​【インタビュー】「第二創業期と言える成長の兆し」オルトプラスが持つこだわらないことの強み―ゲーム事業本部長・北村紀佳氏が語る開発現場の成長

『アイドルマスター SideM』『結城友奈は勇者である 花結いのきらめき』(『ゆゆゆい』)などの開発を手がけるオルトプラス。『ゆゆゆい』はGoogle Playランキングでも好調な推移を見せており、同社への注目があらためて高まっている状況だ。また同作ではscopesと共同で開発を行い、その協力体制も脚光を浴びている。
 

そんなオルトプラスでは、現在、様々な職種において採用に力を入れている。
 
本稿ではオルトプラスの執行役員、およびゲーム事業本部長であり、scopesの代表も兼任する北村紀佳氏にインタビューを敢行。オルトプラスが持つ独特の開発環境と、現在求めている人物像を伺った。

 

■運営と開発がそれぞれが違う「プライド」「評価体制」を持っている


 
――本日はよろしくお願いします。まずは北村さんの経歴と、現在担当されている業務について教えてください。
 
私は元々ゲームというより、デコメや待受け、きせかえといったモバイルコンテンツの提供に携わっていまして、ガラケーのブラウザゲームが盛り上がりを見せるタイミングでモバイルゲームのデベロッパーに転職し、そこでゲームのプロデューサーを経験しました。その後もゲーム会社を転々とする中で、scopesの中心となるメンバーとも出会ったのです。
 
――それがscopes立ち上げのきっかけだったと。
 
scopesの立ち上げは2015年の夏頃ですね。メンバーの中にはオルトプラスとも関わりのある人物がいたので、そのつながりを利用して仕事を請け負うようになりました。すると、オルトプラスから「scopesの社長をやったままでいいから、オルトプラスの事業本部長もやってほしい」と言われて、昨年正式にオルトプラスの事業にも関わるようになりました。
 
――オルトプラスとの最初の仕事はゲームだったのですか?
 
いえ、scopesは当初、ポイントメディアを作ろうとしていたのですが、それだけでは事業を継続できなかったので、お仕事をもらったのが始まりですね。何度か発注を受けたり、こちらから発注したりとさまざまな取引をしていました。
 
――なるほど。では、オルトプラスの現在の開発体制について教えてください。
 
弊社は長らく運営を優先していた会社で、新規開発については整理されていませんでしたが、今は新規開発部隊と運営部隊の2つに別れ、どちらもしっかりとした基盤の上で事業が進んでいます。運営に関してはある程度の実績があり、マーケットからも高い評価をいただいています。また以前から運営移管の事業を行っていた影響もあって、新規開発したゲームをチームとして受け取る土壌はあったのです。
 

開発と運営を分けたのには理由があって、そもそも開発の評価軸と運営の評価軸は違います。中でも開発の場合は、開発期間中は当然利益が出ないため、なかなか評価が上がらない現状があります。そこはしっかりと別々の評価をしなければならないと考え、今の体制になったのです。
 
――開発部隊が新作ゲームを作り、それを運営部隊が成長させるという流れができているのですね。
 
引き渡しと言っても管轄する責任者が違うだけであって、開発部隊のスタッフであっても、運営に関わりたいのであれば運営に移って、しばらく見ることも可能にしています。開発部隊が培った文化を移管することも大切ですからね。
 
――その体制になったのはここ最近の話なんですよね。
 
そうですね。私が入った昨年のタイミングで大幅に組織を変えまして、以前は取締役と部長、案件リーダーがいるのみでしたが、今は私がゲーム事業の総責任者となり、さらに開発・運営の責任者もそれぞれいる形です。ゆくゆくは各スタッフが何本かの作品に携われるようにしたいと考えています。ソーシャルゲームは長くやっていると、1人のスタッフが同じタイトルばかりに関わって、次のチャンスをつかめない状況が生まれます。チームのコアなメンバーが集って、もう1本作れる体制にしていきたいです。
 
――組織の再編をしての手応えはいかがですか?
 
おかげさまで各タイトルのセールスは好調で、ユーザーさんやIPホルダーさん、パブリッシャーさんの評価も良いです。それだけでも再構築をやった価値はあったと感じています。
 
――オルトプラスはゲーム以外の開発も行っていますが、そことゲームは別の部署という扱いなのですか?
 
元々ゲームが強い会社で、そこに別の部門が立ち上がった格好ですが、エンジニアリングの共有など、連携はもちろんしています。ゲーム畑のエンジニアが「非ゲームのアプリを作りたい」と言ってくるのであれば、それは反対せずに異動させてあげる考えです。
 
――これまでいくつかの会社を見ていた中で、オルトプラスさんならではという特徴はありますか?
 
