、DMMとしてもLive Stylesにしても、抗議があるわけでも絶対ダメという意識があるわけでもありません。
 
我々としては、主催者様に目をむけ、主催者様の側でそういった二次流通、高額転売を抑止したいというのであれば、それに適するソリューションを提案したいと考えております。

 
 
--ユーザーの心理として、どうしても、どれだけお金を払ってもイベントに行きたいという方も多いと思います。チケットの不正転売の是非について、様々な場所で議論されていますが、電子チケット業者が不正対策以外で取り組めることはあるのでしょうか?そういった、ユーザーへの救済策というものに関してなにかお考えはありますでしょうか?
 
中村氏:tixeeboxの立ち位置は、紙チケットを発券するときのコンビニの発券機だと考えていただければわかりやすいと思います。ですので、チケットの二次流通の是非について我々が何かを言う立場ではないと考えています。
 
飯塚氏:tixeeboxは、あくまで電子チケットを発券し入場管理ができるというツールとして展開しています。不正転売を抑止するために様々なレベルでのソリューションを用意しておりますが、主催者様がどのレベルまでの手段を選択するかによります。
 
8月のアナウンスから、公式からのチケットの二次流通についてどういった扱いをしていけばいいのか、というのは業界の中でも騒がれている問題となっております。
 
tixeeboxでは、DMMさんと一緒にDMM Passストアというプラットフォームを展開しております。DMM Passストアでは、チケットをとったにもかかわらず「どうしても仕事が」「体調を崩してしまった」といった理由から、どうしても実際にイベントにいけなくなってしまったお客様が、定価で電子チケットを他の人に譲れるようになっています。

 
中村氏:tixeeboxの場合は不正転売を抑止するための1つの施策として使用されることが多くなっております。紙チケットであれば、チケットを購入はしたけれどどうしてもいけなくなってしまった場合、友人や知人に「自分はいけないので行っておいでよ」と誰かに譲る、もしくは売るというのがインターネットを介せずに行われておりました。
 
tixeeboxの場合は、主催者様との取り決めで購入者が必ず一枚持っていなければいけない、チケット購入者がイベントに足を運ばなければならない、という形態をとることが多くなっております。その場合、自分のチケットを友達に委ねるにはスマートフォンを渡すしか手段がなくなってしまいますが、そんなことをする人はいないでしょう。譲ってもらう機会に恵まれた人にとっては、せっかく行きたかったイベントのチケットを譲ってくれる人がいるのに、そしていけなくなってしまった人は、せっかく行ける人がいるのに、そのチケットが無駄になってしまうということが起こります。
 

tixeeboxは不正転売抑止のためにセキュリティが強固な分、唯一お客様にとって優しくない部分を補うためのプラットフォームがDMM Passストアとなります。どうしてもイベントに行けなくなってしまった場合に、tixeeboxの電子チケットの券面に表示されている「出品する」というボタンを押すことで、DMM Passストア内に出品され、そのチケットを求めている人と結びつけます。現在問題になっているチケット販売サイトと違った点は、必ず「定価」でのやりとりとなるところです。本来、チケット購入者の方が行けなくなってしまった場合、当日そのチケットの座席は空席になってしまいますが、DMM Passストアを使うことで、その座席を空席にせず、しっかりと埋めることができております。
 
 

--ここまで不正転売対策に関するtixeeboxの特徴をお聞かせいただきましたが、それ以外の特徴なども教えてください。
 
飯塚氏:紙チケットが入場管理のツールであったのに対して、tixeeboxは電子チケットのスマートフォンアプリですので、スマートフォンでできることはなんでも可能となっております。
 
例えば、あるアーティストのライブチケットを手にいれたとします。前日になったら、「いよいよ明日」といったプッシュメッセージをお送りするなど、イベントへの期待感を高めることが可能です。さらに、イベントが終わった後に、アーティストさんから感謝のメッセージを送るといったことも考えられます。また、お客様一人一人に合ったオススメイベントへの招待メッセージなどを送ることも可能です。
 
入場管理だけでは終わらず、イベントに基づいた、メッセージや動画といったコンテンツをお客様に届けることが可能です。
 
 中村氏:入場管理という点では、オペレーションを崩さず、当日のリソースを増やすことなく導入が可能という部分が挙げられます。当日の入場口に端末などを設置することなく、入場管理が行えます。
 
また、海外公演のチケット販売においても、tixeeboxであれば導入がしやすく、またお客様にとっても利便性が高いものとなっております。
 

 
--では最後になりますが、今後の電子チケット業界における展望や期待についてそれぞれお聞かせください
 

飯塚氏:現状電子チケットは、不正転売を抑止するという流れの中で、どんどん規模を大きくしており導入をする主催者様が多くなっております。電子チケットを導入することによって、お客様においては、今まで以上に簡単にチケットを手にいれやすい状態となりますので、こちらをもっといろんな方々に体験して欲しいと考えております。
 
また、不正転売防止のシステムの1つであり、救助システムとしてのDMM Passストアですが、こちらは主催者様の要望がなければ使えないシステムです。ですので、こちらを使っていただけるように様々な主催者様に対して認知の拡大を行っていきたいと考えています。
 
もちろん、tixeeboxならではの機能の動画、画像のコンテンツについても、我々だけでは用意できないものです。お客様に発信するプラットフォームは我々で用意させていただくので、主催者様にはそういった部分でのtixeeboxの使用も考えていただければ幸いです。
 
お客様におかれましても、電子チケットならではの利便性を体験して欲しいと期待しております。
 
中村氏:新しいチケットの形、不正転売を抑止をできるチケットというのはなんだろう?と考えた時に、今の時代においてはスマートフォンの中ですべて完結させるのが現実的なのかと思います。我々としては、スマートフォンでチケットを受け取ることができて、そしてイベントに入場できるというところを、まずは認知してもらうところが急務となります。

 
この時流の中で、主催者様のニーズが不正転売防止なのであれば、それに対するソリューションはtixeeboxで用意できます。とはいえ、普通にイベントを楽しみたいお客様にとっては、不正転売防止のシステムはあまり関係ないところではあるので、スマートフォンチケットを使っていただけるような、いろんな施策を打っていかなければならないと感じています。スマートフォンでできることは、すべてtixeebox上で可能となっています。
 
利便性と付加価値をいかに追求し、お客様に認知していただくかが今後の目標となります。
 
現状紙チケットが安心できるチケットとしては絶対の価値を持っているかと思いますが、最終的には電子チケットがそれを上回る存在になるようにしていかなければならないと感じています。

 
 
--ありがとうございました。


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1999年11月
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