【エイチーム決算説明会】繁忙期とIPコラボの反動でQonQで減収減益 『ヴァルコネ』貢献で海外売上の拡大続く 18年7月期は上期後半に新作を予定


エイチーム<3662>は、9月8日、東京都内で2017年7月期の決算説明会を開催した。説明会に先立って発表された2017年7月期の連結決算は、売上高346億300万円(前々期比50.7%増)、営業利益40億7700万円(同84.3%増)、経常利益41億1800万円(同96.6%増)、当期純利益25億7900万円(同99.6%増)と大幅な増収増益を達成した。

説明会では、同社の林高生社長が決算概要やセグメント別の事業状況、足元の2018年7月期の第1四半期の進捗などの説明を行った。今回はその会見の様子をまとめてみた。
 

■繁忙期の3Qからの反動でQonQで減収減益に


まずは第4四半期(5~7月)の業績を四半期推移(QonQ)で見ると、売上高は前四半期比5.0%減の94億1300万円、営業利益は同25.2%減の13億700万円、経常利益は同24.7%減の13億900万円、四半期純利益は同36.2%減の7億4100万円となった。

ライフスタイルサポート(ライフ)事業とEC事業が、繁忙期の第3四半期からの反動で減収減益となったことに加え、エンターテインメント(エンタメ)事業も『ユニゾンリーグ』が第3四半期にIPコラボを実施し、売り上げを大きく伸ばした反動減となったことで、トータルでも減収減益になっている。ただ、「特に事業環境が悪化したというようなことはない」(林社長)とし、あくまで季節要因などによって予測された内容だったと言えそうだ。
 

続いて広告宣伝費の四半期推移を見てみると、エンタメ事業は『ヴァルキリーコネクト』(以下『ヴァルコネ』)の海外でのプロモーションを強化したことで微増となったものの、ライフ事業とEC事業が繁忙期の前四半期にプロモの強化を行っていた反動で、全体では3四半期ぶりに減少した。
 

人員数の四半期推移も見てみよう。こちらは前四半期比8名の増加となっている。共通部門が減少し、そのほかの部門が増加している形になっているが、これは4月入社の新卒社員が前四半期は共通部門となっていたが、配属先が決定して各部門に振り分けられたためとなる。
 


■『ヴァルコネ』の海外展開寄与で海外売上比率は26%に拡大


次にセグメント別の状況に目を移してみたい。まずはエンタメ事業は、『ヴァルコネ』と『ダービーインパクト』が好調だったが、前述のとおり『ユニゾンリーグ』が前四半期に実施したIPコラボによる好調からの反動減となったことで、トータルではQonQで2.3%の減収となった。また、利益面については、こちらも前述のとおり、『ヴァルコネ』の海外でのプロモ強化により、利益率が若干低下した。
 

その『ヴァルコネ』の海外展開により、海外売上は着実に伸びており、4四半期連続の増収を達成した。なお、海外売上比率は26%に達している。
 

ライフ事業については、前述のように季節要因で減収減益となった。主に引越しと自動車が3、4月ごろの新生活に伴う繁忙期の反動を受けた格好だ。ほか、金融メディアは増収、ブライダルはほぼ横ばいの推移となっている。
 


EC事業も同様に自転車ECの繁忙期が新生活シーズンの前四半期に当たることから反動減する形となった。ただし、それ以前の水準と比較すると売上高は高水準をキープしている状況と言えるだろう。
 
 

■今期も2ケタ増収増益見込む 新作は「1本は上期の後半くらいに」(中内氏)


2018年7月期通期の連結業績予想は、売上高400億円(前期比15.6%増)、営業利益47億円(同15.3%増)、経常利益47億円(同14.1%増)、当期純利益31億円(同20.2%増)と2ケタ増収増益の見込み。

エンタメ事業の新作については、1~2本の予定としており、「1本は上期の後半くらいに出す予定で進めている」(中内之公エンターテインメント事業本部長)とのこと。既存タイトルは横ばいの見通しとしているが、これは国内は減少するものの、海外を合わせて維持という前提のようだ。
 
 

■まとめ


会社側の今期計画を見ると、ライフ事業は通期で前期比34.9%の増収、EC事業は同じく24.9%の増収を見込むなど高い成長性を織り込んでいるものの、エンタメ事業はほぼ横ばいの予想となっている。これは、新作の費用は織り込みつつも収益貢献は保守的に予想を立てているためであり、同社の過去の業績予想の傾向から見ると、実績とともに上ブレ修正となっていくことも予想される。

さらにエンタメ事業では、『ユニゾンリーグ』の中国本土展開も注目される。競争の激しい中国本土市場だが、ここで成功して新しい市場を開拓していければ、さらなる海外売上の拡大に向けた展望が大きく開けてくることになる。

また、今期の焦点の1つは、前期に達成寸前までいった四半期売上高100億円の大台乗せだが、単純に今期の売上高予想が400億円であることを踏まえれば、それは早晩達成すべき通過点ということになりそうだ。
 
(編集部:柴田正之)

 
株式会社エイチーム
https://www.a-tm.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社エイチーム
設立
2000年2月
代表者
代表取締役社長 林 高生
決算期
7月
直近業績
売上高275億5200万円、営業利益5億4300万円、経常利益7億1100万円、最終利益1億4300万円(2023年7月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3662
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