【TGS2017】エイベックス・ピクチャーズ×âgeトークイベント 『マブラヴ』原作者の吉宗鋼紀氏が語る制作秘話



エイベックス・ピクチャーズは、9月24日、「東京ゲームショウ2017」ブース内設置のステージで、avex×âge(アージュ)のトークイベント「未来への彷徨」を開催した。『マブラヴ』原作者の吉宗鋼紀氏と、エイベックス・ピクチャーズのプロデューサーの田中宏幸氏、âge作品でヒロインを演じた声優の生天目仁美さんと、山本希望さんが登壇した。

エイベックス・ピクチャーズは、今年7月、『マブラヴ』をはじめとするIPを保有するイクストルを買収した。エイベックス・グループは、「ゲーム事業への進出」を掲げており、「ゲームと親和性の高いアニメやアーティストなどに関するIPを最大限に活かし、ゲーム事業へ積極的に進出する」としており、イクストル買収はそうしたIPを確保する一環となる。新しい展開の発表はなかったものの、今後への決意表明のイベントといった印象を受けた。

今回のトークイベントでは、『トータル・イクリプス』からアージュ作品を手掛ける田中氏と、原作者である吉宗氏が「今までとこれから」と制作秘話を明かしたほか、『トータル・イクリプス 』でクリスカを演じた生天目さんと『シュヴァルツェスマーケン』でアイリスディーナ役の山本さんが作品を超えたヒロインによるクロストークを行った。
 
▲生天目仁美さん(右)と、山本希望さん(左)


トークでは、山本さんと生天目さんがそれぞれのキャラクターを紹介した後、吉宗氏がキャラクターについて語った。まず、クリスカを人造人間のようにした経緯について、2つの母国があるユウヤが自身の立ち位置やアイデンティティに悩む姿を描こうとした時、ヒロインを感情のないキャラにする必要があると考えたという。

また、アイリスディーナについては、東ドイツを舞台にした作品だが、シリーズを通して出てくる敵役の登場に大きく関わった人物として、高潔な女性とし、ライトノベル作者の内田弘樹氏らと協議しながらキャラクター像をふくらませていったと語った。
 
▲吉宗鋼紀氏


続いてイベントに先立ちアージュが実施したアンケートに基づいてトークを行った。田中氏によると、約1500件の回答があり、そのうち半分が海外のファンからの回答だったとのこと。アニメからゲームを始めた海外のファンが多いことや、『マヴラブ』のアニメ化の希望が多かったことなどが明らかになった。

作品への関わり方について聞くと、ファンとして作品の魅力を伝える広報大使的な活動や、出資を希望する回答も多かったそうだ。吉宗氏は、2015年に「kickstar」で実施したクラウドファンディングについて、予定金額を大きく上回る資金が集まったが、その要因について「海賊版で遊んだ海外のファンが正式にやるんなら出したいと応えてくれた」とコメントした。
 
▲田中宏幸氏


このほか、吉宗氏は、中国・上海で行われた中国最大のゲームショウ「ChinaJoy」で体験した出来事も語った。現地に行き、ファンと交流した際、「チャイナ服を着た中国人が登場しないことが良い」とステレオタイプな描き方を避けたことが評価されたことや、「(作中に登場する)共産党員の描き方などが非常にリアル」といった感想をもらったという。

最後に、吉宗氏は、『マヴラブ』について今後も大きく展開したいと述べた後、「イベントで大きな発表を期待されていたかもしれないですが、今回は元気にやっていますと直接、お伝えたかった」とイベント開催の経緯を語った。そして、「大人の事情」で言えないものの、これまでアニメを展開し、さらにエイベックスによる買収で新しい座組となったこともあり、「これで何もなかったらおかしい」とし、これからの展開に期待して欲しいと述べてイベントを締めくくった。

 
(編集部 木村英彦)
エイベックス・ピクチャーズ株式会社
http://avex-pictures.co.jp/

会社情報

会社名
エイベックス・ピクチャーズ株式会社
設立
2014年4月
代表者
代表取締役社長 寺島 ヨシキ/代表取締役副社長 勝股 英夫
決算期
3月
直近業績
非公開
上場区分
未上場
企業データを見る