私が以前勤めていた会社は、開発と運営を行っている会社でした。経営レイヤーが意図した訳ではないのでしょうが、どうしても開発の立場が上になってしまったり、運営で売り上げを出している側の発言権が強くなってしまったりするという課題がありました。弊社にはそれがなくて、運営と開発、それぞれがプライドを持っている印象です。この点でも評価軸を分けた成果が出ているのだと思います。売り上げを出したから偉い、クリエイターだから偉い、という話にはならないようにしていますし、メンバー間にも浸透していると思います。
 
――なるほど。
 
もうひとつ特徴としては、メンバー全員がなんだかんだオルトプラスを好きというのもあると思います。良くも悪くもざっくばらんで堅いことは言わない社風で、役員陣も業務にあまり口を出しません。現場と役員の距離感はどこの会社でも問題になりがちですが、弊社に限っては現場の人間が、自分たちで進む方向を決められるのです。スタッフが自分たちの思いを形にできるからこそ、会社を好きでいてくれるのだと思います。
 
――ゲーム開発について詳しく教えてください。開発の流れとして特徴的なところはありますか?

進め方はチームによって変わっていて、基本的にはプロデューサーとディレクター、マネージャーといったキーマンを3人ほど決めて、その中の1人にリーダーとなって指揮を取ってもらいます。そこからはリーダーを中心にしつつ、スリーマンセルでチームがやりやすい開発方法を選んでいきます。UI/UX重視でコアアクションの部分を繰り返し検証するチームもあれば、アートワークなどを優先するチームもあります。


オルトプラスは元々IPを使ったゲームを作ってきたので、自分たちにとっても、相手にとっても理想とする環境を構築する文化がありました。オリジナルの作品でも自分たちのやりやすさはもちろん、時代に合った方法を選択しています。
 
――作品ごとに合った作り方があると。
 
パートナーとなる会社やゲームのジャンル、原作となるIPによってもベストの方法は変わってきます。なにがベストかは作品によってバラバラですが、それを判断し、マネージメントしていくのも私の仕事ですね。決め方もチームによってさまざまで、毎日朝礼を開くチームもあれば、グーグルドライブに仕様書をアップしていくチームもあります。やり方はもちろん、決め方も自由にさせているのです。
 
――その多様性は他社にはないところですね。
 
オルトプラス自身に受け入れる土壌があったのと、私個人がさまざまな会社の文化に触れてきたことが大きいですね。
 
――さまざまな社員の受け皿が社内のどこかにあるというのも魅力だと思います。
 
そうですね。いい意味でこだわらず、柔軟に社員を見ることができる会社だと思います。
 
――だからこそ、オルトプラスの作るゲームはジャンルも多彩なのですね。
 
それもあると思います。『SecondSecret』のようなBLノベルゲームもあれば、『ダービーロード』などの男性向け問わず多彩です。普通であればヒットしたタイトルに似通ることもあるかと思いますが、こだわりがないからこその強さですね。
 
――タイトルごとでユーザーが求めるものも違ってくると思いますが、共通化されたノウハウはあるのでしょうか?
 
それも多様なスタッフが在籍していることにつながってきます。ときには女性向けタイトルを男性スタッフが開発することもありますが、別チームには女性のスタッフも当然います。他チームであっても意見を聞き、正しい方向へ持っていくことができるのです。

 

■大切なのは「やり切る覚悟」

 
――オルトプラスは採用にも力を入れていますが、どのような職種を募集しているのですか?
 
現在オルトプラスは第二創業期と言っていいほどの成長をしており、未発表の作品も含め多数のラインが走っています。そのため全職種が足りていない状態で、幅広く募集しています。今来ていただければ新規開発のマネージャーだろうと、運営の責任者だろうと、やり切る覚悟さえ持っていれば理想の職種に就けると思います。
 
――現在働いているスタッフには、どんな人物が多いですか?
 
意外に思われるかもしれませんが、オルトプラスはエンジニア出身のメンバーが多いです。その中でも、エンジニアリングだけにこだわらず、プランニングやデザインなども含めて実績を積み上げていく性格の持ち主が多い印象です。最近のメンバーだとゲームに関わってこなかったキャリアを持つ人も目立ちます。そういった人物も積極的に採用することで、多様性を意図的に作っている側面があります。
 
――オルトプラスで活躍するためには、どんな心がけが必要ですか?
 
ゲーム作りはレストランと同じで、サービスのマインドとモノ作りのマインドの両方が必要です。どんなに良い料理を作ったとしても、客と接するホールスタッフの対応が悪ければ良い評価にはつながりません。開発畑の人でも運営の精神は知っておいてほしいですし、その逆ももちろん必要になります。開発と運営の両方をバランスよく考えられる人が望ましいですね。
 
 

――最後に、あらためてオルトプラスに興味を持った人へのアピールがあればお願いします。
 
弊社はキャリアチェンジも可能なので、エンジニアだけどディレクターをやってみたい人でも十分活躍ができます。もちろんエンジニア職でも、よりエキスパートに成長できるでしょう。ユーザーさんが求めるものを出していけば結果は必ず付いてくる業界です。やりたいことがあるならぜひ受けてほしいです。

 

オルトプラス採用情報





(C)2017 Project 2H (C)KADOKAWA CORPORATION  2017
Developed by AltPlus Inc. / scopes Inc.
株式会社オルトプラス
http://www.altplus.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社オルトプラス
設立
2010年5月
代表者
代表取締役CEO 石井 武
決算期
9月
直近業績
売上高43億8700万円、営業損益5億5600万円の赤字、経常損益5億2200万円の赤字、最終損益4億2000万円の赤字(2023年9月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
3672
企業データを見る