Rovio、赤字から一転したV字回復を実現…『アングリーバード』ブランド拡大に成功した2016年の業績を公開


『アングリーバード』シリーズで知られるRovio Entertainmentは2017年2月28日(現地時間)に米サンフランシスコで記者会見を行い、2016年の収益が34%増の1億9000万ユーロ(約228億円)になったと発表した。CEOのKati Levoranta氏(2016年1月より現職)は「2016年に私たちはRovioの魔法を再び発見した」と述べた。本稿では、記者会見の模様をお伝えする。
 

■劇場版が成功した2016年

 

▲Kati Levoranta氏

2016年の支払金利前税引前利益(EBIT)は2100万ユーロ(約25.2億円)の赤字から一転して、1750万ユーロ(約21億円)の黒字となった。ゲーム部門の収益は40%増の1590万ユーロ(約19億円)、EBITは400万ユーロ(約4.8億円)から2960万ユーロ(約35.5億円)と640%増となった。


▲劇的なV字回復を実現

▲ゲーム部門が収益の柱であることがわかる

▲640%の伸びは驚異的と言える

業績回復の主要因が『アングリーバード2』をはじめとするゲームアプリと、2016年に公開されたフルCG映画『アングリーバード』の成功だ。同社は現在、本社を構えるフィンランドのエスポーで3タイトルを開発しており、それ以外にスウェーデンのストックホルムでRPG版を開発。イギリスのロンドンにもMMO開発のための新スタジオを新設した。


▲資料内のタイトル以外にも数々の『アングリーバード』アプリを配信中だ

▲ロンドンオフィスの設立は地元でも大きな話題を呼んだ
 

2016年に公開された映画版『アングリーバード』は世界52カ国・地域で1位を記録し、興行成績が3億5000万ドル(約396億円)に達した映画版のエンドクレジットに登場した3つ子の青い鳥「ブルー」が主人公のアニメ、『アングリーバード ブルー(Angry Birds Blue)』も3月10に配信予定だ。


▲全世界で大ヒットを記録した映画版『アングリーバード』

▲アニメでは三つ子の鳥が主人公

▲新作『アングリーバード ブルー』は3月10日よりToonTVで配信予定。

最後にLevoranta氏は2017年もゲーム開発とマーケティングに投資すると共に、精力的なライセンス活動を通して、フランチャイズの拡大に努めていきたいと抱負を語った。非上場企業である同社がこうした業績発表を行うのは異例で、完全復活をアピールすると共に、さらなる業績拡大につなげていく狙いだ。
 

▲早速キャラクターグッズも登場している

 

■アジア市場に向けても引き続きの投資活動を


プレスカンファレンス終了後、同社にメールインタビューを行った。
 
--『アングリーバード』ブランドの日本市場における最近のポジションをどのように捉えていますか?
 
『アングリーバード』ブランドは日本で愛されており、多くのファンがいます。弊社はこれまで『アングリーバード フレンズ』や『アングリーバード2』など、いくつかのタイトルを日本市場向けにリリースしてきました。日本を含め、
アジア市場は弊社にとって重要な市場なので、2017年も投資を続けていきます。
 

--映画『アングリーバード』の日本市場での成果をどのように分析していますか?
 
映画『アングリーバード』は世界的な成功をおさめ、52カ国・地域での市場でナンバー1の成果をおさめました。全世界での興行成績においても約3億5000万ドルに達しました。残念ながら国・地域別での数字は公表していません。
 

--『アングリーバード ブルー』はアニメ映画でしょうか? 日本でも公開される予定はありますか?
 
アニメ『アングリーバード ブルー』は新作のウィークリーアニメシリーズで、ToonsTVで3月10日から独占放映されます。アニメ『アングリーバード ブルー』シリーズは、映画版のエンドクレジットでからかわれていたもので、「ブルー」として知られるいたずら好きな3つ子の青い鳥へと続きます。つまり、これは映画ではなく、アニメのシリーズです。ToonsTVは日本でも配信されていますので、アニメ『アングリーバード ブルー』シリーズは日本でもご覧いただけます。
 

GooglePlay

注:ToonsTVはモバイルアプリで視聴できる
 

--2016年に『アングリーバード』は『パズル&ドラゴンズ』とタイアップキャンペーンを行い、日本のファンを驚かせました。同じようなキャンペーンを2017年も予定されていますか?
 

私たちは自社タイトルのマーケティングを継続的に行い、効果を測定しています。そのため常に世界中でたくさんのマーケティングを行っています。しかし日本では多くのキャンペーンがテレビ(注:CM)で行われているので、あまり目立たないのかもしれませんね。2017年のキャンペーン予定については多くを明かすことはできませんが、常に私たちのゲームを通して、マーケティングキャンペーンを行っていきます。
 

 
(取材・分:ライター 小野憲史)

 
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